第7話 夜明けの舟(脚本)
〇東洋風カジノ(特別室)
美舟「もうあんたには従わない!」
美舟「自分の意志で動く」
ベガ「・・・美舟」
マスター「お前っ」
ベガ「さぁ、これで6点差!」
ベガ「最終ターンよ」
〇東洋風カジノ(特別室)
ベガ(これで・・・全てが決まる)
ベガ「・・・・・・」
〇モヤモヤ
マスター(奴の場にあるのは、カス札と“青雨”)
マスター(おそらく狙いの役は、最高点の『五色の雨』)
マスター(・・・いや? 違う)
そう“見せて”いるのか・・・!?
マスター「・・・・・・」
マスター(五枚の札を揃えると思わせ油断させる)
マスター(だとすれば)
マスター(──奴の本当の狙いは)
マスター(『五月の雨』を作る為の)
“青葉雨”の札
マスター(馬鹿め・・・)
マスター(お前がその札を取ることはない)
〇東洋風カジノ(特別室)
ベガ「なっ・・・」
マスター「お前の手は既に見切った」
マスター「私は次で役を作る!」
ベガ「くっ・・・!」
ベガ「・・・ふっ」
ベガ「・・・あははは!」
ベガ「運が向いてきたわね」
マスター「・・・なんだ、何がおかしい?」
マスター「その取り札で勝ちを狙える役なんて」
ベガ「『五月の雨』だと思ったんでしょ?」
マスター「ああそうだ!」
マスター「もう札はない! お前に勝機など──」
ベガ「あんた」
ベガ「幸運を授ける力に 頼りすぎたんじゃない?」
ベガ「勝負!!」
〇東洋風カジノ(特別室)
マスター「なっ・・・」
ベガ「私が狙ってた役は」
ベガ「『狐日和』」
ベガ「あんたがカス札だと思ってたこれ。 “化雨”は化け札よ!」
ベガ「使う場面によってその役割を変える・・・」
ベガ「ルール」
ベガ「勉強しなおせば?」
美舟「・・・勝った」
貴舟「ベガの勝利だ!!」
マスター「・・・嘘だ」
マスター「こんな、こんなことがっ」
貴舟「・・・大人しく負けを認めろ」
貴舟「それともこの場で俺達の力をばらすか?」
貴舟「自分の行いと一緒に」
マスター「・・・くっ」
マスター「・・・ここまでか」
マスター「・・・皆様」
マスター「私の長い無敗記録を破る者が現れました」
マスター「今夜の勝者に、大きな拍手を!!」
〇暗い廊下
ゲーム終了後
〇東洋風カジノ(特別室)
マスター「では、まずは賞金を」
ベガ「二人も、解放してくれるんでしょうね?」
マスター「・・・負けは負けです」
マスター「さぁ、どこにでも行きなさい」
貴舟「美舟!」
美舟「二人とも・・・!」
マスター「・・・とでも、言うと思いましたか」
美舟「えっ」
マスター「残念だが、そうはいかない」
ベガ「はぁ!?」
貴舟「卑怯だぞこのゲス野郎!」
マスター「動くな」
マスター「抵抗すれば撃つ」
マスター「地下に連れていけ」
〇地下室
貴舟「うっ・・・」
貴舟「おい、皆無事か?」
ベガ「・・・なんとか」
ベガ「ただ、問題はここからよ」
貴舟「あいつ、俺達をどうするつもりだ・・・」
〇牢屋の扉(鍵無し)
美舟「このっ」
ベガ「無駄よ美舟、何か別の方法を」
「・・・たまるか」
美舟「諦めてたまるか!」
美舟「今度こそ」
美舟「運命を、変えるの!!」
貴舟「俺も、手伝うよ」
ベガ「・・・美舟」
ベガ「外の音を聞いて。車が来たか知りたいの」
美舟「車?」
ベガ「ええ・・・それが来れば」
ベガ「まだ勝機はある」
美舟「・・・いや、聞こえない」
ベガ「くっ・・・」
〇地下室
マスター「何をごちゃごちゃと騒いでいる」
マスター「さて、どうしたものかな」
マスター「臓器を売るか、剥製にでもするか」
美舟「・・・そんなこと、させるかっ!」
美舟「うっ」
マスター「よっぽど死に急ぎたいようだな」
貴舟「美舟!?」
貴舟「くそっ、やめろ!」
美舟「・・・許さない・・・二人に何かしたら」
美舟「死んでもあんたを許さない!」
マスター「・・・何もできないさ。お前には」
マスター「今までも」
マスター「これからもな」
ベガ(どうしたらいい!? 何か、あいつを止める方法っ)
ベガ(・・・皮肉なもんね)
ベガ(こんな時に頼るのが王族の血だなんて)
ベガ(でも・・・)
ベガ「待ちなさいっ!!」
ベガ「私と、交渉しない?」
マスター「・・・交渉?」
ベガ「そう」
ベガ「これと、命の交換よ」
マスター「・・・なぜ、お前がそれを」
ベガ「いいかよく聞け!」
ベガ「私はこの国のっ──」
美舟「ベガ来たわ!! 車の音!!」
ベガ「・・・どうやら」
ベガ「運が向いてきたようね」
自警団「そこまでだっ」
マスター「なっ、なんだお前らは」
自警団「さぁ、あなた達は外に避難を!」
マスター「くそっ離せ!!」
マスター「あ、あの女は何者だ!?」
マスター「あのダイヤはっ王族だけが──」
〇東洋風のカジノ
〇王宮の入口
トレヴァー「無事ですか!?」
ベガ「トレヴァー!」
美舟「い、一体どういうこと?」
ベガ「あのマスターが大人しく返してくれるとは 思えなかったからね」
ベガ「念の為、こっちも手を打っといたのよ」
トレヴァー「ベガから言われてたんです」
トレヴァー「私は外で待機し」
トレヴァー「ゲームが終了しても戻らなければ ここに自警団を呼ぶように、と」
貴舟「そこまで読んでたっていうのか!?」
ベガ「ま・・・結構危なかったけどね」
トレヴァー「さぁ皆さん、 この騒ぎの隙に逃げますよ」
〇海辺
美舟「はぁっ、はぁ」
ベガ「ちょっと。これっ、一体どこまで」
トレヴァー「よし、この辺りで」
???「おーい!」
〇舟の上
???「こっちこっち」
〇海辺
ベガ「・・・ん? あの小舟、まさか」
ルーク「久しぶりだな! ベガー!」
ベガ「ルーク!?」
ルーク「へへっ、今そっちに降りる」
ベガ「なっ、あんた、どうしてここに!?」
ルーク「トレヴァーから頼まれたんだ」
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