スキャンダラス・ムービー

穂橋吾郎

第6話 王様気分でGO!(脚本)

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〇ホテルのエントランス
林慎吾「本当にすごい人ですよ。どんなに現場が 混乱しても、一瞬でまとめてくれるんです」
林慎吾「『アンラッキー・ホテル』の 乱闘シーンは興奮したなぁ」

〇コンサートの控室
加藤マイラ「関わった人たちの新たな魅力を 引き出してくれる方だと思います」
加藤マイラ「私も堂前さんにお会いしたおかげで、 今までとは違った活躍が出来ています」
加藤マイラ「これから、新作ビールのCM撮影です」

〇制作会社のオフィス
高山浩二「スタッフへのケアも怠らないんですよ」
高山浩二「職場の環境改善にも尽力してくれました」
高山浩二「近々、新しい映画でご一緒すると思いますが、よろしくお願いしますね」

〇撮影スタジオ(机あり)
インタビュア―「という事で、出演者やスタッフの方から コメントいただいておりますが」
堂前俊一「なんだか照れくさいですね。 こんなに絶賛されてしまうと」
インタビュア―「担当された『アンラッキー・ホテル』も 興行記録を伸ばし続け」
インタビュア―「間もなく100億円を突破すると 言われておりますが」
インタビュア―「優秀なプロデューサーの条件とは なんなのでしょうか?」
堂前俊一「色々なファクターが絡むので 一口には言えませんが」
堂前俊一「何よりも誠実であることですね」
堂前俊一「カメラって何でもそのまま映してしまう でしょう。嘘をつけないんです」
堂前俊一「全てをさらけ出し、本音でぶつかり合う。それが第一ですよ」
インタビュア―「なるほど、勉強になります」
インタビュア―「ということで、『達人の流儀』。 本日は東東映画プロデューサー、 堂前俊一さんにお越しいただきました」
堂前俊一「どうもありがとう。 みなさん、次の傑作にご期待ください」

〇オフィスのフロア
矢野「堂前ちゃん、観たよー『達人の流儀』。 カッコよく映ってたじゃない~」
堂前俊一「はぁ、どうも」
矢野「この調子でさ、次の映画も頼むよ~」
堂前俊一「頼むよ、ではなく、お願いします、では?」
矢野「は?」
堂前俊一「ああ、失礼。ヒット作も作っていないのに どうしてそんな上から目線でいられるのか 疑問に思ってしまったものですから」
矢野「おい、堂前。あんま調子に──」
堂前俊一「私には実績があります。その実績に 則った態度を取っているだけです」
矢野「くっ・・・」
堂前俊一「矢野さんも頑張ってください」
堂前俊一「無能な上司の代わりなんて、 いくらでもいますから」

〇レトロ喫茶
  〈堂前Pの一流サロン〉
稲盛「人気が出てきた途端、オンラインサロン ですか。いいですね~、節操が無い」
堂前俊一「世の中のニーズを汲んだだけだ。 現に会員数も1万人を突破している」
稲盛「みんな堂前さんの本当の姿を知ったら どう思うんでしょうね~」
稲盛「林、マイラ、千葉監督のスキャンダルを もみ消して──」
堂前俊一「おい! ・・・それは俺の許可があるまで 記事にしない約束だろ」
稲盛「しないですよ。 いま堂前さんの評判を落とすような記事を 出したら、うちが叩かれそうです」
堂前俊一「なんなら代わりに、 俺が取材受けてやろうか?」
堂前俊一「その方がPV稼げるんじゃないか? ははは」
稲盛「今はまだ様子見させてください」
稲盛「堂前さんが行くとこまで行ったら、 改めて取材させてもらいますよ~」

〇ホテルのスイートルーム
堂前俊一「もう映ってますか?」
高山浩二「はい、回ってます」
堂前俊一「では、ごっほん・・・」
堂前俊一「『アンラッキー・ホテル』 興行収入100億円突破記念──」
堂前俊一「ホテルのスイートルームから 感謝の生配信~!」
堂前俊一「皆様の応援のおかげで『アンラッキー・ ホテル』が歴史的大ヒットを記録したと いうことで」
堂前俊一「キャスト、スタッフの皆さんと一緒にお祝いパーティーを開催したいと思います!」
林慎吾「どうも、こんばんは! 林慎吾です!」
加藤マイラ「こんばんは、加藤マイラです」
堂前俊一「二人共、久しぶり~。いやー、 わざわざ来てくれてありがとねー」
高山浩二「堂前さん、同接5万人超えました!」
堂前俊一「おおっ! やっぱり林くんとマイラちゃん、 すごい人気だねー」
林慎吾「いやいや、堂前さんの人気の方が ハンパないっすよ!」
林慎吾「自分のダチも、マジで堂前さん リスペクトって言ってます!」
堂前俊一(あの半グレどもに リスペクトされてもな・・・)
加藤マイラ「撮影もとっても刺激的でしたよね」
加藤マイラ「いま思い出しても興奮で手が震えちゃって」
堂前俊一(それは飲み過ぎで 震えてるんじゃないのか・・・)
林慎吾「そういえば、千葉監督は来てないんすね」
堂前俊一「仕事の都合がつかなかったみたいで。 お声掛けはしたんだけどね」
堂前俊一(呼ぶわけないだろ。絶対に情報が漏れないように細心の注意を払った)
高山浩二「堂前さん、視聴者から早く乾杯してくれ ってメッセージが来てます」
高山浩二「画面の前でお酒構えて待ってるって!」
堂前俊一「ああ、これは失礼しました!」
堂前俊一「では、こちらも乾杯の準備を・・・」
堂前俊一「お酒も料理もたくさんご用意したので、 皆さん、お好きなものをどうぞ」
「ありがとうございます!」
堂前俊一「あの、マイラちゃんは、ほどほどに・・・」
加藤マイラ「はい、絶対にほどほどにします! 絶対に!」
堂前俊一(不安だ・・・。 まあ、俺の方で注意して見てれば大丈夫か)

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