Xヒーロー

語り部

第39話 いざ東へ(脚本)

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〇プライベートジェットの中
  2021年 太平洋沖 上空 緊急避難用ジェット機
東条のカシラ「ウィリアムさん、ひとまず俺らは会長から言われた通り『シカゴ空港』に向かいます。よろしいですか?」
エンチャント魔導法士「あぁ、問題ない。パスポートはどうなってる?」
東条のカシラ「凪園、お前の席の上にあるバッグがあるだろ?そこに人数分入ってるから渡しとけ」
  凪園は『は~い』と軽い返事をしながら席の上に置いてあるボストンバッグの中から
  偽造パスポートを全員に投げ渡す。そして凪園はパスポートを見るやいなや笑い始めた
凪園無頼「見てこれー!俺『田中敏郎』って名前になってるー!ありえねー!」
エンチャント魔導法士「ジョン・スミス···ワシってスミスって顔してるのか···?」
東条のカシラ「すまないが急でつくらせたから名前や国籍は適当だ。だが入国審査は通るから安心してくれ」
エンチャント魔導法士「まぁいいわ、ひとまず空港について入国審査した後どうするか決めておくか」
エンチャント魔導法士「まず現状頼れるのは紅色派の民主派閥、変化武器達、そして···雪月頼が信頼した3人の部下達」
斎王幽羅「マリアさん、キャプテン、エドモンドさんだね」
凪園無頼「そいつらどーゆー奴らなわけー?」
斎王幽羅「婆ちゃんがカナダに居た時仲間にした能力者達で、皆グレーデイ以降消息を絶ってるんだ」
斎王幽羅「それぞれが組織化していて、マリアさん率いる『失楽園の天使達』。キャプテン率いる『空賊団 スカイハイ』」
斎王幽羅「そしてエドモンドさん率いる『エドモンド・ファミリー』がカナダを中心とした陸、海、空、を実行支配してたんだ」
斎王幽羅「でもグレーデイ以降、婆ちゃんの能力で作った『吹雪の壁』が段々効力を無くして皆アメリカ政府に追われるようになって」
斎王幽羅「最後は行方不明になってる。でも···」
エンチャント魔導法士「白雪の聖女『マリア・イアハート』の生存が雪月雪羅によって断言された。まだ確定では無いが、居れば心強い味方だ」
凪園無頼「どんな能力なのー?」
斎王幽羅「あらゆる能力を一時的に『覚醒』させる事ができる。身体機能や感覚、さらに『異能力』すら覚醒可能だよ」
鸞「遺言書に載っていた『一時的に能力を覚醒させることができる仲間』というのがそのマリアという訳か」
斎王幽羅「ら、鸞···起きて大丈夫なの···?どこも痛くない···?」
鸞「心配ない。鳳凰様の術のおかげで何ともないが···『めまい』がするな」
エンチャント魔導法士「卵巣を2つとも無理に取ったんだ、鳳凰の術で治したとはいえ『更年期障害』のような症状はでるだろう」
斎王幽羅「どうにか軽減できたりしないのかな···ほらっ、薬とかでさ」
鸞「いいんだ斎王、私が自らで選んだ道だ。こうなる事もわかって終わりの試練を受けたんだ」
鸞「『後悔はないよ』。それより他の勢力はどうだ?例えば変化武器達も強い奴がいたりするんだろ?教えてくれキング」
キング「アメリカにいるとしたら···『ギリシャ遠征組』だな。リーダーのアキレウスは始まりの変化武器の1人だ」
斎王幽羅「実際の歴史にあった本物の『武器』だよね?でもなんで実際の歴史の武器なの?」
斎王幽羅「それこそ剣神の愛剣『宝剣 アロンダイト』も円卓伝説で実際にランスロットが使ってたんでしょ?」
斎王幽羅「錆とかヤバそうだし、近代武器···それこそ銃とかの方が強いんじゃ···」
キング「まぁ普通に考えりゃそうなんだがな、変化武器ってのはよ『歴史の深度』で強さが変わるんだ」
斎王幽羅「歴史の深度···?」
キング「その変化武器のこれまでどういう場で活躍したか、どういう歴史を生き抜き、どのようにして人々の手に渡ったか」
キング「武器としての歴史が深ければ深いほど、変化武器は強い力を持つ。例えばさっき言った親父の愛剣もそうだが」
キング「宝剣 アロンダイトはかの有名な泉の聖剣『エクスカリバー』の対となる剣で」
キング「竜退治や激しい戦いの中、最後の時まで刃こぼれひとつしなかったと言う伝承も残ってる」
キング「確か凪園のじいちゃんも三代目の幹部メンバーなんだろ?『炎のビート』の使い手でよ。親父はよく」
キング「『あいつの弱っちい炎じゃ証明できないが、ランスロットはしっかり炎を切断できた』って自慢してたぜ」
鸞「なるほど···聞いてる感じだと1000年以上も前の武器が変化武器になれば『史実の異能』を再現できるのか」
キング「いや、史実の異能を再現できるのは始まりの変化武器達だけだ。他の奴らは一つだけ異能を持ってるって感じだ」
エンチャント魔導法士「おい待て、アキレウスってのが始まりの変化武器なら···元の武器は『何なんだ?』」
キング「元の武器の名前は『流星の戦車』、トロイア戦争で乗り回してたあの戦車だ。まぁ馬は幻影だけどよ」
キング「流星の戦車の異能はシンプルで『騎乗した者が一時的に不死身になる』異能だ。まぁただ1箇所だけ不死身にならないんだよな···」
エンチャント魔導法士「『踵』だな?その変化武器もそうなのか?」
キング「だな、アキレウスも踵に痛感全部あるのかってくらい踵に弱いんだよ」
鸞「流星の戦車という名前だが···もしかして三馬のあの『伝承』が元か?」
キング「おう、まぁ違う史実も多いからあれだが···当時本物のアキレウスが引いてた馬の内2匹は」
キング「ポセイドンから貰ったもので、トロイア戦争で馬達が死んだ際馬達がポセイドンの所に走り去る描写があるんだが」
キング「その時『光り輝きし三馬は流星の如く、主の元へ走り去った』って書いてあるんだよ」
キング「そんでまぁ···とんでもねえけどよ···『音速で移動』できんだよ。変化武器のほうはよ」
エンチャント魔導法士「踵以外がダメージがないうえ、音速で移動···?誰が倒せるんだそんなの···」
キング「俺も思う。だけどギリシャ遠征組からの連絡はアメリカで途絶えてる。死んでなきゃいいが···」
エンチャント魔導法士「どこで途絶えたんだ?それはわかるのか?」
キング「最後に連絡があった場所は『インディアナ州』だ」
エンチャント魔導法士「イリノイ州に近いな···着いたら行方を探ってもいいかもしれんな」
鸞「後は紅色派の民主派閥だな。北部にいると言っていたが具体的な場所はわかるか?」
フェード「いや、把握していない。ただ···紅色派自体『西側』に拠点が多いから北西部にいる可能性はある」
エンチャント魔導法士「そっちは鬼月冷羅の協力を得てからでもいいな。さてあとの問題だが···」
エンチャント魔導法士「お前ら英語話せるか?」
  斎王とフェード以外の3人は『忘れてた』という顔をしており、エンチャントはため息をつきながら
  斎王とフェードの英語力を一通りチェックする。
エンチャント魔導法士「斎王は流石と言うべきだな、幼い頃からカナダに居ただけはある」
エンチャント魔導法士「ただカナダ特有の訛りもあるから人によっては聞きづらいかもしれん、注意しておけよ?」
エンチャント魔導法士「フェードだが、アジア系特有のイントネーションがないから現地でも聞き取りやすいと思う」
エンチャント魔導法士「今後現地で話を聞く時はワシ、斎王、フェードの3人で行った方が良さそうだ」
キング「はえー、すげーな···そういやエンチャントのじいさんって生まれはどこなんだ?」
エンチャント魔導法士「イギリスだ。まぁすぐ修道院入って多言語を学んだな、懐かしい···」
エンチャント魔導法士「イギリスはまぁ飯がマズイから、さっさと言語勉強終わらせて日本に行こうとしてたな」
キング「何ヶ国語話せるんだ?」
エンチャント魔導法士「会話だけなら英語、フランス語、日本語。聖書をを読む事を含めれば5ヶ国語は把握出来るな」
キング「やべェなあんた···俺なんて日本語しか話せねえってのに···」
凪園無頼「俺も日本語しか話せなーい!」
鸞「右に同じく」
フェード「私は中国語、韓国語、日本語、英語の4ヶ国語だな。ミンさんにみっちり叩き込まれたものだ···」
斎王幽羅「俺は英語、日本語、アラビア語かな。カナダとエジプトにいた事あるし、普通に会話もできるよ」
斎王幽羅「というかキングはルーマニア語読めなかったっけ?」
キング「そういやそうだったわ、あっはっはっは!」
凪園無頼「鸞ー、後でキング半殺しにしね?完全裏切り行為っしょ、これ」
鸞「丁度いい、試したい術が幾つかあるからこいつで実験してやろう。飛行機降りたら覚悟しておけキング」
キング「おい、やめろ!俺が何したって言うんだ!」
  穏やかな時間が流れていく。皆の緊張も糸もここで途切れたのか、続々と眠り始めた。そして···

