とある王国の異世界冒険者問題

ぽんたろう

第11話『いざ、ゆけ!オタクども!』(脚本)

とある王国の異世界冒険者問題

ぽんたろう

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〇貴族の部屋
  ・・・・・・
「ウエスギちゃん!」
「おはよう!ご飯に行かない?」
  ・・・・・・
「まだ寝てる?」
「ごめんね、心配だから入るよ」
シャルティア「おはよう、ウエスギちゃん」
シャルティア「ん?」
シャルティア「あれ?散歩にでも行ったのかな」
シャルティア「これって」
シャルティア「手紙だ」

〇英国風の部屋
ユーリ「ていうか、もうこの格好が 通常状態になってきたな」
ユーリ「マジ困る」
シャルティア「ユーリ、大変!これ見て!」
ユーリ「どうした!シャル!?」
ユーリ「手紙?」

〇貴族の部屋
エスティーナ「はじまりの村のみんなへ」
エスティーナ「これを読んでいるということは 私はこの村にはもういないでしょう」
エスティーナ「ユーリさんとシャルさんに伝えたように 私は魔女の仲間でした」
エスティーナ「魔女はあなた達を この世界に呼んだ元凶です」
エスティーナ「そのお陰で多くの国が被害を受けています」
エスティーナ「私も過去の記憶がなかったとはいえ 多くの方に迷惑を掛けました」
エスティーナ「今回、この村に来たのも あなた達を元の世界に戻したり 仲間割れを起こさせようとしたためです」
エスティーナ「本当にごめんなさい」
エスティーナ「だから、私はこの村を出ていきます」
エスティーナ「この村にいてもいいと言われたけど」
エスティーナ「私がこの村にいれば 迷惑が掛かるはずです」
エスティーナ「だから、魔女の元に戻り 全ての元凶である魔女と決着をつけます」
エスティーナ「あなた達の楽しみにしている 即売会を誰にも邪魔はさせないわ」
エスティーナ「もしも、無事だったら また戻ってくるよ」
エスティーナ「そのときは 暖かく出迎えてくれると嬉しいな」

〇市場
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
伊藤「・・・・・・」
ユーリ「これが上杉さんの部屋に取り残されていた」
シャルティア「死ぬ覚悟で出て行ったみたい」
ユーリ「ここを出て、だいぶ経つから 追いつくには無理だろう」
ユーリ「以上だ、解散」
伊藤「待ってください」
ユーリ「どうした、伊藤さん?」
伊藤「このまま上杉さんを放っておけません!」
山田「そうです! 上杉さんは魔女の仲間だったとしても 我が『はじまりの村』の仲間です!」
村田「上杉さんはこの村にいたかったはずです!」
いのうえ「俺たちは仲間を見捨てない!」
佐々木「仲間は1人だって失いたくありません!」
北川「どのように思われようと仲間は仲間だ!」
石井「このままでは即売会は開催出来ませんよ!」
岩本「迎えに行きましょう!」
岩本「そして、みんなで即売会を開催します!」
ユーリ「その言葉待ってたぜ」
ユーリ「行くぞ!お前ら! 上杉さんを迎えに行くぞ!」
「おう!」

〇草原の道
ユーリ「お前ら、準備いいな?」
北川「だけど、俺たちには 防具用意されてないんですね」
ユーリ「お前ら、鎧なんて付けたら 重くて動けないだろうが」
岩本「た、たしかに」
岩本「ところで、魔女の居場所は 分かってるんですか?」
ユーリ「ああ、この手紙に書いてあった」
北川「あの人らしい」
岩本「本当は助けに来て欲しいんだ」
ユーリ「そうだ、期待に応えよう」

〇闇の要塞
エスティーナ「やっと辿り着いたわ」
エスティーナ「・・・・・・」
エスティーナ「みんな、助けに来てくれるかな」
エスティーナ「やっぱり、やり過ぎちゃったかな 遠回しに助けに来てとか」
エスティーナ「姫ちゃんプレイしてるみたい」
エスティーナ「・・・・・・でも」
エスティーナ「たまにはいいよね?」

〇原っぱ
  村を出て、数時間後
「はあはあ はあはあ」
山田「足が疲れた」
村田「すみません、休憩しましょう」
いのうえ「魔女の本拠地へ行く前に 疲労困憊してしまいます」
山田「ユーリさん、シャルさん 休憩お願いします」
ユーリ「やっぱり、こうなるよな」
シャルティア「日頃の運動不足が祟ったね」
ユーリ「これで何回目だ?」
シャルティア「30分ぶり15回目」
ユーリ「どんだけ休むつもりだよ」
ユーリ「でも、あの頃を思い出すな」
ユーリ「ラーヒユ村から移動した時もこうだった」
シャルティア「そうだね」

