第十一話 隠し場所(脚本)
〇黒背景
ミリオン「背中のチャックに イニシャルが書かれたタグが 繋いであった」
〇荒野
「一人の女の子が そのぬいぐるみを抱えて 聖堂に慌てて入ってきた」
「男の子たちのグループが 女の子を探し回っている声が 外から聞こえてきて──」
「講壇の近くの席に座っていた僕に ぬいぐるみを隠してほしいと 頼み込んできた」
〇荒廃した教会
「動けなかった僕は隠す場所を いくつか提案してみたけど──」
「女の子はどれも納得してくれなかった」
「初めて見た子だったから 聖堂の中について 何も知らないようだった」
「男の子たちを怖がっていたけど とても大切なものだから 取られたくないって──」
「あんなに小さいのに 急に真剣な顔になるから 驚いたよ」
〇荒野
「だから、教えることにしたんだ」
〇暗い洞窟
カリン「・・・・・・?」
カリン「教えたって・・・ 女の子に何を教えたの?」
ミリオン「外し方」
カリン「え・・・?」
ミリオン「首の外し方」
〇荒廃した教会
「しばらくしてから 後を追ってきた男の子たちが 女の子と僕を問い詰めてきた」
「持っていないうえに 探しても見つからないから 諦めて外に戻っていった」
「そのタイミングを見計らって ぬいぐるみを取り出すようにと 僕は女の子に伝えておいたけど──」
「男の子たちが 「置いていくぞ」と脅してきて、 女の子は泣きそうになりながら 聖堂から出て行った」
「僕にぬいぐるみを預けたまま・・・」