2 妖怪の街(脚本)
〇岩の洞窟
斎藤優紀「春香!春香〜!」
斎藤優紀「何処まで行ったんだ?春香が居ないと父さん達の所に帰れない!」
〇岩穴の出口
斎藤優紀「あ!出口だ!春香はこの先か?」
〇ヨーロッパの街並み
斎藤優紀「春香!春香〜!!」
斎藤優紀「って、何だ此処?近くに街なんて有ったのか??」
常磐春香「あ!優紀!」
斎藤優紀「春香!一人で勝手に行くから心配したぞ!」
常磐春香「ご、御免!夢中に成ってつい・・・」
斎藤優紀「まぁ、無事だったから良かったよ。早く戻ろう・・・って・・・」
斎藤優紀「あれ?何処から来たんだっけ?」
洞窟を抜けた先には街と思える場所に出たが、後ろを振り返ったらさっきまで通ってた洞窟と思える物が見当たらなかった。
斎藤優紀「どう成ってるんだ?確かに石で出来た洞窟の穴が有る筈なのに・・・」
常磐春香「ねぇ優紀。友達からこんな話聞いた事有るんだけどさ。これって神隠しって奴じゃ無い?」
斎藤優紀「神隠し?アニメか何かでやってる一度入ったら出られないって?」
常磐春香「うん・・・あたし達、神隠しに会ったのかも・・・」
斎藤優紀「ええぇ!!??じゃあ、俺達これからどう成るのさ!!」
常磐春香「あ、あたしだって分からないよ!!」
斎藤優紀「・・・困ったな・・・この街、誰か居ないのかな・・・」
青スライム「おや?君達こんな所で何してるんだい?」
常磐春香「え!?怪物!?」
青スライム「行き成り失礼だな!!魔物を見た目で判断するな!!」
斎藤優紀「ご!御免なさい!って言うか・・・日本語喋った・・・」
青スライム「・・・まぁ良い。君達見た所迷子見たいだな。なぁ、困ってるなら俺の所に来ないか?」
常磐春香「え?あの、あたし達迷子なのは本当ですが、もしかして、出口とか知ってるんですか?」
青スライム「安心しろ!ちょっと頼み事を聞いてくれたら、お前等の頼みを聞いてやっても良い!」
斎藤優紀「・・・頼み事って、何したら良いの?」
青スライム「あぁ!それはな!」
黒崎颯「おいお前、子供相手に何をしている?」
青スライム「あぁ!颯さん!!」
黒崎颯「この前違法業務を訴えられた事をもう忘れたか?まだ懲りて無いなら、今度こそ・・・」
青スライム「そそ、そんな事有りません!今後は真面目に働きます!だから・・・その・・・アデュー!!」
黒崎颯「全く、真面目にやる事やってれば、変に見られる事も無いと言うのに・・・」
常磐春香「あ、あの・・・」
黒崎颯「ん?」
斎藤優紀「俺達の事、助けてくれたんですか?」
黒崎颯「あぁ、さっきのスライム、この前インチキ商売でボロ儲けしてて、沢山の妖怪達から被害届が出てね。だからこの前」
黒崎颯「とっちめてたんだけど、どうも懲りて無い見たいで」
黒崎颯「所で君達、もしかして人間?この街は初めて?」
常磐春香「はい!穴の中に入って抜けたら、此処に辿り着いて・・・」
黒崎颯「成る程・・・なら僕から説明させて貰うよ。此処は妖怪の街さ」
斎藤優紀「妖怪の街?」
黒崎颯「君達も見た通り、さっきのスライムの様に多種多彩な妖怪がこの街で暮らして居るんだ」
常磐春香「あの、あたし達を食べたりはしないですか?」
黒崎颯「妖怪にも寄るけど、余程怒らせたりしない限りは大丈夫かな」
常磐春香「は、はぁ・・・」
黒崎颯「まぁ、君達の所で言えば、外に出て働いて稼いで、それで食べてくってのは一緒だし、食事の面では人間と大差無いかな」
斎藤優紀「そうですか・・・あの、俺達、元の所に戻りたいんですが、出口は何処に有りますか?」
