第10話(脚本)
〇大教室
学生「先生、付き合ってる人いるんですか?」
学生「あたし空いてますよ!」
学生「オレも空いてますよ!」
富士宮龍彦「ご想像にお任せします」
富士宮龍彦「そうだ」
富士宮龍彦「君の言う『彼女』はどんな付き合いを指すか教えてくれますか?」
学生「えぇ!?」
富士宮龍彦「個々の認識の違いによって起こる トラブルについて 双方の視点から考えてみましょうか」
学生「え──・・・」
〇明るい廊下
桜田林檎「まさかアニメ化しちゃうとはなぁ・・・」
桜田林檎(あたしすごい人と友達だったんだなぁ)
大学事務員「林檎さん」
大学事務員「休憩はまだですよ」
大学事務員「もう少し頑張りましょうね」
桜田林檎「見惚れちゃってた〜!」
桜田林檎「だってこの キャラクターデザインですよ?」
桜田林檎「原作の細かすぎる制服のデザインも細部まで再現し、」
桜田林檎「更に男性女性どっちにもウケるように 原作よりも中性的な顔立ちにしながらも 胸が大きくより可愛いらしく」
桜田林檎「曲線的なフォルムで女性らしさを静かにアピールする絵師のこだわりが隠されて・・・」
学校関係者「いたいた、林檎さん」
学校関係者「今日一緒に学食食べに行きませんか?」
学校関係者「新メニュー出てから行ってないッスよね?」
桜田林檎「新メニュー!?」
学校関係者「そう」
学校関係者「丸ごとチキン!!」
学校関係者「ポーション風ソーダ!!」
桜田林檎「どっかで見たような・・・」
学校関係者「正解!!」
学校関係者「コラボカフェが決定したんですよ!!」
桜田林檎「ほんとに!?」
学校関係者「林檎さんのおかげです」
学校関係者「元々都心にあるお洒落なカフェでやる計画だったのに」
学校関係者「頑なに押しまくったそうじゃないですか」
桜田林檎「せっかくだしね~!!」
大学事務員「相変わらず重いわね・・・」
桜田林檎「熱いんですよ!!」
〇オフィスのフロア
大学職員「履修登録まだの人を リストアップしておいてください」
大学職員「3時までにできそうですか?」
桜田林檎「はい。 大丈夫です」
桜田林檎(大学が継続するってだけで幸せなのに 居させてもらうことになるなんて)
桜田林檎(夢にも思わなかったなぁ)
桜田林檎(期待に応えられるように頑張んなきゃ!)
桜田林檎(あたしを拾ってくれた主任のためにも)
大学職員「申し訳ない、やっぱ12時までで」
桜田林檎「はいぃぃっ!!」
〇研究施設の玄関前
桜田林檎「こんにちは〜」
「こんにちは・・・」
学生「あの人、事務の人だよね」
学生「いつもニコニコしてない?」
学生「前に動画配信やってたんだよ」
学生「私見たことある」
学生「可愛いと思った」
学生「でも、あの人の場合は、 愛想ふりまいているっていうより 単純に大学が好きなんだよね」
学生「ふーん・・・」
学生「噂じゃ、 学校を裏で操ってるらしいよ」
学生「裏ボスじゃん!!」
〇研究施設の玄関前
桜田林檎「お先に失礼します」
桜田林檎「お疲れ様でしたー」
「お疲れさまー」
〇渋谷スクランブルスクエア
桜田林檎「・・・・・・」
桜田林檎「きれいになったね・・・」
(あたしが愛したあの頃の大学じゃない)
「学生も、校舎も」
(授業内容もちょっとずつ変わっていく)
桜田林檎「いいなぁ・・・」
桜田林檎(あたしはもう、 あの中に混ざることはできない)
桜田林檎(どんなに望んだって、叶わない)
桜田林檎(でも・・・)
(一生分の青春をした)
(これからは次の人たちの番だ)
桜田林檎(これからも、人と人を結び)
桜田林檎(たくさんの思い出を作っていく場所に なりますように)
(あたしはずっと応援していくよ)
(大好きな大衆文化大学を)
桜田林檎「終わったー?」
富士宮龍彦「あぁ」
桜田林檎「さっき、いい物見つけちゃったんだー!」
富士宮龍彦「なんだこれ? 地図?」
桜田林檎「そうなのー!」
桜田林檎「道玄さんね、 意外とめっちゃ近くに住んでたんだよ!」
富士宮龍彦「・・・これをどこで?」
桜田林檎「事務室のパソコンに決まってんじゃない」
桜田林檎「なんのために事務の仕事引き受けたと思ってるの」
桜田林檎「職権乱用してみんなの住所調べて 会いに行くために決まってるじゃん」
富士宮龍彦「ストーカーやめろ」
桜田林檎「冗談」
桜田林檎「話がしたいんだ」
桜田林檎「今の学校のことや龍彦のこと」
桜田林檎「道玄さん驚くだろうな〜」
桜田林檎「こっそり講義聞きにきちゃうかもね」
富士宮龍彦「あの人、あぁいうの好きだったか?」
富士宮龍彦「一般文芸や伝記好んでなかったか?」
