第3話 友達の証(脚本)
〇東洋風のカジノ
ベガ「よし、2万勝ちっ」
「ベガー! 助けて!」
美舟「ねえ、どう思う!? 今良い感じなんだけど 掛け金増やした方がいい?」
ベガ「いや。負けが少ない方がいい」
ベガ「なるべく小さく賭けて」
美舟「えぇ? 小さくってどのくらい?」
ベガ「あーっ、もう」
ベガ「終わったらそっち行くから待ってて」
ベガ「今日は絶対15万利益出すわよ」
美舟「うん!」
〇綺麗な港町
ひと月後
〇黒
トレヴァー「──ベガ、起きてください」
〇トラックのシート
トレヴァー「もうすぐですよ。美舟さんの家」
ベガ「・・・あぁ、うん」
トレヴァー「王女としての公務もあるんですし、 少し休まれては?」
ベガ「平気・・・早いとこ終わらせたいの」
ベガ「他の奴らに貴舟をとられたら 元も子もないから」
トレヴァー「・・・あまり無理しないでくださいよ」
トレヴァー「それで、肝心の資金はどうなんです?」
ベガ「あと一歩ってとこね」
ベガ「ここからは、 マスターとの対戦の準備もしてかないと」
〇西洋の街並み
〇暖炉のある小屋
美舟「じゃあ次、この札は?」
ベガ「”花の雨”」
美舟「正解! さすがベガ!」
ベガ「札の暗記はできてきたから、問題は実戦ね」
美舟「そうね。一度観たとは思うけど」
美舟「『雨札』は11ターンの合計得点で争うの」
〇東洋風カジノ(特別室)
美舟「場に出た札と手札を組み合わせて 『役』を作る」
美舟「役の配点は様々」
美舟「自分がこの役で良いと思ったら宣言するの」
美舟「『勝負!』」
美舟「ってね」
ベガ「そこでターンが終わって、 宣言した時の役が得点になるわけね」
美舟「そう。札の特性にも注意がいるわ」
〇暖炉のある小屋
美舟「ひとつの役にしか使わない札もあれば」
美舟「これみたいに複数の役を構成するのもある」
ベガ「・・・”化雨”」
ベガ「一点のカス札でしょ?」
美舟「当たり」
美舟「でもこの札は『化け札』なんて言ってね」
美舟「役によって高得点にも変化するの」
美舟「まぁ、細かい所はおいおいね」
ベガ「・・・随分複雑なゲーム作ったわねー」
ベガ「東の国って変わった感性」
ベガ「雨なんて全部同じじゃない」
美舟「えぇ? 全然違うわよ!?」
美舟「私の村なんて」
美舟「特に自然が豊かだったから」
〇村に続くトンネル
〇桜並木
〇草原
美舟「花を散らす雨とか、 青葉を色濃くする雨とか」
美舟「どれもすごく・・・」
〇暖炉のある小屋
美舟「──すごく、きれいだったの」
ベガ「・・・じめじめして辛気臭そうだけど」
美舟「そんなことないから!」
ベガ「じゃあ案内しなさいよ、あんたの故郷」
ベガ「ほんとかどうか確かめるから」
美舟「いいわよ・・・」
美舟「いつか、行ける時があったらね」
ベガ「すぐ行けるでしょ」
美舟「え」
ベガ「貴舟を取り戻したら行けばいいじゃない」
美舟「うん」
美舟「・・・そうだね」
美舟「案内するわ!」
ベガ「よし、じゃあそろそろ裏賭場行くわよ」
美舟「今準備する」
ベガ「それ、いつも付けるのね」
美舟「お守りだから」
美舟「・・・あ!」
美舟「ベガ! ちょっと待ってて」
〇暖炉のある小屋
美舟「できたー!」
美舟「はい、手貸して?」
美舟「ベガにあげる」
ベガ「・・・意外と器用なのね」
美舟「小さい頃たくさん練習したから」
美舟「これね、 私の国では大切な人に作るお守りなの」
ベガ「へぇ・・・」
ベガ「大切な?」
ベガ「ギャンブルパートナーってこと?」
美舟「あはは、そうね。 でもベガは、歳も近いし」
美舟「大切な・・・」
美舟「友達かも」
〇立派な洋館
〇貴族の部屋
トレヴァー「失礼しま・・・」
トレヴァー「えっ、どうしたんですか!? 鼻歌なんかうたって」
トレヴァー「気味が悪い」
ベガ「・・・あんたって所々失礼よね。何?」
トレヴァー「それが、 書庫で東の国の文献を見つけたんです」
トレヴァー「美舟さんの事が何か分かるかと思って」
ベガ「貸して!」
ベガ「・・・あった。幸運を授ける民族」
〇古い本
その民族の多くは
王族に仕え、国に幸運をもたらし
他国との交渉の場でも活躍した
しかし
その力を恐れ
命を狙うものが後を絶たず
〇貴族の部屋
ベガ「民族の大半は殺され・・・ 壊滅状態──」
トレヴァー「そんな・・・ ただの迷信じゃなかったんですか!?」
ベガ「じゃあ、美舟には」
ベガ「帰る場所なんか・・・」
〇綺麗な港町
〇海辺
美舟「300!!」
美舟「ついに300万リッツよベガ!」
ベガ「次は、とうとう挑戦ね」
美舟「うん」
美舟「なんか、変な感じ」
美舟「これで貴舟を取り戻せると思うと すごく嬉しいの」
「──でも」
美舟「ベガとの資金集めが終わっちゃうのは」
美舟「・・・ちょっと寂しいかも」
ベガ「はぁ!?」
ベガ「何言ってんのよ・・・ ばかじゃないの」
美舟「ふふ」
美舟「ねえ、ベガはどうして裏賭場に?」
ベガ「私は・・・」
ベガ「別に。何でもいいでしょ」
美舟「そっか」
美舟「そうよね」
ベガ「・・・いや」
ベガ「私の父は・・・」
ベガ「財産家なの。 屋敷も、大きくて」
美舟「あはは。分かる気がする」
ベガ「母親の違う姉妹もいる」
ベガ「私の母だけ」
〇城門沿い
「身分が低くて、家を追い出されて」
「残された私は、ずっと」
〇海辺
ベガ「いらない子って言われてきた」
美舟「・・・そんな」
ベガ「でも」
ベガ「そんなのが運命なんてばかみたいでしょ?」
ベガ「金は、私の武器!」
ベガ「何にも負けたくない」
ベガ「大金稼いで、あいつら見返して」
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