黒崎颯「あぁ、やっぱり迷い込んで此処に来ちゃったのか・・・」
常磐春香「え?やっぱり神隠しなんですか!?」
黒崎颯「分かり易く言えばそうだね。この街は時折別の世界に繋がる事が有ってね。一度入ったら抜け出せないんだ」
斎藤優紀「え!?じゃあ俺達このまま!!」
黒崎颯「まぁまぁ落ち着いて!話は最後まで聞く物だよ。外の世界の人が迷ってしまった時の為に、この街では通行書を作って有るんだ」
常磐春香「通行書?どうやったら手に入りますか?」
黒崎颯「勿論只で手に入る物じゃ無いね。何かしらの仕事に就いて成果を出せば貰える物だから」
斎藤優紀「えぇ・・・僕達まだ小学生だし、出来る仕事って有りますか?」
黒崎颯「確かに、その小さい身体じゃ出来る事も限られて来るけど・・・あそこならやってくれるかな?」
常磐春香「あそこって?」
黒崎颯「そうだな・・・先ずは話をして見ない事には始まらないな!君達でも出来そうな仕事に心当たりが有る。これから行こうと思うけど、」
黒崎颯「良いかな?」
斎藤優紀「・・・働かないと、通行書貰えないんですよね?」
黒崎颯「まぁ、そうだね」
斎藤優紀「なら、俺やります!」
常磐春香「え?優紀、大丈夫なの?」
斎藤優紀「だって・・・このままじゃどの道帰れないし・・・」
常磐春香「・・・まぁ、そうよね」
斎藤優紀「だよね!あの、おじさんはえっと・・・」
黒崎颯「あぁ!まだ自己紹介して無かったね!僕は黒崎颯。色んな職業の取り締まりをやってるんだ」
斎藤優紀「俺、斎藤優紀です!」
常磐春香「・・・常磐春香です。あの、どんなお仕事させてくれるんですか?」
黒崎颯「そうだね・・・実際見て貰った方が早いかな。逸れない様に僕に着いて来て」
迷い込んだ不思議な街で俺達は仕事を紹介して貰う事に成った。妖怪の住む街から出る為に、俺達はやれる事をやりに行く事と
成った。
〇温泉旅館
黒崎颯「良かった!まだ開いてる!」
斎藤優紀「颯さん、此処は?」
黒崎颯「見ての通り、此処は妖怪旅館さ」
常磐春香「何と言うか、そのままですね・・・」
黒崎颯「そりゃね!その方が覚え易いし、妖怪が経営してる所だから!」
常磐春香「あたし達は此処で何したら良いんですか?」
黒崎颯「まぁ先ずは落ち着いて。これから館長に会いに行くから、成る可く失礼の無い様にね?」
斎藤優紀「はい・・・」
黒崎颯「さて、行こうか・・・」
〇旅館の受付
黒崎颯「さて、先ずはコンタクトを取らないとな。ベルは確か・・・」
黒崎颯「あぁ!此処だな!」
エル・クラッド「大変お待たせ致しました!ようこそ妖怪旅館へ!!」
黒崎颯「お疲れ様です!」
エル・クラッド「あれ?颯さんじゃ無いですか!?もしかして、支払いに不備が有りましたか!?」
黒崎颯「あぁ、支払いの確認はバッチリだから大丈夫ですよ!今日は別の用事で来させて頂きました!」
エル・クラッド「はぁ・・・今日はどう言ったご要件で?」
黒崎颯「館長さんはまだ起きてますか?話したい事が有りまして・・・」
エル・クラッド「あ!館長に用事でしたか!畏まりました!直ぐにお呼びしますね!」
常磐春香「優紀、今の人見た!?」
斎藤優紀「うん・・・さっきのお姉さん、頭に耳が付いてた・・・」
黒崎颯「ははは!人間界には妖怪なんて居ないから新鮮だったかな?」
斎藤優紀「あ、はい・・・」
黒崎颯「まぁ無理は無いか。この街では色んな妖怪達が居るから、もっと沢山驚くかもよ?」
常磐春香「そ、そう見たいですね・・・」
エル・クラッド「皆様!たった今館長をお連れしました!」
