神殿(脚本)
〇中東の街
ウカ・デルマ・ネール「──あの、シルビアさん」
シルビア・ヤン・オードリー「なに?」
ウカ・デルマ・ネール「どうしてわざわざリトナさんと別れて探すんですか?」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・そっちのほうが、早いからよ」
ウカ・デルマ・ネール「はあ」
ウカは急に暗く沈んだような雰囲気のシルビアに何となく感づいた。
ウカ・デルマ・ネール「リトナさん、キョトンとしていましたけど〜」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナはいつもキョトンとしてるから大丈夫よ」
ウカ・デルマ・ネール(シルビアさん、ホントどうしたんだろう。あんなにリトナさんと一緒だと元気なのに・・・)
シルビア・ヤン・オードリー「それよりさ、ウカ」
ウカ・デルマ・ネール「あ、はいーっ」
シルビア・ヤン・オードリー「なによビクビクして・・・そうか、いつもあたしがウカを恐がらせてるのね」
ウカ・デルマ・ネール「いえーっ、そっ、そんなことは〜」
ウカ・デルマ・ネール(ちょっとある、かも〜)
シルビア・ヤン・オードリー「船壊れちゃって、怒られるんじゃないの?」
ウカ・デルマ・ネール「・・・そうですね、でもちゃんと謝ります」
シルビア・ヤン・オードリー「その顔、まだ両親のこと許してないわね」
ウカ・デルマ・ネール「お父さんもお母さんも勝手に出ていったんですから、私が怒鳴られるのは違います!」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・そうだけど」
シルビア・ヤン・オードリー「そうだけど、せっかく産んでくれてこうやってアタシ達と街を歩けるのも親のおかげなんだから、親孝行でもしなさいよね」
ウカ・デルマ・ネール「え、はあ〜、はい〜・・・」
らしくないことを言うシルビアはまた聞き込みを始めた。
リトナの心配をしたはずが、かえってシルビアの事も気になり頭を抱えるウカだった。
「ウカ、こっちよ」
ウカ・デルマ・ネール「はい・・・」
「何なんだろう〜・・・」
〇中東の街
一人で歩くリトナ。
アイン・イヨ・リトナ(こうやって落ち着いて一人で歩くのもなんだか久しぶりな気がします)
アイン・イヨ・リトナ「よく見ると知らない物が沢山ありますね〜」
着たことのない民族衣装やターバン、お店の看板など楽しくなってくるもどこか虚しい。
アイン・イヨ・リトナ「はぁ〜・・・」
アイン・イヨ・リトナ(シルビアさんとウカさん良い情報はいったかな〜)
ムルピ「おぬし」
アイン・イヨ・リトナ「わっ!」
アイン・イヨ・リトナ「痛た・・・足の引っ掛け?」
ムルピ「なにボーッとしていたんじゃ」
アイン・イヨ・リトナ「え、誰って、ムルピちゃん!」
驚いた相手は、ウカのおにぎりを食べた少女のムルピだった。
アイン・イヨ・リトナ「やっぱりツァールトに住んでいたんですね」
ムルピ「そうじゃ」
ムルピ「他の連れはどうした?」
リトナは獣を宿すものを探すために別れていたと事情を話す。
ムルピ「獣を宿すものか」
アイン・イヨ・リトナ「はい、ムルピちゃんは聞いたことありませんか」
ムルピ「・・・ある」
アイン・イヨ・リトナ「ほっ、ほんとですかっ!?」
ムルピ「ついて参れ」
アイン・イヨ・リトナ「あ、ムルピちゃん、シルビアさんたちがまだ」
〇教会
ムルピを見逃すわけにもいかないと仕方なく付いて行くリトナ。
ムルピ「入るぞ」
アイン・イヨ・リトナ「こ、この大きな神殿は!?」
ムルピ「わしの家じゃ、遠慮するな」
アイン・イヨ・リトナ「う、うん」
〇大聖堂
戸を開きおかえりなさいませと兵士達がお出迎え。目の前の椅子に座るムルピ。
アイン・イヨ・リトナ「ムルピちゃんって、王妃かなんかです、か?」
ムルピ「ワラは獣を宿すものじゃ」
アイン・イヨ・リトナ「え・・・ええぇぇぇーっ」
アイン・イヨ・リトナ「獣を宿すものっ、ムルピちゃんが」
