第32話 予言(脚本)
〇校長室
2021年 神奈川県 横浜市 桜木町 雷王跋会事務所内 会長室
皇牙雷蔵「おい、昨日のアレ持ってこい」
そう言うと若頭の男は一枚の紙を置く。紙はくしゃくしゃでどうやら『水がかかっていたが、現在は乾いている』様子であった
皇牙雷蔵「つい2日前だ、横須賀で死体が上がってな。そいつが持ってたのを裏金使って回収したもんだ」
エンチャント魔導法士「2日前···?駅のホームでの電光掲示板には載っていなかったぞ?」
皇牙雷蔵「死体の身元がヤバくてな、サツ(警察)がマスコミの口を塞いでる。だがもって2日だろうな」
エンチャント魔導法士「遺体の身元は?」
皇牙雷蔵「Xヒーロー4代目メンバー 先視の巫女『天上院未玖』だ。聞き覚えはあるだろ?」
するとエンチャントの顔は険しくなる。それもそのはず、この天上院未玖という女性は
警視庁で『未来視の能力』を買われ特別外部捜査顧問という役職を務めており、同時に
Xヒーロー6代目メンバーとして名簿上在籍している為、警視庁が斎王達に手出しはできても
Xヒーローその物を標的にして強制的な取り壊しをできなかった唯一の要因である
エンチャント魔導法士「絶対的中の未来視能力を疎ましく思う奴らは大勢いるが、だからこそあいつは警視庁に身を置いた」
エンチャント魔導法士「なのに死んだのか···?奴は『未来が視える』んだぞ?それも絶対外さない確定的な未来が」
エンチャント魔導法士「死ぬなら老衰以外ありえないと思ってたが···他殺なのか?」
皇牙雷蔵「サツ(警察)がまだ調べてる。だが問題はこっちだ、これは天上院未玖が持っていた『未来視で見た未来の内容』だ」
斎王幽羅「『灰と偽りの光が交わる時、光の王が現れ試練を与える』」
皇牙雷蔵「灰ってのは恐らく斎王のガキで偽りの光ってのがクローン喧嘩王。そして最後の一文」
エンチャント魔導法士「『光の王が現れ試練を与える』光の王···どう考えても『喧嘩王』だが···もう死んでる人間のはずだ」
エンチャント魔導法士「これまで人類史で蘇りに成功したのはただ1人。我が主『イエス・キリスト』のみだ」
エンチャント魔導法士「若い頃、闇祓い作戦で黒魔術や異能力で蘇生系は見たが、完全な『蘇生』は見た事がない」
エンチャント魔導法士「全てがゾンビみたいな状態での蘇生だった、完全な蘇生は有り得ない。··· ··· ···有り得ないが···これは···」
キング「変化武器でもいねぇな。似たようなのだとアヌビスってのがいるが、あいつは『使用者に別の魂を降ろす』能力だしなぁ···」
斎王幽羅「その変化武器は今どこにいるの?もしかしたら中国で人格を消されてたりは···」
キング「ねえな。アヌビスは今炉郷荘の中でもう『人の姿』になれねえんだ、そうなりゃ異能も一時的『消えるんだよ』」
斎王幽羅「じゃあ有り得ないのかな··· ··· ···鸞はなんかこういう蘇生系の術とか知ってたりしない?」
鸞「術ではないが···日本だと『イタコ』の降霊術が有名だな。 九割九部嘘だがほんのひと握り『本物』がいると聞いたことはある」
鸞「まぁイタコ自体の人口が少ないから望み薄だろうな」
斎王幽羅「うーん··· ··· ···アメリカに行った時冷羅さんに聞いてみた方がいいかも···」
エンチャント魔導法士「そうだ忘れとった!雷蔵、飛行機の手配できるか?ワシら6人が乗れるくらいのだ」
皇牙雷蔵「無理だ。ただユスり入れて(相手を脅す)やりゃどうにでもなる、うちの東条と若いの何人か連れてけ」
エンチャント魔導法士「悪いな雷蔵、助かる。それともうひとつワガママを言うようで悪いが···」
エンチャント魔導法士「『Xヒーローを守ってくれ』。頼めるか?」
皇牙雷蔵「『言われなくてもやる』。雷王跋会構成員1万5000人総動員して守ってやる」
エンチャント魔導法士「よし···皆、行くぞ。厚木で終わりの試練を終えたら『日本を出る』」
エンチャントがそう言い、窓から外の様子を見ながら脱出方法考えている中
雷蔵は凪園に『小さい盃』を渡し、話始める
皇牙雷蔵「凪園、『これ』の意味わかるな?日本に帰ってきて落ち着いたら盃交わしてやる」
凪園無頼「でも会長···これ親子盃ですよ···?いいんですか?『俺が』」
皇牙雷蔵「『俺はお前がいいんだよ凪園』、まぁテメェで破門しといてなんだが···お前が居ねえとやっぱ事務所が静かでな」
皇牙雷蔵「だから必ず帰ってこい。盃返すマネすんじゃねえぞ?いいな?」
凪園は静かに頷き、盃を懐にしまうと斎王達と会長室を後にする。
To Be Continued··· ··· ···