第六話(脚本)
〇後宮の廊下
???「・・・」
???「久しぶりにこの衣装だと 肩が凝りますねぇ」
???「まぁ、頼まれたからには お給金分の働きはしましょうか」
〇黒
〇古風な和室(小物無し)
キツネ「任務だ」
カラス「うぉ!?」
キツネ「何を驚いているんだ?」
カラス「いや・・・ キツネサン、ヒサシブリデスネ」
キツネ「昨日会ったばかりだが」
カラス「そ、そうだったか? ははは・・・」
カラス(くっそ 刻丸が変な事言うせいで 意識してしまうじゃないかよお)
キツネ「今日はいつも以上に挙動不審だな」
カラス「いやっ! 何もないっ ナンデモナイデスヨォー!」
キツネ「まぁいい 今日来たのは・・・」
「それはわたくしから説明しましょう」
「今日わたくしが来たのはですね・・・」
カラス「え? うしお? お前なんで厚化粧・・・」
うしお「何か言いました?」
カラス「ナンデモナイデス」
うしお「実は、二人で地上の調査をしてほしいのです」
カラス「なんでうしおが? 主上はどうしたんだ?」
うしお「主上は今不在なので その間わたくしが主上の代理を務めます」
キツネ「何度も呼んだのに お前と来たら全く来ないから」
カラス「それは・・・ その、悪かった」
うしお「二人で地上へ行き 生命の泉を調査するよう 主上から伝言を預かっています」
カラス「二人で・・・?」
うしお「ええ」
カラス「いや、ちょっと二人は・・・」
カラス(なんか意識しちまうし 今二人っきりは気まずいな・・・)
うしお「何か問題でも?」
カラス「え、えーっと・・・ 地上の調査くらい俺一人でできるぜ!」
キツネ「今日は随分とやる気だな」
カラス「俺はやる時はやる漢だぜ」
カラス(やっべ 勢いで言ってしまったが すっげえサボりたい)
うしお「やる気があるのは良い事ですが カラス様は一人で地上へ行けないでしょう?」
カラス「そうだけどよぉ・・・」
キツネ「ボクと一緒なのが不満か?」
カラス「いやっ そういうわけじゃ・・・」
カラス(えーっと・・・ 考えろ俺 なんとか二人っきりを回避しないと)
カラス「いや、ほら! 主上不在なんだろ? そんな時に神獣二人共いないと不安だろ」
うしお「我々主上の使いの者だけでは不安ですか?」
カラス「いやっ! そういうわけじゃねぇけど どっちか一人残った方が安心かなーって」
キツネ「それじゃあボク一人で行く それでいいだろ?」
カラス「あぁ・・・」
カラス(いや、一人家で悶々としてるのもなぁ めんどくせえが仕事に集中する方いいか)
カラス「いや、だめだ 俺が行く! 行くったら行く!」
キツネ「お前どうしたんだ? いつもならサボれるって喜んでるのに」
カラス「俺だってたまには仕事しないとな いいだろ、やる気出したってさぁ」
キツネ「でもお前 一人で地上行けないじゃないか」
カラス「それはそうだけど・・・」
うしお「確かにカラス様の言う通り 主上不在時に神獣二人も不在は 少し不安がありますね」
うしお「しかし泉の調査は日程をずらせませんし どうしたらよいか・・・」
カラス「俺がさっさと行ってさっさと終わらせるぜ」
うしお「・・・」
うしお「そうですわ 黒虎と一緒に行くのはどうです? あの子も役に立ちますわ」
カラス「えっ? あいつも?」
キツネ「まあ泉の調査だけだから 危険な事はないだろうけど」
カラス「俺の頭皮が危険だよ・・・」
うしお「では、キツネ様は社の警備をお願いします 先に戻っていてください」
キツネ「御意・・・」
カラス「・・・」
うしお「カラス様 泉の調査を頼みますね」
カラス「あのさ・・・ 何故主上は俺にも任務を? 最近やたら二人でと言われるような」
うしお「神獣の事をもっと 知って欲しいのですよ」
カラス「何度言われても 答えは変わらないよ 俺は」
うしお「それで良いのですか?」
カラス「ああ・・・ キツネだって一人で充分仕事できている 俺がいる必要はねぇよ」
うしお「そうですか・・・」
カラス(俺なんかがなるわけには・・・)
うしお「そうですわ これを渡しておきます」
カラス「なんだ?」
うしお「これがあれば泉を守る母達にも カラス様は代理という事がわかるでしょう」
カラス「ありがとうな」
うしお「カラス様、御武運を」
カラス「ところで なんで今日はいつもの格好じゃないんだ?」
〇三角模様
〇古風な和室(小物無し)
カラス「いつもだったらあんな地味なのに 今日は厚・・・」
うしお「主上に代理を頼まれましたからね」
カラス「いってぇ・・・ ボディに決まったぜ さすが初代」
うしお「それでは私は 黒虎に説明してきますね」
カラス「・・・」
カラス「あーあ 何やってんだろ俺 こんなん柄じゃねぇのに・・・」
カラス(ん・・・? なんで黒虎と?)
