〇牢獄
エスティーナ「・・・・・・」
エスティーナ「・・・・・・ん？」
エスティーナ「ここは？」
エスティーナ「まさか、牢屋!?」
エスティーナ「確か、私、あいつとやり合って」
エスティーナ「負けたのか」
エスティーナ「でも、全然記憶にない」
エスティーナ「それだけ、奴の力の方が上だったってことか」
エスティーナ「でも、何だかスッキリしたな」
エスティーナ「初めて、嫌な奴に私の想いを ぶちまけることが出来たからね」
エスティーナ「あとは、あいつらを信じよう」
エスティーナ「きっと助けに来てくれる」

〇闇の要塞
ユーリ「ついに辿り着いたな」
シャルティア「ここが魔女の居城」
ユーリ「ついに決着をつける時がきたぞ」
「・・・・・・」
ユーリ「もう体力ゼロじゃねえか」
シャルティア「みんな、よく頑張った」
ユーリ「こんなことだろうと思ったよ」
シャルティア「戦えるかな」
ユーリ「こんなときのために ある秘策を用意してある」
シャルティア「秘策？」
ユーリ「楽しみにしといてくれ」

〇魔界
魔女「ついに辿り着いたか」
魔女「だが、そう易々と ここに辿り着くことは出来んぞ」

〇洋館の玄関ホール
山田「あ、いきなり、もうダンジョン」
いのうえ「嫌な予感しかしない」
村田「大体、ダンジョンのお決まりといえば」
「きええええ」
「ですよね──!!」

〇魔界
魔女「予想通り、混乱してるようだね」
魔女「お前らには、ゴブリンでも強敵だろうに」

〇洋館の玄関ホール
ユーリ「お前ら、逃げんな！」
ユーリ「たかが、ゴブリンだろ！」
シャルティア「久しぶりの実戦で軽くパニックだね」
いのうえ「あんなモンスター どこにでもいる普通の高校生には 無理ですって！」
北川「いやいや、普通の高校生なんで いきなり剣で戦えません！」
村田「普通の高校生に剣なんて使えません！」
「ぐぎゃああ」
「ひいいい、おわりだぁぁ」
「ぎゃあああ!!!」
北川「攻撃でゴブリンが逃げていった？」
村田「もしかして、ユーリさん!?」
ユーリ「いや、俺は何もしてないぞ」
伊藤「みなさん、ご無事ですか」
「伊藤さん!?」
伊藤「すみません、使えそうな武器を 見つけるのに手間取りました」
ユーリ「もしかして、今の伊藤さんが？」
伊藤「はい、恥ずかしながら」
シャルティア「剣使えたんだ？」
伊藤「お父さんが剣道７段 お母さんがフェンシングの元国体選手 おじいちゃんは剣道８段で居合も やってるんです」
伊藤「姉もフェンシングをやっていて そのおかげで小さい時から 家族に隠れて素振りはしてました」
伊藤「それで、みなさんがピンチなのを見て いても立ってもいられず 家族の見よう見まねで剣を振いました」
ユーリ「あ、天才肌だ」
シャルティア「ケンドーとかフェンシングは知らないけど 家系か凄いのだけはわかった」
シャルティア「覚醒したんだね」
ユーリ「伊藤さんって普通の高校生？」
伊藤「はい、どこにでもいる普通の高校生です」
ユーリ「へええ」
シャルティア「へええ」
「・・・・・・」
　　↑　　　　　　　　↑　　　　　　　　　↑
　　　　　　　自称・普通の高校生

〇洋館の玄関ホール
いのうえ「あんなモンスター どこにでもいる普通の高校生には 無理ですって！」
北川「いやいや、普通の高校生なんで いきなり剣で戦えません！」
村田「普通の高校生に剣なんて使えません！」

〇洋館の玄関ホール
いのうえ「日頃の鍛錬を怠った結果です」
村田「お願いですから、数分前の記憶を 懐かしい思い出扱いで蘇らせないでください」
北川「自分らもう帰っていいっすか？」
ユーリ「お前らの好きな展開じゃないのか？」
ユーリ「才能が覚醒して無双するとか」
ユーリ「お前ら、最初の頃よく言ってただろ」
伊藤「これって覚醒なんですかね」
シャルティア「うん、初めての実戦で ゴブリン３体撃退は充分だよ」
「・・・・・・」
　　↑　　　　　　　　　↑　　　　　　　　↑
　　　　　　　　自分たちが情けなくて
　　　　　　　どうしていいか分からない
伊藤「そんなことより、早く上杉さんを 助けに行きましょう！」
ユーリ「確かに、そうだな！急ぐぞ！」

〇暗い廊下
ゴブリンリーダー「ふが──」
ゴブリンリーダー「ぎゃあああ」
伊藤「上杉さん！返事して下さい！」

〇地下室
モンスターA「ぐがああああ！」
モンスターA「ふぎゃあああ！」
伊藤「ここにもいない！ 上杉さん、助けに来ましたよ！」

〇洞窟の深部
中ボス「ここから先を行きたければ、おr」
中ボス「馬鹿な!?」
伊藤「こんな雑魚を 相手にしてる場合じゃないのに！」
ユーリ「あいつ、まあまあ強いと思ったんだけど」
シャルティア「さっきから、イトーちゃんが １人で全部倒してる」
北川「さすが、伊藤さんだぜ！」
村田「見事な一撃」
いのうえ「俺たちには真似できない！」
山田「あ、こういうのアニメで見たことあります」
岩本「そうだね、まさにチートだね」
石井「我々は本当ただ付いていくだけですね」
「まったくいいところないや」
「ハハハハ」
「はあぁぁ、泣きたい」

