黒輝さんが小悪魔なことを、俺だけが知っている。

砂糖のカタマリ

1.黒輝さんは小悪魔(脚本)

黒輝さんが小悪魔なことを、俺だけが知っている。

砂糖のカタマリ

今すぐ読む

黒輝さんが小悪魔なことを、俺だけが知っている。
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒
  黒輝さんは小悪魔だ。

〇教室
  黒輝 アカリ。高校2年生。
  クラスの学級委員であり、クラスのマドンナ的存在。
  容姿淡麗、才色兼備、品行方正etc・・・どれも彼女を表すには不十分とのこと。
  事実、勉強も運動も何でもこなし、超がつくほど人が良い。
教師「おめでとう!今回の期末テストもオール満点です!」
黒輝 アカリ「ありがとうございます」
男子生徒A「うおおおお!すげえええ!」
男子生徒B「噂じゃ入学からずっと満点って話だぜ?」
神谷 ジン(やば・・・・・・)
男子生徒A「お、おい黒輝さんがこっち見てるぞ!」
神谷 ジン(見てないフリ見てないフリ)
  黒輝さんがクラスで絶大な人気を誇っているのには他にも理由がある。
  彼女は「かわいい」のだ。
  挙動、言動、行動、全てが誰かしらの何かしらに上手い具合に作用している。
  そのため女子からは娘のように愛でられ、男子からは憧れの眼差しで見られる。
  なんでも入学当初から様々な男子生徒に告白され、
  その全員が「ご愁傷様です」になっているという噂だ。
男子生徒A「あーやっぱりかわいいよなぁ・・・」
男子生徒B「「かわいい」を擬人化したら黒輝さんみたいになるんだろうなぁ・・・」
神谷 ジン(何言ってんだコイツら・・・)
  でも黒輝さんは「かわいい」だけじゃない。
  黒輝さんは、「小悪魔」である。
  そのことは俺しか知らない。

〇まっすぐの廊下
  キーンコーンカーンコーン
  午前の授業が終わり、昼休憩が訪れた。
  それぞれが思い思いの場所で昼食をとる。
神谷 ジン「さて、俺もそろそろ──」
黒輝 アカリ「ジンくん」
神谷 ジン「うおっ!」
神谷 ジン「・・・って何だ黒輝さんか」
黒輝 アカリ「ご、ごめん・・・驚かせちゃったかな?」
神谷 ジン「いや、まあ、別に・・・」
男子生徒A「神谷のやつ・・・やけに黒輝さんと仲良さげじゃねぇか・・・」
男子生徒B「しかも「ジンくん」だと・・・?」
神谷 ジン(周りからの視線が痛い・・・)
黒輝 アカリ「ジンくん?」
神谷 ジン「何でもないよ」
  実は俺、黒輝さんと他の人より少しだけ仲が良かったりする。
  ・・・ホントに少しだけだけど。
神谷 ジン「それより俺に何か用?」
黒輝 アカリ「あのね、一緒にお昼食べない?」
神谷 ジン「え"」
神谷 ジン(やば、変な声出た)
黒輝 アカリ「もしかして、嫌だった・・・?」
神谷 ジン「嫌じゃ・・・ない。ないけど・・・」
  さっきまでちょっと痛いくらいだった周りの視線が、一気に俺を刺し殺すくらいの視線に変わった。
男子生徒A「か、かみやぁぁぁ・・・」
男子生徒B「あんの細目野郎っ・・・」
神谷 ジン(聞こえてる聞こえてる)
神谷 ジン(あと細目いじんなよ、気にしてんだから)
神谷 ジン「と、とりあえず行こう!ここだとちょっと人目が・・・」
黒輝 アカリ「あ!」
黒輝 アカリ「うん!わかった!」

