スキャンダラス・ムービー

穂橋吾郎

第5話 失われた金を求めて(脚本)

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〇おしゃれな受付
堂前俊一「だから、社長はどこにいったんですかって 何度も聞いてるじゃないですか!」
パレード社員「そんなの、こっちが聞きたいですよ!」
堂前俊一「出資は? 『アンラッキー・ホテル』への 出資は問題ないんですよね?」
パレード社員「知らない知らない知らなーい! あああ、何も分からない!」
堂前俊一(こいつ、完全に思考停止してやがる!)
パレード社員「とにかく! うちは倒産しました。社長は 消えました。それ以上は何も言えません!」

〇オフィスのフロア
矢野「ということで、株式会社パレードからの 出資は無くなりました」
堂前俊一「やはりダメでしたか・・・」
矢野「社長が金持ってトンズラしちゃったからね。もはやパレードには支払い能力ゼロ」
堂前俊一「パレード分の出資が無くなったとなると、どこかで予算を調整して──」
矢野「広告削ってよ」
堂前俊一「え」
矢野「そんなに宣伝しなくて平気でしょ」
堂前俊一「いや、待ってください!」
堂前俊一「公開まで残り1ヶ月。 いまが一番宣伝が必要な時期です!」
矢野「有名キャスト目白押しだし。 黙っててもファンが観に来てくれるよー」
矢野「SNSでちょこちょこっと宣伝して もらってさー、ははは」
堂前俊一(これだけエンタメが飽和した時代に、 そんな宣伝で客が集まるかよ!)
堂前俊一「お言葉ですが──」
矢野「無理なら他の人に引き継ぐから」
堂前俊一「くっ・・・!」
矢野「前も言ったけど、代わりなら いくらでもいるからね」
矢野「みんな君が朽ち果てるのを待ってるよ」
堂前俊一「・・・やりますよ、当然」
矢野「そうそう。こういう状況をなんとか してこそ、プロフェショナルだよ」

〇オフィスのフロア
堂前俊一「・・・ぜんっぜん足りない」
堂前俊一「どこかを削って広告に回してとか、 そんなレベルの額じゃない・・・」
堂前俊一「そりゃそうだ。 そもそもがギリギリでやってんだ」
堂前俊一「予算調整でなんとかする道は不可能」
堂前俊一「となると、残る道は・・・」
堂前俊一「あ、もしもし、俺だけど」
堂前俊一「お前、この間さ、奥さんの浮気調査で 探偵使ったって言ってたろ?」
堂前俊一「すぐに成果上げて、かなり優秀だったとか」
堂前俊一「その探偵、紹介してくれない?」

〇応接室
探偵「なるほど、行方をくらました社長の居所を突き止めて欲しいと」
探偵「無理ですね」
堂前俊一「なっ、どうしてですか!」
探偵「手がかりが少なすぎます」
探偵「これで3日以内に見つけるというのは ・・・現実的ではないでしょう」
堂前俊一「掛かった経費もちゃんとお支払いしますし なんなら多少は報酬に上乗せも──」
探偵「報酬の問題ではありません」
堂前俊一「あなたプロでしょう! プロならプライド持ってくださいよ!」
探偵「プライドを持っているので言います」
探偵「この依頼、お受けできません」

〇街中の道路
  三日後──
部下「もしもし、堂前さん。今どこに居ます?」
部下「広告の出稿について、 今日中に先方に返答するって・・・」
堂前俊一「今探してるから、もうちょっと待て!」
部下「え、探してる? あの何を──」
堂前俊一「どこだ、まだ探してないとこ」
堂前俊一「知人、友人、仕事仲間・・・」
堂前俊一「調べられる範囲は全て調べたはず」
堂前俊一「でも、全く関係ないホテルに 泊まったりしてたら・・・」
堂前俊一「あるいは、もうすでに海外に 逃げてしまっていたら・・・」

〇応接室
探偵「3日以内に見つけるというのは・・・ 現実的ではない」

〇街中の道路
堂前俊一「・・・そんなこと分かってる」
堂前俊一「だが俺は、俺の映画をこんなとこで 諦めるわけにはいかないんだよ!」
堂前俊一「ちっ」
堂前俊一「だから、もうちょっと待てって──」
稲森「待つ? んー、何をです?」
堂前俊一「あ、いや、なんだ稲森か」
堂前俊一「いま忙しいんだ。 冷やかしならまた今度──」
稲森「パレード社長の居場所、 教えてあげましょ~か?」
堂前俊一「!?」

〇船着き場
稲盛「やっぱり秘密の取引は 埠頭に限りますよね~」
堂前俊一「わざわざこんなとこ 呼び出しやがって・・・」
堂前俊一「で、約束のものは?」
稲盛「この中に」
稲盛「社長が現在、身を隠している場所の 地図が入ってます」
堂前俊一「・・・よく見つけられたな」
稲盛「まあ、うちは行方くらます前から パレードの社長に張ってたので」
稲盛「金使い荒いって、 裏では有名だったんですよ」
堂前俊一「そうだったのか・・・」
堂前俊一「助かったよ。感謝する」
稲盛「ふふふ、欲しいのは感謝じゃないです」
堂前俊一「くっ・・・」
稲盛「林慎吾、加藤マイラ、千葉武史監督・・・」

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  • SNSの100億のとこ、100憶になってます。

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