Xヒーロー

語り部

第36話 潜り込む能力(脚本)

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〇施設内の道
  2021年 神奈川県 綾瀬市大和市間 海上自衛隊厚木飛行場内
岡崎 警視正「いいかよく聞け灰色の悪魔!お前の母親はチンピラに襲われたんじゃない、お前の母親『雪月雪羅』は」
岡崎 警視正「我々警視庁と他組織が半グレにそうさせるよう『仕向けたんだよ』!」
キング「斎王聞くんじゃねェ!足止めの為のハッタリに決まってる、早く行くぞ!」
  しかし斎王はキングの言葉に耳を貸さず、飛行機を降りる。斎王は今まで誰にも見せたことの無い
  怒りを通り越し『殺意』を抱いた表情で、岡崎に近づく。キング達も慌てて降り、斎王の体を抑えようとするが
  斎王の体を手がスルりと抜け、斎王を見るとその姿は『蜃気楼』のように不安定に揺らいでいた
斎王幽羅「なぜ母さんを狙った?誰の指示だ?他組織とはなんだ?全部答えろ」
岡崎 警視正「あぁ、いいぞ。だが俺が知っている事にも限りがある、話せる事にも範囲があるから承知して欲しい」
斎王幽羅「構わない。話してくれ」
岡崎 警視正「まずなぜ雪月雪羅が標的になったか、結論から言うと警視庁も『わかっていない』」
岡崎 警視正「警視庁はあくまでアメリカのとある組織から委託された仕事をこなしたまでだ」
斎王幽羅「組織の名前は?」
岡崎 警視正「『WoOS(ウォーズ)』という組織だ。World Of Shineの頭文字を取ってそう呼ばれている」
斎王幽羅「今もアメリカにその組織はあるのか?」
岡崎 警視正「さぁな?CIAと同じ諜報機関だからわかりかねるがね。まぁ···そろそろ良さそうだ」
  そう言うと岡崎は手を挙げた後、下ろす。瞬間紅色派の趙が孔明扇を振るい、同時に警察官が斎王の頭を狙撃する
  誰もが斎王の『死』を確信したが··· ··· ···
  皆が直ぐにその考えは間違えだったと『気づいた』
岡崎 警視正「なんだお前···その『体』は!なんで···なんでお前···」
岡崎 警視正「『体が煙のように揺らいでいるんだ!?』」
趙「おいおい冗談だろ···?運命の風で因果律をねじ曲げたんだぞ···?なぜ『死なない?』」
斎王幽羅「まだ聞いてないことがある。喋ってもらうぞ」
  斎王は一歩一歩ゆっくり近づく。そんな斎王に岡崎は腰に差していた銃を取り出し斎王に向ける
岡崎 警視正「動くな!この中には無源弾が入っている、能力者の能力を無視して被弾させることの出来る弾丸だ!」
岡崎 警視正「どういうカラクリかわからないが···ひとまずその場に跪け。さぁ!」
岡崎 警視正「斎王の一味と一文字族も余計な真似はするな!斎王幽羅を殺されたくなかったら大人しくしていろ!」
  その場に跪き、両手を頭の後ろに乗せる。岡崎が斎王にゼロ距離で銃口を突きつけ趙に傍に来るように合図をする
岡崎 警視正「あの狙撃で仕留められれば良かったんだがな···まぁいい、お前と仲間達の冒険はここで終わりだ」
岡崎 警視正「お前を殺したら仲間達を逮捕して、一文字族と雷王跋会には適当な理由つけて組織を解体させ」
岡崎 警視正「無事俺は出世、『氷帝』鬼月冷羅がどう動くかは分からんが少なくともアメリカからは出ないだろう」
岡崎 警視正「お前の悪運もここまでだったようだな、死ぬ前に教えてやる」
岡崎 警視正「雪月雪羅を殺した半グレは総勢23名、だがな···雪月頼、斎王勇次郎、鬼月冷羅が来る前にあの場から『3人逃走している』」
岡崎 警視正「ロナルド・アンダーソン、黄 俊杰(ファン・ジュンジエイ)、そして···」
岡崎 警視正「岡崎勉、つまり···『俺だよ』」
  斎王がその言葉を聞き、目を丸くした。そしてかつて自分が抱いたことない程の殺意を抱いていた
岡崎 警視正「上の命令で音声を撮っていてな、あれがなぜ必要なのか分からなかったが···」
岡崎 警視正「お前の母親、随分可愛らしい声で鳴くんだな?雪女の血が薄いらしいが」
岡崎 警視正「死んでったヤツらは言ってたぞ?『最高のオモチャだ』ってな」
岡崎 警視正「さて、時間だ。趙、孔明扇を同時に振るえ。行くぞ?」
  勝ちを確信し放たれた弾丸。かつて喧嘩王があみ出した能力者の能力を無力化する一撃『無源拳』をヒントに
  その原理を解明し、非能力者達が作り出した弾丸『無源弾』。だがこれには致命的な欠点があった
  それは『覚醒能力に対して効き目がない事』である。
  通常の能力の出力元は能力者自身だが、覚醒能力は『自身と星』を出力元としている為
  異常な源を無にする『無源拳』では完全に覚醒能力を無力化できないのである。
  無論喧嘩王はこれに対して対処法を考えていたが、現在の非能力者達はそれを怠っていた為
  今回のような『異常事態』が起きてしまった
岡崎 警視正「む、無源弾が···『効かない』!?運命の風で因果律をねじ曲げて『殺害する』未来にしたはず···!」
趙「こいつ···能力が『覚醒』したのかもな。覚醒能力はあらゆる異能力の『干渉を受けない』からな」
趙「かつて黄(ファン)が紅色派に泣きついてきた時、紅色派で雪月頼を相手にしたことがあったんだが」
趙「時を止める異能武器と精神力を弱らせる異能武器で対応したが、雪月頼はそのどちらの異能も」
趙「『完全無視』で行動できた。だが一方で水や炎といった物は干渉が可能だった、恐らくだが」
趙「昔あった『ビート』という呼吸法による戦闘法の中にある原理『万物の基本物質である5つの要素』が」
趙「覚醒能力に対する唯一無二の『攻撃方法』なのかもしれんな。まぁそれでも雪月頼に火炎放射器浴びせても」
趙「『肌が少し黒くなる程度』だったがな。今の非能力者の力じゃ、覚醒能力者は殺せん」
  そんな中、斎王の体は徐々に『空気と一体化』し始める。斎王の下半身が消え
  上半身も消え、いよいよ首から上が消え始めた頃、目の部分で空気との一体化は止まる。
  斎王は目から上のみ姿を残した状態で岡崎を睨みつける。岡崎は恐怖で腰を抜かし、斎王に向け何発も発砲する
  だが弾丸は無情にもすり抜け、岡崎が後退りする中、岡崎の動きが止まる
岡崎 警視正「う、動け···ない···!ち、趙···助け···」
趙「助けろってか?どうやってだ?斎王幽羅は今空気と一体化してお前の体内に『潜り込んでる』んだろ?」
趙「無源弾も効かない覚醒能力者と無策で喧嘩するなんてごめんだね。それにお前が囮になれば」
趙「紅色派は無事この場を脱出できる。あばよ岡崎、下辈子再见(また来世)」
  そう言って趙はその場を去る。その姿を誰も止めず、紅色派はその場を後にした
  そして岡崎は拳を作りそして自身の顔を殴る。岡崎は不思議そうに自身の拳を見つめながら
  そして何度も自身を殴り続ける。突如それは止まり、斎王は首まで元に戻り話始める
斎王幽羅「知ってることを言え」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第37話 這い上がる寒さ

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