〇教室の外
  校舎裏にて昼食中・・・・・・
神谷 ジン「・・・・・・・・・」
黒輝さん「ねぇジンくん」
神谷 ジン「な、なに・・・?」
黒輝さん「今日の授業、目そらしたでしょ」
神谷 ジン「いやー別にそんなことないけどー?」
神谷 ジン(ガッツリそらしましたとも。えぇ)
黒輝さん「それにさっきだって・・・もしかして私のこと避けてる?」
神谷 ジン「いや、避けてはないけど・・・」
神谷 ジン「ほら、黒輝さん学校だと超人気者だからさ」
神谷 ジン「俺みたいなやつと仲良くしてると怪しまれるというか・・・その・・・ね?」
黒輝さん「『その・・・』なに?」
神谷 ジン「俺達の仲を勘違いする奴も出てくるんじゃないかなーって思うんですよ、はい!」
  しんっ──
神谷 ジン(何この静寂・・・!?)
黒輝さん「・・・・・・もん」
神谷 ジン「え?」
黒輝さん「別にジンくんとなら勘違いされてもいいもん!」
神谷 ジン「く、黒輝さん・・・・・・」
黒輝さん「ジンくん・・・・・・」
  ・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・
神谷 ジン(いややっぱ無理だああああ!!!!!!)
  黒輝 アカリは小悪魔だ。
  魔界生まれ魔界育ち。
  正真正銘の小悪魔だ。

〇通学路
クロキ アカリ「やっぱりこっちの姿の方が楽だね〜!」
クロキ アカリ「ずっと人間の姿保ってるのって疲れるんだよー」
神谷 ジン「そ、そうなんだ・・・」
  何度見てもホントに"小"悪魔かよと思いたくなるが、彼女曰く──

〇黒
クロキ アカリ「私なんて悪魔の中じゃ全然下だよ〜!」
クロキ アカリ「だってまだ産まれてから150年くらいしか経ってないし・・・」
クロキ アカリ「悪魔の中じゃ産まれたての赤ん坊みたいなものだよ?」

〇通学路
神谷 ジン(いやそんな「当たり前ですが?」みたいに言われましても!?)
クロキ アカリ「あーあ、私も早く成長して普通の悪魔になりたいよー」
クロキ アカリ「力が強くなればもっと長く人の姿保ってられるし・・・」
神谷 ジン(もうずっと人の姿でお願いします!)
クロキ アカリ「人間をたっくさん絶望の淵に叩き落とせるしね!」
神谷 ジン(いやダメだってそれはあああああ!!)
クロキ アカリ「ジンくん?どうかしたの?」
神谷 ジン「ん?なんでもないよ?」
クロキ アカリ「そっか!」
神谷 ジン「じゃあ俺の家こっちだから」
クロキ アカリ「うん!」
神谷 ジン(もう嫌ァ!怖すぎだろ黒輝さん!)
「ジンくーん!」
黒輝 アカリ「また明日ねー!」
神谷 ジン「ああ!また明日!」
神谷 ジン(マジでずっとあの姿ならいいのに・・・!)
神谷 ジン「あ、飛んでった」
神谷 ジン「・・・・・・・・・・・・」
神谷 ジン「今日もよく頑張ったよな・・・俺」
神谷 ジン「もう帰ろう・・・・・・」

〇黒
  これは一人前の悪魔を目指す小悪魔の少女と
  その悪魔に(不運にも)惚れられた一人の少年の
  どこにでもありそうな日常のお話だ。

次のエピソード:2.黒輝さんは学級委員長

コメント

  • どうして彼女が子悪魔だと知ったのか、彼女は何のために学生をしているのか、沢山の疑問をよそに二人の淡い恋心を応援したくなりました。

  • 想像していた小悪魔以上に小悪魔でした笑
    いや、性格的なところではなく種族的なところで?!笑
    確かにそれを取り除いたら…完璧なんですがね…。

  • 小悪魔というより普通の悪魔じゃないですか!笑
    二人が結婚して子どもが出来たら、ハーフ悪魔なのかな?とか考えてしまいました。
    でも悪魔のアカリさんもかわいいなと思いました!

コメントをもっと見る(6件)

成分キーワード

ページTOPへ