スキャンダラス・ムービー

穂橋吾郎

第4話 Documentary of harassment(脚本)

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〇レトロ喫茶
カメラマン「もう訴えるんで。 なに言われても無駄なんで」
堂前俊一「一旦、落ち着きましょう。たしかに千葉 監督は少しクセの強い監督ですけど──」
カメラマン「クセが強い? そんな軽い言葉で 片付けられるもんじゃない!」
カメラマン「あいつのパワハラとセクハラで、僕たちがどれだけ苦しめられてきたことか・・・」
堂前俊一(ちっ、完全に怒りに捕らわれてるな)
堂前俊一(プロだったら自分の怒りぐらい コントロールしろよ)
堂前俊一「分かりました。千葉監督の件は 私の方であずからせてください」
堂前俊一(とにかく『アンラッキー・ホテル』の 撮影が終わるまで時間を稼がないと)
堂前俊一「まずは、慎重に証拠を集めましょう」
堂前俊一(撮影さえ終えてしまえば、あとは時間を 掛けて示談の方向へ──)
カメラマン「証拠ならもう揃っています」
堂前俊一「え」
カメラマン「『アンラッキー・ホテル』の撮影期間中、千葉監督の素行を隠し撮りしていたんです」

〇ビジネスホテル
千葉武史「おい、カメラこっちだよ、何してんだよ!」
カメラマン「す、すみません・・・」
千葉武史「チンタラすんなよ、クソが!」
カメラマン「うっ・・・」
千葉武史「大げさに痛がんな、さっさと立て!」

〇ホテルのエントランス
千葉武史「照明、そこ、バックからだよ!」
スタッフA「え、いや、確かここは横から──」
千葉武史「は? なに口ごたえしてんだよ!」
千葉武史「てめぇらは黙って俺に従えばいいんだよ、 殺すぞ!」

〇コンサートの控室
千葉武史「あれー、なんか今日、元気無い?」
メイク「いえ、そんなことは・・・」
千葉武史「生理だったら言ってね。 俺、そういうのには理解あるから」
メイク「や、やめてください!」
千葉武史「おいおい、冗談じゃん。 女はすぐに感情的になるから扱いづれぇわ」

〇レトロ喫茶
堂前俊一(か、完全にアウトだ・・・)
カメラマン「これを持ってすぐに 弁護士に相談に行きます」
堂前俊一「ちょ、ちょっと待ってください!」
堂前俊一「えっと、一旦この動画は私に預けて いただいて、然るべき処置を──」
カメラマン「無理です。もう決めた──」
千葉武史「おいっ、ここにいるんだろ!」
カメラマン「え」
店員「お客様、お待ち合わせで──」
千葉武史「うるせぇ、どけ!」
千葉武史「おお、やっぱりいた」
堂前俊一「ち、千葉監督!?」
カメラマン「なんで、この場所が・・・」
千葉武史「堂前Pの同僚に聞いたんだよ」
千葉武史「Pの今日の外出先を教えてくれってな」
千葉武史「さて・・・」
千葉武史「おい、お前」
カメラマン「ひっ」
千葉武史「俺を訴えるってどういうことだよ?」
千葉武史「感謝こそされても、恨まれる覚えなんて ねぇんだがな!」
カメラマン「感謝? ふざけないでくださいよ! 誰が、あんたなんか・・・」
堂前俊一「お二人とも落ち着いてください。 冷静に話し合いましょう」
千葉武史「俺は、お前らスタッフのためを思って 厳しくしてんだぞ?」
千葉武史「俺だって叩かれて育ったんだ」
千葉武史「これぐらいでへこたれてたら、 この業界でやっていけないぜ」
カメラマン「うっ、ううう・・・」
堂前俊一「大丈夫ですか?」
カメラマン「ちょっと、お腹が痛くて・・・」
千葉武史「そういうのも気の持ちようなんだよ。 もっと強くなれ」
千葉武史「期待してるんだぞ。 えっと・・・ははは、名前なんだっけ?」
カメラマン「っ! 失礼します・・・!」
堂前俊一「待ってください!」
千葉武史「えーっと、高木? あれ、違った? ははは」

〇店の入口
カメラマン「もう無理です。いまの見たでしょう? あの人、何も反省していない」
堂前俊一「ええ、そうですね・・・」
カメラマン「僕はこんなにもボロボロだってのに。 うっ、痛っ・・・」
堂前俊一(正攻法での説得は無理か・・・)
堂前俊一「分かりました。千葉監督を訴えましょう」
カメラマン「え」
堂前俊一「千葉監督の蛮行をより広く世間に 認知させるために」
堂前俊一「一緒に戦いませんか?」
堂前俊一「高山浩二さん」
高山浩二「!」

〇レトロ喫茶
千葉武史「おお、名前思い出したよ! 高村! な、そうだろ!」
千葉武史「あ? なに撮ってんだよ?」
高山浩二「千葉監督のハラスメントを告発する ドキュメンタリーですよ」
千葉武史「は!?」
堂前俊一「隠し撮りの動画と関係者へのインタビュー動画を組み合わせて、一本のドキュメンタリーに仕上げます」
堂前俊一「千葉監督には、ご自身のハラスメントに ついて謝罪していただきます」
千葉武史「なんだそりゃ、 そんなもんぜってぇ受けねぇぞ!」
堂前俊一「これは千葉監督自身のためでも あるんですよ?」

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