桜田林檎「意外と好きだよ」
桜田林檎「これ前に出かけたときの──」
桜田林檎「道玄さんあぁ見えて最先端のアニオタだから」
桜田林檎「お子さんとお孫さんと三世代で イベント行ったりしてるらしいよ」
桜田林檎「楽しそうだよね」
桜田林檎「あたしも孫の代まで 大衆文化大学を語り継ぎたーい!!」
富士宮龍彦「・・・」
富士宮龍彦「孫か・・・」
富士宮龍彦「それなら」
〇渋谷スクランブルスクエア
富士宮龍彦「孫ができるまで一緒にいなきゃ なんねぇな」
桜田林檎「エナドリくさいわ」
富士宮龍彦「・・・」
桜田林檎「帰ろう」
桜田林檎「炊き込みごはん セットしてくれてるんでしょ?」
富士宮龍彦「あぁ」
〇アーケード商店街
──数年前 冬──
富士宮龍彦「どした?」
桜田林檎「ちょっとー! 聞いてよ!」
桜田林檎「今年サンタさん来てくれないんだって!!」
富士宮龍彦「は?」
桜田林檎「1万円以下の物なら何でもくれてた うちのサンタさん、」
桜田林檎「今年は金欠で寄れないんだって〜!!」
ももちゃん「うっさい 大人なら自分で買え!」
富士宮龍彦「・・・」
〇昔ながらの一軒家
桜田林檎「フラレたわ」
ももちゃん「当たり前じゃん」
ももちゃん「龍彦さんだって暇じゃないんだから」
桜田林檎「同窓会会費貢ぎ過ぎたかなぁ・・・」
ももちゃん「アホなの?」
ももちゃん「ほらほら仕事行ってきな」
桜田林檎「サンタクロース・・・」
〇イルミネーションのある通り
アナウンサー「大通り公園に来ました!」
アナウンサー「イルミネーションが、素晴らしいですね!」
アナウンサー「みなさんどんなクリスマスを お過ごしになるのでしょうか」
〇田舎の一人部屋
桜田林檎「疲れたぁー」
桜田林檎(クリスマスだろうが 普通は仕事だしー)
桜田林檎(ていうか激混みだしー)
桜田林檎(明日も仕事だし)
桜田林檎「足痛ぁー」
桜田林檎「・・・」
桜田林檎「龍彦〜?」
桜田林檎「ケーキとチキン食いたい〜」
桜田林檎「いつも頑張ってるあたしのために 買ってきてくれない?」
富士宮龍彦「・・・イブに電車乗るの嫌だから遠慮しとく」
桜田林檎「そう言わずに〜」
桜田林檎「あ、そうだ」
桜田林檎「もう遅いから泊まってっていいからさ」
桜田林檎「どした?」
桜田林檎「ケーキ高いって?」
桜田林檎「いいって」
桜田林檎「その辺のコンビニので充分美味しいからー!」
〇神社の本殿
桜田林檎「そんで〜」
桜田林檎「一緒にいく年くる年見ようよ」
桜田林檎「来年の大学の展望を語り合いながらさ~」
〇渋谷の雑踏
富士宮龍彦「いく年くる年?」
桜田林檎「うん」
富士宮龍彦「酔っ払ってんのか?」
桜田林檎「酔ってないよ」
桜田林檎「ふわ酔い一缶で酔うわけないじゃん」
桜田林檎「あたしお姉さんだしー」
富士宮龍彦「はぁ・・・」
〇ラジオの収録ブース
ラジオ番組の司会「藤子先生?」
富士宮龍彦「あぁ、いえ、なんでもないです」
ラジオ番組の司会「それでリクエストは?」
富士宮龍彦「そうですね・・・」
富士宮龍彦「『恋人はサンタクロース』」
〇空
〇昔ながらの一軒家
桜田林檎「うっわー!!! 寝坊した!」
桜田林檎「やばいやばい!!」
〇田舎の一人部屋
桜田林檎「何かある」
桜田林檎「枕の下に何か・・・」
桜田林檎「これは・・・」
転売するなよ
龍彦
桜田林檎「龍彦〜! 来てくれたんだ!」
桜田林檎「あいつやる〜!」
桜田林檎「なんだろうこれ」
桜田林檎「さすがにケーキじゃなさそうだけど」
桜田林檎「時間ないんだった」
桜田林檎「帰ってきてからでいいや」
〇木調
そろそろ付き合いませんか?
〇水玉2
ここで出会った偶然の縁が
いつか永遠にも なるんだ
おわり。
最後までご覧いただきありがとうございました!
とても温かく面白いお話でした!!
何よりキャラの2人が魅力的でしたね。
大勢の読者がキャラに魅了されているのでしょう。
コメント欄での、ななんさんの皆さんへの配慮などの温かさもとても感じ入りました。毎日いろんな方の作品を読んでいるので、戻ってくるのに時間かかりましたが、とてもキャラクターに関して勉強になりました、ありがとうございました。
最後まで楽しく読ませていただきました😊
あえて林檎のリアクションを見せない甘酸っぱい終わり方がいい感じでした✨
完結お疲れ様でしたー!
とても明るくて元気になれるお話でとってもよかったです!✨
龍彦はどうやって夜中に林檎の家に入ったのか?
そんな事がどうでもよくなるくらい二人のじれじれ甘々感がとても好きです!!💕
…ところでこのお話、ギフト化しないですかね?☺️