〇プライベートジェットの中
  数時間後 アメリカ イリノイ州 シカゴ空港付近上空
  ぐっすり眠っている斎王達を雷王跋会の組員が起こしてまわる。皆ゆっくり体を起こすと東条から説明が話される
東条のカシラ「今管制塔から連絡が入って、どうやら空港が『テロリストの襲撃』にあってるらしいです」
東条のカシラ「テロリストの狙いは不明ですが、一部機器系統が故障して使えなくなってるらしくて」
東条のカシラ「通信も途中で切れました。あと10分で空港に着陸しますが、皆さんは機内に居てください」
東条のカシラ「ウチの若いのを数人連れてきてるんで、そいつらに様子見させます」
エンチャント魔導法士「テロリストの装備は?まさか丸腰じゃあるまい」
東条のカシラ「そこら辺もわかりません··· ··· ···すいません、少しお待ちを」
  ここで無線が入ったのか東条は会話を始める。数分の後会話が終わり、斎王達に詳細を話始める
東条のカシラ「テロリストからです···『中国人の非能力者』を探してるそうで···」
エンチャント魔導法士「フェードがやばいな、異能力検査チェッカーがある以上バレるぞ。どうする?」
斎王幽羅「フェードは俺がどうにかする、恐らくだけど···この『空気と一体化する能力』」
斎王幽羅「あらゆるものに潜り込む能力と同じで『触れてるものに能力を適応させるか否かを能力者が決めれるはず』」
斎王幽羅「まだ全然慣れてないけど···できるだけやってみるよ」
エンチャント魔導法士「ワシらは万が一のためにも斎王とフェードを守る、それでいいな?」
  一同が頷き、今飛行機は空港に着陸した
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第40話 謎の集団

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