黒崎颯「お待ちしておりました!お疲れ様です、西園寺館長!」
西園寺零士「颯、今日はまた珍しい客を連れて来てくれたな。エル、此処は私に任せて戻ってくれ」
エル・クラッド「畏まりました!それでは業務に戻ります!」
西園寺零士「颯、今日はどうしたんだ?」
黒崎颯「はい、実は今日、人間界で子供が妖怪の街に迷い込んでしまって・・・」
西園寺零士「何?そんな話を聞かされるのは随分久し振りだな・・・」
黒崎颯「はい。それで、件の子達が彼等に成ります」
常磐春香「え、えっと・・・始めまして?」
西園寺零士「ほう・・・この子達が・・・良く怪我もしないで此処まで来れた物だな・・・」
斎藤優紀「あ、何て言うか・・・颯さんが俺達を見つけてくれて・・・」
西園寺零士「まぁそう固く成るな・・・と言いたい所だが、この様な新鮮な場所を目にすれば動揺するのも無理は無いな。颯、君が此処に来た」
西園寺零士「要件は・・・」
黒崎颯「察しが良いですね館長!この子達に、此処で出来る仕事は無いかと思いまして!」
西園寺零士「そう言う事なら少し待て。従業員の者達に確認を取って来る」
西園寺零士「聞こえるか?西園寺だ。実はな・・・」
斎藤優紀「何か、また凄そうなのが来たね・・・」
常磐春香「そうだよね・・・怒らせたら何されるか凄く心配・・・」
西園寺零士「・・・そうか、良し、ならそれで行こう!明日から頼むぞ!」
黒崎颯「館長?どうでしたか?」
西園寺零士「安心しろ颯、この子達の面倒は、我々が請け負おう!」
黒崎颯「え?本当ですか!?」
西園寺零士「あぁ、任せたまえ!」
黒崎颯「有難う御座います!」
斎藤優紀「あ、あの、俺達、此処で働けるんですか?」
西園寺零士「あぁ、君達を雇おう。明日からやってくれるか?」
常磐春香「明日からって・・・時間とか大丈夫かな・・・?」
斎藤優紀「それは分からないけど、今は他にやる事無いし・・・」
常磐春香「そ、そうだよね・・・」
斎藤優紀「あの、明日から宜しくお願いします!やれる事有ったら何でも言って下さい!」
西園寺零士「そうかそうか!意気込みが良いな!」
西園寺零士「改めて、私は妖怪旅館の館長、西園寺零士だ。私の事は館長と呼んで貰おう」
斎藤優紀「はい・・・俺、斎藤優紀です!」
常磐春香「常磐春香です・・・宜しく、館長さん!」
黒崎颯「館長、この子達が頑張ったら、報告確りお願いしますね?」
西園寺零士「分かっているさ。この子達は、乱暴に扱わないと約束する」
黒崎颯「有難う御座います・・・では、僕はこれで失礼します」
斎藤優紀「あ!颯さん!」
黒崎颯「ん?どうしたんだい?」
斎藤優紀「何と言うか、その、俺達の事助けてくれて、有難う御座いました!」
黒崎颯「いやはや、大した事して無いさ。君達はまだ子供だ。社会勉強だと思って、仕事を覚えてってくれよ?」
斎藤優紀「・・・俺達、ちゃんと出来るかな・・・」
常磐春香「それは分からないけど、お仕事しないと帰れないし・・・」
斎藤優紀「そうだよね・・・」
西園寺零士「君達」
斎藤優紀「あ、な、何でしょうか!!」
西園寺零士「先ずは緊張を解く所から始めるべきか。此処で話すのも難だ。別の部屋で君達の話を聞かせて貰おうか。お茶菓子はエルに」
西園寺零士「頼んで持って来て貰う。こっちに来たまえ」
常磐春香「は、はい!」
通行書を手に入れる為に颯さんに紹介して貰った仕事は旅館の手伝いだった。俺達はそれまで起きた事を館長さんに話して、
明日から本格的に仕事の手伝いをするのだった。