4 旅館の仕事 その2(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
常磐春香「優紀、道は大丈夫そう?」
斎藤優紀「少し待って!」
斎藤優紀「うん!道はこっちで合ってる!」
常磐春香「良かった!」
常磐春香「ねぇ優紀、周り見て思ったんだけどさ・・・」
斎藤優紀「あぁ、やっぱ思うよね・・・」
デカグモA「てな事が有ってよぉ・・・」
デカグモB「マジか!見て見たかったな!」
デーモン師範「何?空手を習いたいと?」
アクア「そうなのよ。お代は出すからお願い出来ない?」
イナリ「そうなんです!デーモンさんならやってくれますよね?」
デーモン師範「おいおい、俺がお前達の事を知らないとでも思ったか?今のままでも充分強いのに、それ以上強く成ってどうするんだ?」
アクア「私達はもっと高みへ行きたいの!自分が何処までやれるか試したい気持ち、貴方にだって分かるでしょ?」
デーモン師範「・・・全く、何処までも懲りない奴等だな。良いだろう。何時が良い?」
イナリ「本当ですか!有難う御座います!今日か明日に出来ませんか!?」
デーモン師範「うむ、出来て明日からだな」
アクア「デーモン!有難う!!」
常磐春香「右を見ても、左を見ても妖怪だらけ・・・あたし達、本当凄い所に来ちゃったね・・・」
斎藤優紀「だよね・・・日も跨いじゃってるし、父さん達、心配して無いかな・・・」
常磐春香「・・・優紀!今は落ち込んでても仕方無いよ!もし帰れる様に成ったら、二人でキチンと謝ろう!」
斎藤優紀「・・・そうだね!早くお茶っ葉と風邪薬買って帰ろうか!」
常磐春香「うん!」
青スライム「安いよ安いよ〜!買わなきゃ損損!一個5万円のお守りの壺は如何かなぁ!!」
〇古書店
常磐春香「此処がお茶屋さんか・・・優紀、本当に此処で合ってる?」
斎藤優紀「外にも名前書いて有ったし、調べ直しても変わって無かったから、此処で間違い無いと思う。誰か居ないかな?」
お茶屋店主「おやおや?今日はまた珍しいお客様だな」
斎藤優紀「あ!もしかして、お店の人ですか?」
お茶屋店主「如何にも、この店は私が錐揉みしている。子供達よ、今日は何をお探しかな?」
常磐春香「あ!ちょっと待って下さい!メモは確か・・・」
お茶屋さんに着いた俺達は、メモを取り出してそれを店主さんに見せた。
お茶屋店主「どれどれ・・・成る程・・・分かった、君達、此処で待ってなさい。直ぐに取って来よう」
お茶屋店主「お待たせしたね。探していたお茶っ葉を持って来たよ」
斎藤優紀「あ!有難う御座いますおじさん!直ぐお金払いますね!」
お茶屋店主「あぁ、慌てなくて良いぞ」
俺達はエルさんに渡されたお金を出して、お会計を済ます。
お茶屋店主「うむ!ご利用感謝する物と致す!」
お茶屋店主「しかしまぁ、君達は見た所人間の子供見たいだが、何故君達だけで買い物を?」
常磐春香「あ、今あたし達、自分達の世界に帰る為に妖怪旅館で働いてるんです」
お茶屋店主「そうなのか!子供ながらに頑張っている様だな!」
斎藤優紀「それで俺達、今は旅館の人・・・って言うか、妖怪の人達に頼まれてお使いしてるんです!」
お茶屋店主「成る程な!色々と大変だとは思うが、無理せず頑張るんだぞ?」
斎藤優紀「はい!有難う御座います!」
常磐春香「優紀!そろそろ薬局行こう!エルさん達が待ってる!」
斎藤優紀「そうだね!おじさん、どうも有難う御座いました!」
お茶屋店主「・・・種族に囚われず、笑顔と言うのは良い物だな・・・」
〇薬局の店内
お茶屋さんで買い物を済ませた俺達は、次に薬局へと赴いていた。
常磐春香「さて、後は風邪薬を買えば完璧だね!」
斎藤優紀「うん!早く終わらせて、エルさん達を安心させよう!」
ヒール「らっしゃーせー!って子供じゃ無いか!何しに来たんだ?」
斎藤優紀「いや、あの・・・俺達、お金貰って来て、風邪薬買いに来て・・・」
ヒール「マジか!見た所お前等人間見たいだな!こんな妖怪だらけの街を自分等だけで歩くとは、中々度胸有るな!!」
常磐春香「あの、そんな事は良いから、風邪薬何処ですか?お金持って来たのは本当です」
