からすときつね

ぐらっぱ

第五話(脚本)

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〇田舎の教会
刻丸「アニキィ、あんまりッス」
刻丸「あんまりにも早すぎるっすよぉ」
刻丸「アニキーッ!!」
「うるせーっ!!」

〇田舎の教会
カラス「ナンパ失敗したぐらいで ウジウジすんじゃねー!!」
刻丸「・・・今回の孔雀の子 めっちゃタイプだったんス すげえ気合い入れたんスよ」
カラス「でもすでに番(つがい)がいた、と」
刻丸「相手は居ないって前は言ってたんスよ? それでアタックしたんス そうしたら・・・」
刻丸「「地味な烏はタイプじゃない」 って言われちまったんス うぅ・・・」
カラス「今回の子とは縁が無かっただけさ 次頑張ろうぜ」
刻丸「派手な孔雀の旦那には敵わないッス あっしは只の烏 地味な鳥でサァ・・・」
カラス「地味な烏だったのは昔の話だろぉ? 今は違うんだし」
刻丸「そうなんスけどねぇ・・・」
カラス「きっといつかいい子が現れるさ 焦る事はねぇ」
カラス「この俺様のように ドーンと構えていればいいんだよ」
刻丸「・・・」
刻丸(そういやアニキは合コンに行くたび 連敗しっぱなしッスね)
刻丸(それでも挫けず毎回アタックしてるし・・・ さすがアニキッス 強い心の持ち主ッス)
刻丸(いや、アニキの事だから 何か深いお考えが)
刻丸「・・・あっ」
カラス「ん? なんだ?」
刻丸「なるほど だからアニキは毎回本気ではなかったんスね」
カラス「え? 何の話だ?」
刻丸「アニキはすでに心に決めた人がいるんスね」
カラス「はぁ!?」
刻丸「キツネの姐さんの事 好きなんスよね?」

〇雷
カラス「はあぁぁぁあ!?」

〇田舎の教会
カラス「ちょ・・・!! ち、ちちち、ちがっ・・・ ってなんでそんな話になるんだよ!?」
刻丸「え? だって他のやつに姐さんの手料理を 食べさせたくなかったんスよね?」
刻丸「だから黒虎のボウヤに出された料理を 全部奪って平らげたんスよね?」
カラス「ち、ちげーし そんなんじゃねーし」
刻丸「またまたー 照れちゃって」
カラス「違うんだって!! 料理の事はなぁ 俺に多少責任があってだな・・・」
刻丸「責任・・・ 二人はもう将来を誓い合った仲で!?」
カラス「おいぃぃぃ!! そんなんじゃねー! 昔ちょっとな・・・」
刻丸「昔っていうと 戦争の時にでもなんかあったんスか?」
カラス「いや、戦争が終わった直後くらいかな あの時・・・」

〇黒背景

〇雲の上
  5人の弟子達に自らの力を分け与えた後、
  神はこの地を離れた。
  しかし神の弟子達はその力を独占するべく
  相手の力を奪う為に争いを始めた。
  天上を5つに分け
  地上も巻き込んだその戦いは長く続いた。
  だがある一人の提案により
  一先ず停戦する事になり
  世界は束の間の平和が訪れた。

〇朝日
キツネ「終わったか・・・」
カラス「やっと戦争が終わったな いつまた再開するかわかんねぇけど」
キツネ「沢山、同胞達を失った・・・」
カラス「ああ・・・」
キツネ「・・・」
カラス「そう暗くなるなって 平和になったんだし 今よりもっと好きな事ができるんだぞ?」
キツネ「好きな事・・・?」
カラス「そうそう! 色々遊べるようになって これからきっと楽しい事が増えるさ」
キツネ「分からない・・・ ボクは主上の牙になる為に育てられた 戦い以外何をしてよいのか分からない」
キツネ「戦いが無くなれば神獣も必要無い ボクの役目は終わりだ」
カラス「いや、そんな簡単に神獣いらねって あの主上が言うわけないだろ? 仕事は色々あるだろうしさあ」
カラス「それにほら なんかあるだろ? 趣味とか何か好きな事」
キツネ「趣味・・・ 分からない。戦う事しか知らないんだ。 戦争が終わったらボクは何をしたらいい?」
カラス「え、えーっと! そうだ、趣味を作ればいいんだよ 料理でも釣りでも」
キツネ「リョウリ・・・?」
カラス「料理が気になるか? やってみるなら教えられるぞ 材料を切ったり焼いたり」
キツネ「リョウリ・・・ 刀を使うならボクにも出来そうな気がする」
カラス「え、えーと 刀じゃなくて包丁な?」
キツネ「早速やってみる」
カラス「出来たら俺が食べてやるよ アドバイスは出来ると思うから」
キツネ「ありがとう」

〇カラフル
カラス(あ、あれ? コイツこんなに可愛かったっけ)

〇朝日
キツネ「それじゃ鍛錬してくる!! またな」
カラス「おう 頑張れよ」
カラス「・・・」
カラス「あいつ一人で大丈夫か・・・?」
カラス「いや、そんな難しい事じゃないしな 多少黒焦げの料理が出てきても食べてやるか」