〇魔界
魔女「あの娘のデタラメな強さは何だ！」
魔女「何か裏でやっとるだろ！」
魔女「いかんいかん 思わず冷静さを失ってしまった」
魔女「だが、次の試練は突破できるかな」

〇魔物の巣窟
ユーリ「ここは今までと空気が全然違うぞ」
伊藤「はい、嫌な雰囲気が凄いです」
シャルティア「みんな、気を付けよう！」
「グガアアア」
「フガアアア」
「ウガアアアア」
伊藤「このモンスターの多さは何ですか！」
ユーリ「どうやら、魔女の罠に ハマってしまったようだな」
シャルティア「かなりの数だよ しかも、どれも強そう」
伊藤「こんな奴ら相手にしてる時間ないのに」
「今度こそ、大ピンチだ！」
「一時撤退しましょう！」
ユーリ「何で、誰１人戦おうという選択肢を 出さないのか不思議なんだが」
伊藤「でも、さすがにこれはきついのでは」
シャルティア「倒せないこともないけど 時間はかかるね」
ユーリ「・・・・・・」
ユーリ「仕方ない」
ユーリ「『アレ』を使うか」
シャルティア「『アレ』ってもしかして 秘策のこと？」
ユーリ「そうだ」
伊藤「一体秘策とは？」
ユーリ「エリザベス」
「エリザベス？」
岩本「・・・・・・」

〇池袋駅前
？？？「私はエリザベス」
「えっー!?」

〇魔物の巣窟
ユーリ「木原さん」
石井「・・・・・・」

〇教室の教壇
ギャル「そうだ、今日、両親が 旅行でいないんだよね」
陽キャラ「マジかよ！ 明日は休みだし一晩中楽しんじゃう？」
ギャル「もうやめてよ、こんなところで」

〇魔物の巣窟
ユーリ「パシリ」
いのうえ「・・・・・・」

〇教室
不良生徒「ちゃんと掃除しろよ！」
いのうえ「喜んで！」

〇魔物の巣窟
ユーリ「黒歴史ノート」
村田「・・・・・・」

〇教室
皆川「ごめん、このノート違うみたい」
村田「えっ？」
皆川「なんか、闇の眷属とか、魔法陣とか書いてあるよ」
村田「しゅ、しゅみません！ 間違えました！」

〇魔物の巣窟
ユーリ「何か言動が痛い」
北川「・・・・・・」

〇教室
柳「いつも、思うんだけど 北川ってさ」
白井「うん」
柳「制服前開けたりさ」
白井「うん」
柳「いちいちでかい声で 音楽番組とかネットの流行の話するけど」
柳「かっこいいと思ってるのかな」
白井「あ、分かる」
白井「なんか痛いよね」
柳「女の子の興味引きたいのが 見え透いてるよね！」

〇魔物の巣窟
ユーリ「１人キャッチボール」
山田「・・・・・・」

〇野球のグラウンド
教師「山田は壁を相手に キャッチボールをしといてくれ」
山田「あ、はい」
山田「あ、あれ？」

〇魔物の巣窟
ユーリ「推しが消える」
佐々木「・・・・・・」

〇メイド喫茶
佐々木「君も知ってるんだろ？ 俺が死神って呼ばれてるって」
月「はい」

〇魔物の巣窟
「・・・・・・」
「ふぎゃああ」
伊藤「みなさん、どうしたんですか!?」
シャルティア「モンスターをあっという間に 追っ払っちゃった」
ユーリ「バーサーカー化させた」
「バーサーカー化!?」
ユーリ「奴らに眠るトラウマを記憶に甦らせ」
「・・・・・・」
「ふぎゃああ」
ユーリ「そのトラウマによって 発狂してしまいそうな苦しみの矛先を」
「・・・・・・」
「ふぎゃああ」
ユーリ「目の前のモンスターに向けさせる術だ」
伊藤「なんて、むごい術なの」
シャルティア「でも、効果がすごい みんなのトラウマの力で モンスター達も逃げていく」
ユーリ「この術に囚われている間 あいつらはトラウマに支配され 目の前にいるモンスターを襲い続ける」
伊藤「なんて、悲しい生き物なの」
ユーリ「とにかく、ここはこいつらに任せて 上杉さんの元は急ぐぞ」
伊藤「確かにそうですね 千載一遇のチャンスですね！」
シャルティア「確かに急ごう！」

〇魔界
魔女「・・・・・・」
魔女「マジであいつら何なんだよ！」
魔女「さっきから 予想外のことをしてくるじゃないか！」
魔女「まあ、いい そちらがその気ならこちらにも考えがある」

〇牢獄
エスティーナ「ん？」
エスティーナ「何か、上が騒がしいみたいだけど」
エスティーナ「もしかして、みんな来てくれたの!?」
エスティーナ「信じてた」
魔女「お楽しみのところ悪いね」
エスティーナ「な、何よ！」
魔女「ちょっと、あんたにも働いてもらうよ」
エスティーナ「はああ？」
エスティーナ「・・・・・・」