ヒール「へいへい!ちょっと待ってな!」
斎藤優紀「う〜ん・・・さっきの瓶のお化け、大丈夫かな・・・」
常磐春香「あたしもそう思う・・・変な事しないと良いけど・・・」
ヒール「待たせたな!ほらよ!」
斎藤優紀「あ、有難う御座います。お金、これで足りますよね?」
ヒール「どれどれ・・・良し良し!大丈夫だ!」
常磐春香「あ、分かりました!じゃあ、行きますね!」
ヒール「まぁ待ておチビちゃん達・・・」
常磐春香「え?まだ何か?」
ヒール「君達、自分達の住む世界で勉強とか頑張ってるよな?」
斎藤優紀「ま、まぁ、そうですが・・・」
ヒール「だよな!面倒臭いよな!そう言うのが面倒臭いと思う君達に、取って置きの薬が有るんだ!」
常磐春香「え?それって・・・」
ヒール「今持って来て上げるから待ってろよ!その薬は・・・」
アクア「ヒール!子供相手に何をやってるの!!」
ヒール「げげ!アクアさん!!」
アクア「また無駄な押し売りした訳!?あんたが違法薬物売買してた事、もう忘れた訳!?」
ヒール「ち、違うんです!!俺は只、売上を上げようと!!」
アクア「本当にそう思うんならちゃんとルールに従う事ね!次やったら颯さんに知らせて牢獄に戻って貰うからね!!」
ヒール「ひえ!すみませんアクアさん!それだけは!!!」
アクア「本気で反省してるなら先ず動く!ほら!さっさと仕入れして来て!!」
ヒール「は、はい!!」
アクア「全く・・・何時までも懲りないんだから・・・」
常磐春香「あ、あの・・・」
アクア「ん?どうしたの?」
斎藤優紀「あの、その・・・さっきは、有難う御座いました・・・」
アクア「あぁ、こちらこそ、内のあの馬鹿が変に迫ったりして御免ね。あいつ、此処に来る前は違法薬物の売買して捕まった事有るのよ」
常磐春香「え?そんな人がどうして此処に!?」
アクア「うん。あいつヒールって言うんだけどね、あの種族は薬や毒の調合が妖怪の中で一番秀でてるのよ。あいつが釈放された後に私が」
アクア「薬屋に成りたい事も有って拾ったんだけど、昔の悪事はまだ卒業出来て無くて、貴方達に限らず、未だあんな感じで・・・」
斎藤優紀「そ、そうなんですね・・・」
アクア「君達、お薬買いに来たんだよね?今回のお詫びにお代は返すわ」
常磐春香「え?それは流石に悪いですよ!」
アクア「いえ、お店側としては貴方達に迷惑掛けたわ。悪い事したならちゃんとした謝罪とかが出来ないと後先やって行けないから、」
アクア「今回はお返しするわ」
斎藤優紀「わ、分かりました・・・」
アクア「二人共、さっきは本当御免なさい。ヒールには私から言って置くから、もしあんなのに絡まれたりしたら相手しない様にね?」
常磐春香「分かりました・・・優紀、行こう!」
斎藤優紀「うん・・・」
アクア「・・・さて、やる事やるか・・・」
〇旅館の受付
俺達が買い物に出てから数時間後。
ゴンゾウ「う〜ん・・・」
エル・クラッド「ゴンゾウさん、少しは落ち着いたらどうですか?」
ゴンゾウ「これが落ち着いてられるかってんだ!あの僕ちゃん達に何か合ったらどうするんだよ!」
エル・クラッド「気持ちは分かります!ですが、私達まで此処を放棄したら・・・」
ゴンゾウ「だぁ!!こんな事なら館長を脅してでも僕ちゃん達にワシが着いて行けば良かった!!今から追ってもすれ違ったりしたら!!」
エル・クラッド「電話も来ないし、何か合ったら本当に・・・」
常磐春香「只今戻りました!お茶っ葉と風邪薬買って来ました!」
ゴンゾウ「おぉ!僕ちゃん達!無事だったか!!」
斎藤優紀「はい、途中で変な妖怪に絡まれたりしましたが、大丈夫です」
ゴンゾウ「そうかそうか!怖かったよな!今度はワシ等の誰かが一緒だから大丈夫だぞ!!」
斎藤優紀「お、おじさん、大丈夫?」
エル・クラッド「でも二人共良くやってくれたわ!疲れてる所悪いけど、次は料理を運ぶのを手伝ってくれない?」
常磐春香「あ!分かりました!」
エル・クラッド「本当に有難う!館長にも良い報告が出来るわ!」
お使いを無事に済ませた俺達は、風邪薬とお茶っ葉をエルさんに渡して料理を運ぶのを手伝うのだった。