第6話「彼女は、悪女? 聖女? 敵は誰?」 (脚本)
〇時計
リアリナ・シャルルド・グレイ「あの盗賊たちを雇って私の首を狙ったのは、もしかして、ヒロイン?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「だったら、土下座あるのみ!」
〇黒背景
・・・ Loding・・・
── GAME START ──
〇基地の広場(瓦礫あり)
帝国歴 785年──
戦乱の時代
エレオノール国もまた戦乱の世に巻き込まれた国家であった
〇謁見の間
小国であったエレオノール国は、迫り来る強国との戦いのため
〇怪しげな祭祀場
国中の魔法使いを集め
生み出したのが
フルッティ・ディ・ディアボロ
通称──悪魔の果実
それは、最強にして最悪な兵器であった
〇魔法陣2
悪魔の呪いをかけられた樹木から生まれたその果実は
手にした者が、甘いものが欲しいと願えば甘くなり
肉を望めば肉となる
人の欲望と共に味を変え、形を変える
しかし、食べれば最後
悪魔の呪いが魂に刻まれる
人の欲望を糧にした悪魔の呪いは、いつしか人間の思考を支配し
身体中の自由を奪い、激痛とともに呪いが溢れ出て——
”悪魔”へと、人を変える
〇基地の広場(瓦礫あり)
敵国に贈物として贈り、内側から国を滅ぼすその戦法は
残虐非道とされ、戦後は封印された
はずだった──
〇外国の田舎町
なんの因果か、それはエレオノール国内で広まった
悪魔の果実の呪いを抑える薬は
〇教会
大神殿が生成した聖水
そして──
悪魔の果実の呪いを解くことができるのは
デビルハンターが持つ
聖女の力を宿す剣のみである
〇黒背景
〇空
テオフィル・ベフトン「リアリナ様、見てください! 海が見えますよ!」
〇綺麗な港町
リアリナ・シャルルド・グレイ「きゃー! 海ー!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そうであろう?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「車窓から見えるこのあたりの景色は、いつみても美しいのだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いつ見ても?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「へーえ。そんなに頻繁に通っていらっしゃるのですか」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ち、違う!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「た、たまたまこの道をよく通るということだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そういえば、馬車に王家の紋が無いですわね」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「今日は公務では無いからな・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「とか言って、聖女様とお忍びで会うから紋のない馬車をお選びになったのでは?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そうではない!! わ、私は民のことを考えてだな!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そんなに慌てなくても」
リアリナ・シャルルド・グレイ「お二人の関係に波風はたてませんわ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ。実はミレーユとは・・・」
〇原っぱ
リアリナ「ねえ、テオ見て!!」
リアリナ「あの動物は何かしら」
と、窓の外をリアリナが指差す
テオフィル・ベフトン「あれは、野生のバリーラムでございますね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「すごい大きいのね!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ、子供もいるわ」
テオフィル・ベフトン「バリーラムは温厚な動物ですが、」
テオフィル・ベフトン「子供に匂いがつくと、その人間の匂いに向かって群れで襲ってきますので」
テオフィル・ベフトン「無闇に手を出すと危険ですよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「見てみて!! あそこにも何かいるわ!!」
テオフィル・ベフトン「あれはヒッポグリフです」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そういえば、山の上にレース用で育てている厩舎があったはずだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「レース!? 楽しそう!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「どうした?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「?????」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「いつもは動物など興味なかっただろう?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうだっった!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(リアリナはどんなことにもクールだったわ!)
リアリナ・シャルルド・グレイ(なのに私ったら、動物ごときではしゃいでしまった!)
リアリナ・シャルルド・グレイ「悪役令嬢失格!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「だが、少女のようにはしゃぐリアリナも嫌いでは無い」
リアリナ・シャルルド・グレイ「嫌いでは無い?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「あっ、いや!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「別に深い意味などはない」
リアリナ・シャルルド・グレイ「では、たまには少女のように振る舞ってもよろしいかしら」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「う、まあ、いいのではないか?」
〇レンガ造りの家
ミレーユ「いらっしゃーい。スターン!!」
ミレーユ「と、リアリナ様!?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ご機嫌よう。聖女様🎵」
ミレーユ「い、いらっしゃいませー。よかったらくつろいでください」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「?」
ミレーユはスタンの腕を取り、リアリナ達から離れた
〇養護施設の庭
ミレーユ「スタン、どういうこと?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「それが・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナがミレーユに会いたい」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「と、言い出したからで」
ミレーユ「もしかして、計画がバレたの?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そ、それは断じてない」
ミレーユ「どうかしら、スタンはすぐ顔に出るから」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「断じて・・・漏らしてはいない」
ミレーユ「もしリアリナ様にあの計画に気づかれたらどうするつもり?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「わかっている」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「今後も、リアリナには決して悟られぬよう気をつけよう」
ミレーユ「ふう・・・。わかったわ。 一旦信じる」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「うむ」
ミレーユ「でもここにいられたら邪魔ね」
ミレーユ「さっさと追い返さなくちゃ」
〇時計
リアリナ・シャルルド・グレイ「聖女になんと言って謝れば許してもらえるかしら」
リアリナ・シャルルド・グレイ「なんとしても!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「バッドエンドをクリアしないと!!」
〇豪華な部屋
ミレーユ「お待たせいたしました」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ありがとう。とても可愛らしくて素敵なお家ね」
ミレーユ「ええ、」
ミレーユ「王宮が色々と用立ててくださったんです」
ミレーユ「お陰様で、何不自由なく過ごしているんです」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それはいいことだわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私も聖女様に何かしたいのだけど」
ミレーユ「・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「何か足りないものはないかしら?」
ミレーユ「そんな!! 薔薇のハーブティーまでいただいてしまったのに」
ミレーユ「それ以上何かをいただくなど、とんでもありません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私なら、こんな辺鄙な場所ではなく、王都の中心に家をあげられるわ」
ミレーユ「ありがたいお話ですが」
ミレーユ「この土地の、」
ミレーユ「のどかな感じが好きなんです」
リアリナ・シャルルド・グレイ「確か、ミレーユは北部出身だったわね」
ミレーユ「はい。ピアリフィア領地です」
ミレーユ「実家は今も牧場を営んでいるんです」
〇外国の田舎町
ミレーユ「牛や馬に囲まれて育ったのもあって」
ミレーユ「草いきれの香りのするこの土地は落ち着くんです」
リアリナ「わかるわー。実家の匂いってホッとするわよね!」
ミレーユ「ですから、お気持ちだけ頂戴しますね」
〇豪華な部屋
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうね!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(って!! 引き下がってどうする!?)
リアリナ・シャルルド・グレイ「私ね。聖女様には特別なことをしたいと思っているの」
リアリナ・シャルルド・グレイ「心の底からあなたの役に立ちたいのよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「だから、頼ってちょうだい!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(そして、殺しのリストから私を外してぇええー!)
ミレーユ「リアリナ様のお気持ちはとても嬉しいですが」
ミレーユ「ただ充分過ぎるほど王宮からいただいておりますから、ご心配なく」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あっ・・・ええ」
リアリナ・シャルルド・グレイ(ああ!! 恩を着せる作戦が通じない!!)
リアリナ・シャルルド・グレイ「かといって、謝罪するタイミングも・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ううんっっ!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(スタンが聖女様にベッタリとか!)
リアリナ・シャルルド・グレイ(ああ、どうしたらいいの?)
〇空
〇豪華な部屋
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