勇気という名のRPG(ロール・プレイング・ギア)

篠也マシン

最終話「千年先まで」(脚本)

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〇荒地
我浜ユウト 「それじゃあ、本体はどこに・・・?」
熊城博士「あれだけ精密に鎧を操っていたことを考えると──」
熊城博士「近くにいるのは間違いない」
我浜ユウト 「ま、まさか・・・!」
???「──この姿で口を開くのは、何千年ぶりだろうか」
魔王アンヘルカイド「余こそが、本当の魔王アンヘルカイドである」
魔王アンヘルカイド「余の秘密を明かすとは驚いたぞ」
熊城博士 「──当然だ」
熊城博士 「私の頭脳は、この世で最も優れているからな」
魔王アンヘルカイド「たしかに、頭脳では勝てぬかもしれん」
魔王アンヘルカイド「だが、力ではどうかな?」
我浜ユウト 「博士・・・奴の強さは分かりますか?」
熊城博士「先ほど倒した鎧より劣る」
熊城博士「私の計算だと、100%勝てるな」
魔王アンヘルカイド「そこの魔導兵器があれば、だろ?」
我浜ユウト 「なっ!? RPGを・・・!」
魔王アンヘルカイド「これで、形勢逆転だ」
魔王アンヘルカイド「生身の人間相手なら、この体だけで十分だ」
我浜ユウト 「・・・魔王のくせに、随分セコい手を使うじゃないか」
魔王アンヘルカイド「おかしなことを言う」
魔王アンヘルカイド「群れて余に挑むそなたたちこそ、卑怯であろう?」
我浜ユウト 「卑怯者呼ばわりされても構わないさ」
我浜ユウト 「この戦いは、勝つことがすべてだ」
魔王アンヘルカイド「それは、余とて同じこと」
魔王アンヘルカイド「二度と、あのような惨めな想いをしてなるものか!」
我浜ユウト 「何を言ってるんだ・・・?」
魔王アンヘルカイド「フフッ・・・余としたことが、つい取り乱してしまったな」
魔王アンヘルカイド「冥土の土産に教えてやろう」
魔王アンヘルカイド「──余が、脆弱(ぜいじゃく)な魔族だった時の話を」

〇森の中
  魔族の階級は強さで決まる
  余は上位の魔族に何時も虐げられ──
  惨めに生きていた

〇密林の中
  そんな自分を変えるため──
  死に物狂いで魔力を鍛え──

〇森の中の沼
  体躯(たいく)の差を補う鎧をこしらえ──

〇闇の闘技場
  魔族の頂点に立った

〇荒地
魔王アンヘルカイド「余を虐げた魔族は、もれなく消した」
魔王アンヘルカイド「おかげで、魔族は余だけになってしまったがな」
我浜ユウト 「・・・同胞を滅ぼすなんて」
魔王アンヘルカイド「あとは人間さえ滅ぼせば、あの星の頂点に立てる」
我浜ユウト 「戦って戦って・・・その先に何があるんだ?」
魔王アンヘルカイド「また新たな戦いがあるだろう」
魔王アンヘルカイド「星より旅立ち──さらなる高みへ」
我浜ユウト 「・・・随分と壮大な話だ」
我浜ユウト 「お前に比べると、俺が戦う理由はやっぱりくだらないな」
我浜ユウト 「けど──想いの強さなら負けてない!」
魔王アンヘルカイド「いくら強く念じようとも、力の差を埋めることなどできん」
魔王アンヘルカイド「余の圧倒的な力の前に、ひれ伏すがいい!」
我浜ユウト 「リオナさん、博士、俺の後ろに隠れて!」
魔王アンヘルカイド「無駄だ、全員塵(ちり)となれ!」
魔王アンヘルカイド「フフッ、すぐに燃え尽きて──」
魔王アンヘルカイド「馬鹿な!? 押し返しただとっ!?」
我浜ユウト 「悪いが、今日は誰一人死なせる予定はなくてね!」
魔王アンヘルカイド「先の戦いでは、生身でこれほどの魔力を持っていなかったはずだ!」
我浜ユウト 「レベルを上げたって言っただろ?」
我浜ユウト 「RPGが完成するまでの間、俺はただ寝てたわけじゃない!」
魔王アンヘルカイド「お・・・おのれ・・・!」
我浜ユウト 「もし、お前が自分だけのためでなく──」
我浜ユウト 「誰かのために戦っていたら──」
我浜ユウト 「もし、俺が誰かのためでなく──」
我浜ユウト 「自分だけのために戦っていたら──」
我浜ユウト 「結果は違ってただろうな」
魔王アンヘルカイド「余が・・・余が人間ごときにやられるわけ・・・!」
我浜ユウト 「魔王アンヘルカイド──」
我浜ユウト「今度こそ、さよならだ」

〇荒地
???「ユウト君・・・?」
我浜ユウト 「よかった・・・俺のことが分かるんですね」
結城イツカ「ま、魔王は!?」
我浜ユウト 「安心してください」
我浜ユウト 「もう、この世にはいません」
結城イツカ「まさか・・・君が倒したの?」
我浜ユウト 「俺にそんな力があるわけないでしょう」
我浜ユウト 「みんなで倒したんです」
結城イツカ「みんな・・・?」
リオナ局長 「ようやくお目覚めね」
リオナ局長 「自分の命を粗末にするような子には、たっぷりお灸を据えないと」
熊城博士 「私の研究成果を身をもって確かめてくれたこと、礼を言う」
熊城博士 「おかげで面白いデータが取れたよ」
結城イツカ「リオナさん・・・博士・・・」
我浜ユウト 「イツカさん、封印される直前のことを覚えてますか?」
結城イツカ「直前・・・」

〇荒廃した街
結城イツカ「だから私は、そんな君のことを──」

〇荒地
結城イツカ「いやー、ごめんね」
結城イツカ「なんだか記憶があやふやで」

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コメント

  • 完結からだいぶ空いてしまいましたが、TNCを使い倒した作品で、最後まで鳥肌でした。
    演出もさることながら、ストーリーも素晴らしく…。1000年待って終わるのかな、なんて甘く見てたらそんなことはなく、ちゃんと全員で大団円。温かくラストの幸せそうな二人のイラストがもう感無量です🥹
    製作、とても大変だったと思います。心からの拍手を。お疲れ様でした&素敵な作品をありがとうございました!

  • 遅くなりましたが完結おめでとうございます!
    魔王の本体がまさか右腕とは。そんなどんでん返しがありつつも魔王を倒した勇者……ユウト君とイツカさん。
    勝利の栄光を君達に!
    エンドロールに名前を入れて頂き感謝です!

  • 遅ればせながら、完結お疲れ様でした!
    魔王の戦う事情まで設定があり、感動!
    本当に毎回、ただのロボット大戦だけじゃないんですよ…!!
    しかもユウトとイツカの結婚式までしっかり堪能できて、エンドロールにもファンのなまえが…(良い意味で配慮がエゲつない)✨
    いつも素敵なお話&イラスト&演出をありがとうございます!
    あえて言わせて頂こう! 篠也さんこそTNCマスターです!!

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