〇後宮の回廊
  それから暫くして

〇L字キッチン
キツネ「リョウリができたぞ 食べてみてくれ」
カラス「お、おう・・・」
カラス(なんかドキドキする・・・)
カラス「で、料理はどこにあるんだ?」
キツネ「目の前にあるじゃないか」
カラス「えっ・・・?」
  ──怪しげな物体がウネウネ動いている
カラス「こ、こここ、コレは何かな?」
キツネ「素麺だ」
カラス「そ、そう、め、ん・・・?」
キツネ「変だった? やっぱりボクなんかがリョウリできるはずが ・・・」
カラス「い、いや!! ちょっとばかし形が独特だったから 驚いただけだぜ!」
キツネ「・・・食べてくれる?」
カラス「おう! 食べる食べる いやぁおいしそうな匂いがするなぁ」
カラス「・・・」
カラス(ちょっと嫌な匂いするんだけど これは食べ物なのか・・・?)
カラス(でも食べるって約束しちまったしな うん、きっとこれは見た目が変なだけだ 食用だと信じよう)
カラス「いっただきまーす!!」

〇雷
カラス「こ、これは・・・」

〇L字キッチン
カラス(やっべぇ・・・ ヌルヌルしてて食感気持ち悪いし 飲み込めねぇ)
カラス「まず・・・」
カラス(いや、キツネが趣味を見つけられたのに ここで正直に言ったら ショックで辞めてしまうかもしれん)
カラス「まず・・・まずだな 初心者ならこんなもんだろ」
キツネ「本当か! リョウリって楽しいな また今度作ってみるよ」
カラス「そうか 楽しみだなぁ はは、ははは・・・」
カラス(俺が後でなんとか 正しい料理を教えないといけないな・・・)
カラス(しかし今は・・・)
カラス「そういや主上の所へ行ったのか? 今日の見回りの報告まだだろ」
キツネ「あっ・・・いけない すっかり忘れていた」
キツネ「ありがとう 行ってくるよ またな」
カラス「おう」
カラス「・・・」
カラス「行ったか」
カラス(耐えろ俺!! 大丈夫きっと・・・)
カラス「いや、無理!! 耐えられねぇ」

〇個室のトイレ
「おえええぇぇぇぇぇえ!!」
カラス「うっ・・・ まだ、出るっ!! 腹もやべっ」

〇風
  ──暫くお待ち下さい──

〇動物
  ・・・
「オロロロロロロロロ」
「駄目ぇっ!! 止まらねえ うっ・・・また」
「おふぅ」
「オエエエェェ」
「──・・・!!」

〇田舎の教会
カラス「──って事があってだな」
カラス「俺があの時ハッキリと言っていれば・・・」
刻丸「キツネの姐さんに料理教えてないんスか?」
カラス「あ、ああ・・・ 実はその後色々忙しくなってな タイミングを逃したというか」
刻丸「まぁ番(つがい)になってから ゆっくり教えたらいいッスよね」
カラス「だから違うって!! あいつとはそんな仲じゃ・・・」
刻丸「またまた照れちゃって 惚れた雌の為に命張るなんて さすがアニキッスね」
カラス「なっ・・・!? そ、そそっそれは違うから! 俺は自分が言った事の責任を」
刻丸「さぁて、あっしはそろそろ行きますぜ 姐さんと幸せになってくだせぇ 応援してるッスよ」
カラス「ま、待て! そいつぁ誤解なんだぜ 刻丸、待ってくれ!!」
カラス「・・・」
カラス「俺があいつを? そ、そんなわけあるかっ!」
カラス「待ってくれ刻丸! それは誤解なんだって おーい!!」

〇黒背景

〇荒廃した街
ガラの悪い男「ヒャーハッハッハ!!」
ガラの悪い男「奪える物は全て奪え!! 抵抗するやつは皆殺しだ!」
村人「た、たすけて・・・」

〇黒背景

〇雲の上
  ・・・
  い
  い ま
  い ま い
  い ま い く

〇黒背景

〇水中
「・・・」
「泉を守る”母”達よ 今月生まれたのはこの子だけか?」
母達の一人「さようでございます」
「新たな魂をもっと増やさなければ・・・」
(──このままだと絶えてしまう 同胞も増やす事が出来ませぬ)
「至急、魂を探す必要がある しかし・・・」
(──あの者・・・ですね)
「あの者がアレの封印を解こうとしている その為に多くの魂を・・・」
(──アレの存在は我らの罪)
「だが我らは直接手を下せない 我が子らに託すしかない たとえ犠牲が多くても」
(──招集をかけましょう 最善の策を考える必要がある)
「招集か やむを得ないな」
(──あの子らを多く失う、その前に)
「生命を守る”母”よ お前は素質ある者が誕生したら 即座に教えておくれ」
母達の一人「御意」
「では我々は一度戻るとしよう」

〇黒背景

〇魔界
「あの駄犬・・・ 無事だべか」

〇黒背景

〇幻想
  世界の危機が囁かれる中で
  カラスの恋の行方は・・・
  第六話へ続く──

次のエピソード:第六話

コメント

  • 駄犬とダベっ娘のコンビ……懐かしい(笑)
    からすは男の中の漢ですね!恋愛成就祈願!(あ、刻丸にも)
    「しばらくお待ち下さい」の演出面白かったです!

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