第十二話 火の不始末(脚本)
〇地下室
アザミ「顛末を聞かせていただきたい」
マーガレット「・・・・・・」
アザミ「こちら側が接触を図ろうとしても、 あなた方は頑なに拒否を続けている」
アザミ「つい先日もカリンの逃亡を 許してしまった」
マーガレット「何の話だ」
アザミ「前民警署火災事件の犯人と その動機についてです」
マーガレット「・・・・・・」
アザミ「あの日を境にダチュラ前所長は 消息を断った」
アザミ「そして、時を同じくして 民警に昇任間近の者たちを 主軸とするあなた方は 業務を放棄し逃亡を始めた」
マーガレット「関連を疑わざるを得ないってか?」
アザミ「ええ」
マーガレット「・・・・・・」
マーガレット「・・・まあ、安心した」
マーガレット「あんたらがそれぐらい考える頭も 無かったとしたら、 私らが離れるわけにもいかないからな」
アザミ「・・・・・・」
アザミ「身を切る思いで解任リストを作成し・・・」
アザミ「それに該当するあなた方との接触は 今の我々にとって悲願です」
アザミ「あなた、フジ、 エニシダ、ラナン、トリナ・・・」
アザミ「そして、カリン」
アザミ「あれほどの事態が起きたにも関わらず、 職務放棄に踏み込んだ 真意を知るためにも──」
アザミ「彼らの参謀として役目を果たしてきた あなたに、今は話を聞きたい」
アザミ「それだけです」
マーガレット「私を連れ去ろうとやってきた奴らは 同行に任意を問うつもりは 無さそうだったけどな」
アザミ「野放しにしていては、 民警が立ち行かない」
アザミ「現署長は現状を鑑みて 処罰の減軽も考慮されています」
アザミ「ご理解いただけますよね、マーガレット」
アザミ「この混乱を一日でも早く鎮めたいのは あなた方も同じはずです」
マーガレット「・・・・・・」
アザミ「どうか私に──」
アザミ「あなたの同行を引き止めようとした方々を この部屋に呼ばせないでいただきたい」
マーガレット「私は火の不始末よりも あんたらの稼ぎ口について話したいな」
アザミ「・・・・・・」
マーガレット「相手は正体不明、 コロニーの交付ライセンスも 確認されていない」
マーガレット「圧倒的な財力を持っているばかりか、 目的も明かされていない」
マーガレット「それにもかかわらず、 あんたらはリコールの恩恵にあやかろうと必死になっている奴らがほとんどだ」
マーガレット「非公式にミリオンを捜索する 最初の提携関係を持ち掛けて それが叶えば──」
マーガレット「コロニー居住も夢じゃなくなる」
マーガレット「このままでは 立ち行かないとか言ったな、アザミ」
マーガレット「真意を問われているのは あんたらの方じゃないのか?」
マーガレット「お前みたいな人間でも 老後の生活を心配しなきゃ やってられないんだな」
アザミ「・・・・・・」
アザミ「解任リストからあなたの名前を 除く件は保留とさせていただきます」
アザミ「では、これで・・・」
マーガレット「・・・・・・」
マーガレット「カリン・・・」