第6話 雨札の決戦(脚本)
〇王宮の入口
貴舟「──あとは、手筈通りだ」
貴舟「心音の変化を感じたら、 俺が手の組み方を変えて合図する」
ベガ「わかった」
ベガ「・・・じゃあ入るわよ」
貴舟「ベガ」
ベガ「ん?」
貴舟「万が一の時は・・・」
貴舟「俺がこれで隙をつくる」
貴舟「だから、その時は」
貴舟「美舟を連れて逃げてくれないか?」
ベガ「・・・・・・」
貴舟「・・・頼む」
ベガ「・・・負けないわよ」
ベガ「勝つの! なんとしてでも!」
〇暗い廊下
〇東洋風カジノ(特別室)
マスター「では、今日のゲームはこれにて」
ベガ「ちょっと待ったぁ!!」
ベガ「私達も、挑戦いいかしら?」
マスター「ええ・・・もちろん」
マスター「・・・はっ」
マスター「姿が見えないと思ったら馬鹿な真似を」
貴舟「・・・・・・」
美舟「貴舟・・・なんで・・・」
マスター「すぐに自分の愚かさを後悔する事になるぞ」
マスター「ははは!」
ベガ「ごちゃごちゃ言ってないで始めてくれる?」
マスター「・・・お客様」
マスター「量が、多いようですが」
ベガ「倍額払うわ」
ベガ「だから」
ベガ「こっちが勝ったら貴舟も自由にして」
マスター「・・・2つも景品をお望みとは。 なんと強欲な」
ベガ「あんたと一緒にしないで」
ベガ「虫唾が走る」
マスター「・・・いいでしょう」
マスター「始めます」
〇東洋風カジノ(特別室)
マスター「『春驟雨』」
ベガ「くっ・・・」
マスター「私の勝ちです」
ベガ(数ある選択肢の中で 春驟雨を選んだってことは)
ベガ(私の役を妨害する為・・・)
ベガ(やっぱりこっちの動きは読まれてる)
ベガ(でも)
ベガ(敵わないわけじゃない)
マスター「次のターン」
〇黒背景
ベガ(・・・落ち着け)
ベガ(私か貴舟、どちらかが勝てればいい)
ベガ(来た・・・合図!)
〇東洋風カジノ(特別室)
ベガ(先に札を奪って)
ベガ(マスターに役を作らせない)
マスター「・・・っ」
貴舟「勝負!」
貴舟「よしっ、俺の勝ち!」
ベガ(攻撃と守備をバランスよく担えば)
ベガ(・・・いける!)
マスター「ふっ・・・なるほど」
マスター「貴舟がいる今、 そちらも条件は同じという事ですか」
ベガ「さぁ? なんの話かまったく」
マスター「・・・悪いお嬢さんだ」
マスター「しかしあまり調子に乗られては困りますね」
マスター「ここは私の城です。それをお忘れなく」
ベガ「・・・・・・」
〇東洋風カジノ(特別室)
マスター「では、9ターン目」
ベガ(・・・良い手札!)
ベガ(ここから『梅雨蒼い』を狙えば・・・)
ベガ(貴舟・・・気づいて。私の鼓動に)
ベガ(よし! そうと決まれば・・・)
ベガ(一気に攻める!)
ベガ「行くわよっ!!」
〇東洋風カジノ(特別室)
ベガ「え!?」
観覧客「なんだ? 明かりが」
貴舟「おいっ、なんだ!? やめ」
貴舟「うっ・・・」
ベガ「貴舟!?」
マスター「皆様、落ち着いてください」
〇東洋風カジノ(特別室)
貴舟「・・・っ」
美舟「きゃぁ!!」
美舟「き・・・貴舟っ! 血がっ」
ベガ「なっ・・・!! 一体何が!?」
貴舟「分からねえ」
貴舟「誰かが、・・・耳をっ」
マスター「店内に不信な人物がいないか確認を!」
マスター「お客様、ご無事ですか!?」
ベガ「・・・違う」
ベガ「私達を勝たせないために」
ベガ「・・・わざと鼓膜を」
ベガ「あんた・・・」
ベガ「腐ってる!」
マスター「・・・何の話かまったく」
マスター「しかし、困りましたねぇ」
マスター「このような状況ではゲームを中断せざるを」
貴舟「・・・俺は、問題ない!!」
貴舟「続けるぞ」
ベガ「・・・いや」
ベガ「あんたはここで降りるべきよ」
貴舟「ベガ!!」
ベガ「仕方ないでしょ!?」
ベガ「わずかでも集中力が切れたら・・・」
ベガ「それが命取りになる」
マスター「懸命なご判断かと」
貴舟「でもっ」
ベガ「ここからは・・・」
ベガ「私が一人で戦う」
ベガ「・・・貴舟の得点を 私に追加してもらえない?」
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