カラス(あいつの事何も知らないんだよなぁ ガウガウ言ってて会話になんねーし)
カラス(あいつ何者なんだ・・・?)
カラス「まぁ、いいか・・・」
〇黒
〇御殿の廊下
キツネ「・・・」
キツネ「あいつ、なんで・・・?」
キツネ「何度呼び掛けても反応ないし やっぱりあいつはボクの事・・・」
キツネ「いや、考えるのはやめよう 主上が不在の間 ボクがここを守らないと」
キツネ「・・・」
〇黒
〇秘密のアジト
思い出すのは
あの日は寒かった
ただそれだけ
〇ビルの地下通路
男1「ひい、ふう、みい・・・ 5匹産まれたか 立派な毛皮になってくれよ」
男2「旦那さん、毛皮が高く売れて上機嫌だったな 今日も朝まで呑んでくるとか」
男1「ここの養狐場は黒い毛皮が美しいと評判さ 外国のお客さんに大人気なんだと 給料をもう少し上げてほしいもんだが」
男2「俺らもあんな高級な外車乗りたいなぁ ・・・そういや吾郎はどこいった?」
男1「吾郎? さっき慌てて出かけて行ったな どこ行ったんだか」
〇外国の田舎町
吾郎「はぁ・・・はぁ・・・」
吾郎「もう少し耐えてくれよ 獣医さんに見てもらうからな」
吾郎「旦那さんも薄情だ まだこの狐っ子小さいのに 獣医に見せる必要無いなんて」
吾郎「まだ黒狐は一杯いるから たかが1匹弱ってたって放っておけなんて おいらにゃできねぇよ」
「クゥーン」
吾郎「よしよし もうちょっと我慢してくれよ」
吾郎「しかし今日は天気荒れてるな 猛吹雪で何も先が見えねえ」
吾郎「この道路を渡れば・・・」
「お、おい!! あんた大丈夫か?」
・・・
「お、おれは悪くねぇ!! あんたが急に飛び出してくるから」
「クゥーン」
「わっ!? なんだこの犬っころ あっちいけ! シッシッ」
〇雪山の森の中
ここはどこ・・・?
おかあさんいない
おなかがすいたよ・・・
さがさなきゃ・・・
あしがつめたい・・・
さがさなきゃ・・・
・・・
さむいよ・・・
もう・・・
うごけ、な、い・・・
お、かあさ・・・
・・・
〇モヤモヤ
お前は生きたいか?
・・・おかあさん?
生きたければ願え
おなか・・・すいた、よ・・・
・・・
この子は幼い
私が問いましょう
・・・?
私があなたの母になりましょう
もう飢えや寒さに苦しむ事はない
おかあさんなの・・・?
さぁ、願いなさい
”生きたい”と
い、き、たい
・・・おかあさん、そばに
契約は成された
お前はこれから──
〇御殿の廊下
キツネ「・・・」
キツネ「昔の夢を見ていたような気がする」
キツネ「うっかりうたた寝してしまうなんて カラスのなまけ癖がうつったかなぁ」
キツネ「いかんいかん しっかりしないと」
キツネ「しかしなんでカラスは・・・」
〇黒
〇森の中
カラス「しっかしよお」
黒虎「ガウ」
カラス「頭に齧り付くのはいい加減やめようぜ」
黒虎「ガウガウ」
カラス「イッテェ!! 更に噛み付くな! また禿げが増えるだろうが」
黒虎「ガーウ」
カラス「相槌代わりに噛みつくのやめろぉ」
カラス「っていうかコイツ連れてなんて 任務も何も出来る気がしないぜ どうしろっていうんだよ」
黒虎「ガウガウ?」
カラス「意思疎通も取れる気しねぇ・・・ 成り行きとはいえどうするかな」
カラス「だからといって やっぱ代わってくれなんて キツネに言いづらいしなぁ」
黒虎「ガウー」
カラス「っていうかお前どういう暮らししてたんだ? 生まれてから教育されなかったのか? ”母達”に育てられたんだろ」
黒虎「ガウー ・・・アッ デンゴン、デンゴン」
カラス「ん? 伝言?」
黒虎「コレ・・・ウケトレ」
カラス「ん? なんだこれ?」
カラス「うお?」
〇黒
〇カラフルな宇宙空間
???「さぁ、始めましょう」
???「あの者の処遇について 今決断する時を」
〇黒
〇幻想
カラス達に何が待ち受けているのか
黒虎の伝言とは一体・・・?
第七話に続く──
きつねが神獣になる前の回想で胸が締め付けられてしまいました。
黒虎が渡してきた珠で、からすに何が起きるのか……。
(嫌な予感しかしない)
きつね……(涙)
神獣になる前の話に涙腺来ました。
吹雪の中の運転はホント危険ですよね……。
どうかゴロウも報われますように。
次回を楽しみにしてます!