ムルピ「この国では獣を宿すものが椅子に座れるんじゃ」
普通に生まれた彼女だが小さい頃から自身の神獣と会話して寂しさを紛らわしていたところに
その話しが神殿の者達の耳に入り座ることになったという。
アイン・イヨ・リトナ「そんなことが・・・」
ムルピ「そして今年は100年目の儀式の時」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさんが成し遂げようとしている、世界を救うための儀式なんですね」
ムルピ「そうじゃな」
アイン・イヨ・リトナ「しかしムルピちゃんはどうしてそんな事まで」
ムルピ「それは、このツァールトは何百年も前の歴史を受け継いできたからじゃ」
〇中東の街
シルビア・ヤン・オードリー「──リトナは?」
ウカ・デルマ・ネール「はぁ、はぁ、こっちにもいません!」
シルビア・ヤン・オードリー「もうっ、どこ行ったのよっ!」
ウカ・デルマ・ネール「一人にして怒ってどこかへ」
シルビア・ヤン・オードリー「そんなわけ無いでしょ」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・どこ行ったのよ」
ウカ様、シルビア様ですね
シルビア・ヤン・オードリー「あんた達は?」
突然の兵士達を警戒するもリトナの名前が出てついて行くことにした・・・。
シルビア・ヤン・オードリー(ムルピ様って、どういうことよ)
〇大聖堂
「こちらです」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナ」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさんにウカさん」
シルビア・ヤン・オードリー「どこ行って、あ、あのときの生意気ガキッ!」
ムルピ「誰が生意気ガキじゃ、ムルピ言うたじゃろ」
ウカ・デルマ・ネール「キャッ、ムルピちゃん・・・って、偉い人?」
ムルピ「うむ、一応な」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん、ウカさん、ムルピちゃんは獣を宿すものだそうです」
「獣を宿すものぉぉっ!」
ムルピ「そうじゃ」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「証拠は?」
ウカ・デルマ・ネール「シルビアさん、だって本人が」
ムルピ「証拠か・・・」
ムルピ「ワタシが話せばよいか」
シルビア・ヤン・オードリー「なっ!」
ムルピ「ワタシはタイタン、この子に宿りし神獣だ」
驚くことにシルビア達に話しかけたのは神獣タイタンだった。
ウカ・デルマ・ネール「シルビアさんっ、もうこれは」
シルビア・ヤン・オードリー「わかってるわよウカ、認めるわ、けど聞きたいことがあるんだけど」
ムルピ「お前は・・・聞かぬ!」
シルビア・ヤン・オードリー「ちょっと、まだ何も」
ムルピ「儀式なら手をかしてやろう、だが甘えた人間にこれ以上話すことはない」
シルビア・ヤン・オードリー「甘え?」
ムルピが意識を取り戻し、このあともコンタクトをお願いするも奥から出て来ないと仕方なく諦めた・・・。
シルビア・ヤン・オードリー「はぁ〜、もう」
ムルピ「すまぬ、シルビア」
シルビア・ヤン・オードリー「でもあんたには付いてきてもらうから」
ムルピ「うむ、そのために待っていたのじゃからな、では明日旅立つとしよう。寝間は用意してあるからしっかり心の準備をするのじゃ」
アイン・イヨ・リトナ「どうしますシルビアさん」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「一旦ファンバオムに行こうと思う」
ウカ・デルマ・ネール「どうして?」
シルビア・ヤン・オードリー「ここにイザークが居なかったって事はフレッシングに居るかファンバオムに向かったと思うし」
アイン・イヨ・リトナ「そうですね、わかりました」