〇開けた交差点
「ハアッ　ハアッ！どこにあんだよ！」

〇時計台の中
鑑定士「この世には〈いわく〉を抱えた 呪いの品が存在します」
鑑定士「私は、 そんな〈いわく〉付きの品専門の鑑定士」

〇謎の扉
「ハァッ　ハァッ・・・ゴクッハァ ここか」

〇時計台の中
鑑定士「さて、本日の〈いわく〉は一体おいくらに なるのでしょうか・・・」
安藤ひねる「鑑定士は!?お前だな!?」
鑑定士「いらっしゃいませ　ご依頼の品を」
安藤ひねる「ほらっ　ノートだ いくらになる」
鑑定士「それではお聞かせください このノートにまつわる〈いわく〉を・・・」
安藤ひねる「そんな時間あるかっ 早く受け取れオラッ」
鑑定士「お客様」
鑑定士「〈いわく〉が、先です──」
安藤ひねる「チッ」
安藤ひねる「K広場からすぐのビル！そこが俺の職場！」

〇オフィスビル前の道
「では　次の議題」

〇大会議室
部長「我が社の、SNSのフォロワー数を更に増加させる為の施策についてだが」
部長「ひねる　どうだ 良いアイデアはあるか？」
安藤ひねる「ずばり」
安藤ひねる「がんっがん　こっちからフォローする！ ってのはどうっすかね～」
安藤ひねる「はい！　ナイスアイディ～・・・」
部長「フォローを　すれば良いってものでは無い」
部長「全く、名前がひねるなのに お前の案にはひねりが無い」
部長「井伊　手本を見せてやれ」
井伊　咲夜「まずは分析データを見てください この日の投稿だけ”いいぞ”が伸びています」
井伊　咲夜「SNS”Y”のアルゴリズムから考え、 おすすめと判断されやすい投稿と 類似した内容を上げてみては？」
部長「うむ それはまさしく」
部長「ナイスアイディ～ア！だな」
「ナイスアイディ～ア！ さっすが井伊さんだぜ」
部長「お前、少しは井伊を　見習えよ」
「部長　それ　ナイスアイディ～ア！」
安藤ひねる「あはは　頑張りま～す・・・」

〇大衆居酒屋
安藤ひねる「くっっっそが」
店員「いつにも増して　荒れてますねー」
安藤ひねる「あいつら俺のナイスアイディアを コケにしたんだぞ」
店員「めっちゃ　書いてるー どれどれ」
店員「あ　お客さんだ」
安藤ひねる「なんっか言えよ」
安藤ひねる「どいつもこいもヒック 俺を馬鹿にしやがって～ヒック」
「しゃいませー お座敷と普通席がありまーす」
「お座敷ですねー　あちらへどうぞー」
「しかし　今日はひねるのやつ 笑えたよな～」

〇大衆居酒屋
井伊　咲夜「まあ　そう言ってやるな」
井伊　咲夜「あいつと俺はココ（頭）の出来が 違うんだから　ッフ」

〇大衆居酒屋
安藤ひねる（井伊ぃ〜見てろよ〜）
　　”アイツらを黙らせるには？”
安藤ひねる「部長　すいませ～ん急に〜 仕事の相談をしたくて〜」
安藤ひねる「はい　今からです至急 井伊達も一緒です」
安藤ひねる「いつものとこです 人数多いんで座敷の方に座ってます」

〇大衆居酒屋
社員2「にしてもうちの部長は なんであんなに頭でっかちかね」
社員1「もう　井伊さんが部長になって下さいよ」
社員2「それ　ナイスアイディ～ア──」
部長「盛り上がっているじゃないか」
社員1「はいぃ!?部長!?」
部長「ひねるはどこだ 相談があると聞いて来たのだが」
社員2「いや～え～と～ひねるですか」
部長「店を間違えたかな あいつあれから電話に出なくてな」
部長「折角来てやったのに」
井伊　咲夜「部長　良ければ一緒に飲みませんか」
部長「気を遣わなくて良いよ　それに」
部長「俺がいると 俺の悪口も言いづらいだろう」

〇大衆居酒屋
安藤ひねる「wwwwwwwwww これはww気まずいwww」
隣の客「あの」
隣の客「あの人達よく来るんだけど いつもうるさくて」
隣の客「ナイス、アイディアでしたね」
安藤ひねる「ナイス・・・アイディア」
安藤ひねる「お会計」
店員「にせんひゃくえんでーす」
安藤ひねる「あちらの女性の分も一緒に」
店員「や　足りませんけど」
安藤ひねる「カードで」

〇駅のホーム
安藤ひねる「お〜れは〜ナイスアイディアマ〜ン 街をす〜く〜う〜」
安藤ひねる「いて」
老人「ごめんなさいねぇ」
　　”重たい鞄を運ぶには？”
安藤ひねる「おばあちゃんあのね 鞄の中は重い物を上にすると軽く感じるよ」
老人「どれ　ほんとねぇ　言われてみりゃあ ありがとねぇ」

〇電車の座席
乗客「きゃ」
　　電車でフラツカない方法は？
安藤ひねる「脚を肩幅に広げて 進行方向の脚を少し外側に向けてください フラツキません」
乗客「は　はあ　そうなんですね」
安藤ひねる「コーヒーを零したら 食器用洗剤をかけて歯ブラシでトントン」
男性「え？は？ ・・・は？」

〇整頓された部屋
　　アカウント名　アイデアマン
　　
　　覚醒した俺に質問ある奴いる？
　　今なら無料でナイスアイデア提供してやる
　　40代恋愛経験なし、結婚できますか？
　　早起き苦手です。どうしたらいいですか？
　　ライブします。
　　K広場の噴水、人集める方法ありますか？
　　このバック　やっとお小遣い貯めて
　　買いました♡
安藤ひねる「バカだね〜ネットで買えば安かったのに 教えてやろう」
安藤ひねる「そんな事聞いてないです!?だと 生意気な」

〇散らかった部屋

〇大会議室
井伊　咲夜「何回も鳴らしていますが　出ませんね」
部長「無断欠勤だぞ 何やってんだひねるは」

〇散らかった部屋
安藤ひねる「うわあぁあぁああーーーー なんだーーーー」

〇屋根の上
安藤ひねる「飛行機でも落ちたんか」
「逃げろー」
「こんな道路じゃ車は駄目だ！走れ！」
安藤ひねる「俺も早く逃げ...いや違うだろ」

〇開けた交差点
安藤ひねる「こういう時こそ　 ナイスアイディアの出番だろ〜がっ！」

〇崩壊した噴水広場
安藤ひねる「なんっだよ　これ ゲホゲホ」
救急隊員「袖で口を覆って　煙は絶対に吸わないで」
救急隊員「あなたも早く避難を　爆弾テロです」
安藤ひねる「バ!?バクダンテ」
「助けて！足が！」
「大丈夫ですよー今いきます！」
女性「頑張って　ほら肩に掴まって」
女性「痛いよお ねえ　何でこんな事になってんの」
女性「ウチら マサキの撮影現場　見に来ただけじゃん」
安藤ひねる「マサ──おいその俳優!! ここで会えるって、どうやって知った!?」
女性「ひゃ!?ネットの書き込みで、 ドラマの撮影があるからって」
安藤ひねる「まさか・・・」

〇散らかった部屋