第2話 『クイズマニアのキス相手?』(脚本)
〇大きい交差点
三沢愛「今日もいい天気だなぁ~」
本田究太郎「問題」
振り返ると究太郎が立っていた。
三沢愛「いやいや。 朝会ったら、まず言うことがあるでしょ?」
本田究太郎「歌舞伎で座長に対する 『お早いおつきですね』 から転じた言葉といえば?」
三沢愛「またクイズ・・・ どうしてクイズでしか会話しないの?」
本田究太郎「それはクイズか?」
三沢愛「ただの質問」
本田究太郎「・・・・・・」
三沢愛「ったくもう・・・ 朝なんだから普通におはようでよくない?」
三沢愛「あっ、ていうかもしかして クイズの答えがおはよう?」
本田究太郎「・・・正解」
三沢愛「それくらい照れずに言いなよ。 クイズにしなくたって・・・」
究太郎の姿は既になかった。
三沢愛「も~! マジでメンドくさいヤツ!」
〇学校の廊下
木塚渚「あのクイズオタクと会話するのは ムチャだって」
三沢愛「それをどうにかしたいのよ」
木塚渚「え・・・何? アイツのこと好きとか?」
三沢愛「違う! 何か気になるっていうか・・・ ほっとけないというか」
木塚渚「それ、恋じゃない?」
三沢愛「100パーセントない! 絶対ない! あんなムカつくヤツ!」
木塚渚「じゃあ無視でいいじゃん」
三沢愛「ん~。うまく言えないんだけどさ──」
本田究太郎「問題。漢字で書くと、5月に活発になる 虫の名前が含まれる形容詞は?」
振り返ると究太郎が立っている。
本田究太郎「答えは・・・うるさい」
究太郎は2人の間を通り抜けていった。
木塚渚「ね? ただのクイズオタクでしょ? 会話なんて成立しないって」
三沢愛「もー、むかついた! なんでもいいから会話させてみる!」
〇学校の廊下
愛は急いで究太郎に追いついた。
三沢愛「ねえ! 何か一つくらい普通にしゃべってよ」
本田究太郎「・・・・・・」
三沢愛「たとえば・・・ 究太郎君ってどこに住んでるの?」
本田究太郎「問題。たい焼きは発売当初は 違う動物の形をしていた。それは何?」
三沢愛「へ?」
本田究太郎「問題。ハチはオスが巣にいてメスが 働くことで有名だが、同じ生態を持つ もう1種類の昆虫といえば?」
三沢愛「に、2問連続!?」
本田究太郎「ヒント。クイズはただ知識を得るだけではダメだ。足で探すこと」
三沢愛「もう! 私はクイズを解きたいんじゃないの!」
その時、愛は究太郎の唇が
ウルウルしていることに気づいた。
三沢愛「あれ? それってグロス・・・?」
本田究太郎「!」
究太郎は恥ずかしそうに唇をぬぐって、
去っていった。
三沢愛「・・・あんな恥ずかしそうな顔、初めて 見た。まさか女の子とキスしたとか!?」
〇商店街
放課後、愛はお店でたい焼きを焼いた。
三沢愛「あちッ! 発売当初の形を聞きに来た だけなのにどうして手伝いを──」
たこ焼き屋店主「ほら。しっぽのところにもちゃんと 餡を伸ばして! そこ、焦げてる!」
三沢愛「あのぉ。私、弟子入りした ワケじゃないんですけど・・・」
たこ焼き屋店主「タダで教えるワケにはいかん」
三沢愛「こんなに焼くのが難しかったとは なぁ・・・。形が丸ければ焼きやすいのに」
たこ焼き屋店主「ま、昔は丸かったんじゃがな」
三沢愛「え? それって――詳しく聞かせて!」
〇広い公園
三沢愛「2問目の問題を解くためには、やっぱり ハチの巣を研究するのが1番よね・・・」
公園の木によじ登る愛。
石井・デビット・正行「ヘイ、愛ちゃん。 急にセミにでもなったのかい?」
三沢愛「石井君!? どうしてここに?」
石井・デビット・正行「習い事の帰りさ。 爺がリムジンで送るって言うんだけど、 今日は歩きたい気分だったからね」
木から降りて石井に近寄る。
三沢愛「ねえ、そういえば石井君って クイズ部の部長だったよね?」
石井・デビット・正行「イエス。クイズならオレに任せてよ」
三沢愛「究太郎君にクイズを出されたんだけど、 さっぱり分かんなくて・・・」
石井・デビット・正行「究太郎? ・・・ったく。アイツの勝手な 行動にはオレたちもかなり手を焼いてる ところさ。で、どんな問題?」
三沢愛「ハチ以外でメスだけが働く虫って 何か分かる?」
石井・デビット・正行「そんなイージーなことか。一緒に 帰りながらゆっくり教えてあげるぜ?」
三沢愛「え・・・それはちょっと・・・」
石井・デビット・正行「ノープロブレム。家まで送るだけさ」
三沢愛「う~ん、ごめん。ヒントだけでいい」
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