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野田ノゾム

第3話 『激励のあるなしクイズ』(脚本)

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〇教室
三沢愛「鷲田大学に行きたいです!」
坂下一平「あのな。三沢はソフトボール部 辞めたんだよな? スポーツ推薦は無理だぞ」
三沢愛「わかってます。 一般入試で鷲田に行くつもりです」
三沢愛「私、ソフトでケガして 悔しい思いをしたから・・・」
三沢愛「鷲田でスポーツ科学について 学んでみたいんです」
坂下一平「1、2、1、2、3」
三沢愛「はい? あ。歌えってことですか?」
坂下一平「バカ。三沢の1学期の5教科成績だ」
三沢愛「・・・ま、まだ夏だし。これから──」
坂下一平「鷲田は超難関だ。 間違いなく浪人することになるぞ?」
三沢愛「浪人はできないです。 ウチ、母子家庭で裕福じゃないし・・・」
坂下一平「だったらなおさら鷲田はやめて 別の大学にしたほうがいい」
坂下一平「とにかく、1週間後の 三者面談までよく考えておけ」

〇学校の廊下
  愛が教室から出ると、
  隣のクラスから究太郎も出て来た。
三沢愛「究太郎君も面談終わり?」
本田究太郎「・・・・・・」
三沢愛「私さ、いま進路相談したら、先生から 鷲田は厳しいって言われちゃって・・・」
本田究太郎「問題。今回はあるなしクイズだ」
三沢愛「へ?」
本田究太郎「『シャープペン』にあって 『クレヨン』にない」
本田究太郎「『トイレットペーパー』にあって 『ティッシュペーパー』にない」
三沢愛「分かんないって・・・」
本田究太郎「『ろうそく』にあって 『懐中電灯』にない」
三沢愛「私、どうせバカだし」
本田究太郎「・・・・・・」

〇明るいリビング
愛の母「進路の件、どうすることにしたの?」
三沢愛「まだ考え中・・・」
愛の母「いい? ウチは浪人なんてする お金ないんだからね?」
三沢愛「わかってるよ」
愛の母「今まで勉強なんてしてこなかったんだから、身の丈にあった大学に行くのが一番よ」
三沢愛「・・・うん」

〇教室
  愛は数学の教科書をペラペラと
  めくりながら、ため息をついた。
三沢愛「チンプンカンプン・・・。先生やママの 言う通り、私には無理かな・・・」
本田究太郎「『リンゴ』にあって『みかん』にない。 まだ分からないのか?」
  気が付くと、
  愛の席の前に究太郎が立っていた。
三沢愛「ど、どうしてここにいるの? 究太郎君、隣のクラスでしょ?」
本田究太郎「・・・・・・」
三沢愛「ねぇクイズのヒントちょうだいよ」
本田究太郎「あるほうに共通するモノがある。 君には・・・ある。――間違いなくあるね」
三沢愛「え・・・わ、私にある?」

〇教室
  進路志望用紙の裏に、「あるなしクイズ」のあるモノを書き連ねる。
三沢愛「こんなことしてる場合じゃない けど・・・。気分転換にやってみるか!」

〇教室
  シャープペン、トイレットペーパー、
  ろうそく、りんごが机に並ぶ。
  愛はそれらを眺めながら頭を抱えた。
  その時、シャープペンを落として
  中から芯がこぼれた。
三沢愛「あっ! もしかしてこれ・・・」
三沢愛「全部芯があるモノ?」
  「ある」の下段に
  「三沢愛」と書いてみる。
三沢愛「私にも芯がある・・・!?」
三沢愛「そっか・・・究太郎君、 それを伝えるためにこのクイズを・・・」
三沢愛「よーし! そういうことなら・・・!」

〇教室
  愛は教師に、進路志望用紙を差し出た。
三沢愛「この1週間でちゃんと答えを出しました」
坂下一平「そう、分かればいいんだ」
  紙には
  「進学希望 鷲田大学スポーツ科学部」
  と書かれている。
坂下一平「三沢、正気か?」
愛の母「鷲田!? 鷲田ってあの──」
三沢愛「先生、ママ! 私、鷲田大学を目指したいの! お願い」
坂下一平「三沢の成績は1、2、1、2、3だぞ?」
三沢愛「先生。私、どんなことがあっても・・・ 夢に向かってがんばるって決めたんです!」

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