〇美しい草原
山田「あ、す、すみません! 疲れたので休憩を!」
ユーリ「これで何回目だ?」
シャルティア「30分ぶり15回目」

〇原っぱ
ユーリ「・・・・・・」
ユーリ「お前ら、全然成長してねえじゃねえか!」
ユーリ「何で、再現してんだよ!」
「ひいいいい、すみません!」
  しかしオタク達はこの時何となく察していた
(自分たちが行かなくても ユーリさん1人で解決するんじゃないのかな)
  そう、彼らは村を出て
  数時間も経たず疲労困憊になったことで
  若干正気に戻っていた
(むしろ、俺たち足手纏いじゃね?)
  冷静になってみて考えてみると
  戦力にならない自分たちは
  何の役にも立たないことに薄ら気づいた
(何か帰る言い訳ないかな)
  そして、楽をしたいという気持ちが
  強くなり始めていた
ユーリ「お前ら、まさか、ここに来て 俺に任せて帰りたいとか 思ってねえだろうな?」
いのうえ「そ、そんなわけないじゃないですか!」
石井「いくら我々が姑息とはいえ そんなことは思ってませんよ!」
(ばれてる)
ユーリ「なら、良かった」

〇魔界
魔女「さて、私に楯突くとは自信たっぷりなことだ」
エスティーナ「ここなら思う存分戦えるわ」
エスティーナ「行くわよ!」
魔女「そんな攻撃が効くかい」
魔女「元々私が授けた力じゃないか」
エスティーナ「こっちの手札は読まれてるってことか」
エスティーナ「だけど、負けないわ」
エスティーナ「本気出すわ」
エスティーナ「あんたに与えられた姿になるのは 不本意だけど」
エスティーナ「ちょっとばっかし、気合いれないとね」
魔女「自分で姿を変えるなんて よほど覚悟を決めてるようだね」
エスティーナ「もう一度!」
魔女「ふん」
エスティーナ「塞いだようね、流石」
魔女「嬉しいことだ」
魔女「あの小娘がここまで成長してくれるなんてさ」
エスティーナ「うるさい」
エスティーナ「誰が助けてくれと頼んだ」
魔女「もう一度味合わせてやるよ」
魔女「あんたの忌まわしき記憶をね」

〇闇の要塞
上杉「・・・・・・」
上杉「ん?」
上杉「ここはどこ?」
上杉「ちょっと待って」
上杉「わたし、確か、車に轢かれて、、、」
上杉「ていうか、私の名前って何だっけ?」
上杉「日本?何それ?」
上杉「私は何者なの?どうしてここにいるの?」
魔女「エスティーナ様! ここにいらっしゃったのですか」
上杉「エスティーナ? 私のこと?」
魔女「左様でございます」
魔女「あなたはエスティーナ様 この城の主人でございます」
魔女「そして、私目はあなた様の家来です」
上杉「そうだった気もする」
魔女「あなた様はこの世界を転覆するために 異世界を視察なさっていたのです」
魔女「では、元の姿にお戻りください」
エスティーナ「そうだった、私はエスティーナ」
エスティーナ「この世界を混沌に陥れる者」
エスティーナ「そして、私を受け入れない世界に復讐する者」
魔女(面白くなってきた)

〇魔界
エスティーナ「どうして、死なせてくれなかった」
エスティーナ「あのまま死んでいれば 楽に死ねたのに」
魔女「無論、楽しむためさ」
魔女「こうして、お前は過去の記憶が蘇り 苦痛にもがいている」
魔女「所詮、私にとって、お前も 退屈凌ぎに過ぎないのさ」
エスティーナ「・・・・・・」
エスティーナ(この世界でも、私は馬鹿にされるの)
エスティーナ(こんなやつの操り人形に過ぎなかったの)

〇教室の教壇
クラスメイトB「あとさ、こんな下手くそな絵 恥ずかしくないの?」
上杉「さ、さっき上手いって」
クラスメイト「嘘に決まってんじゃん」
クラスメイトB「本気にしたわけ? ウケるんだけど」
クラスメイト「上杉さんピュア過ぎない?」
クラスメイトB「キモいんですけど」
上杉(誰でもいいから助けてほしかった)

〇学校の部室
部員B「悪いけど責任取って辞めてくれない?」
部員A「あなたに漫研にいる資格はないわ」
上杉(本当は庇ってほしかった)

〇女の子の部屋
上杉母「社会に出たら、そんな理由で休めないわよ」
上杉「嫌なの」
上杉母「はあ、もう好きにしなさい」
上杉(もっと色々聞いて欲しかった)

〇カウンター席
クラスメイト「いいじゃん、あんなやつ死んだってさ」
クラスメイトB「まあ、そうなんだけどさ」
上杉(私は何で生きてんの)

〇魔界
エスティーナ「・・・・・・う、うーん」
魔女「どうやら、過去の記憶に苦しんでいる頃か」

〇地下室
エスティーナ「お願い許して!」
「アケロ!」
「カエセカエセ」
「オデのコイゴコロをカエセ」
エスティーナ「知らないわよ」
エスティーナ「誰か助けて」
「良かった、間に合った」
エスティーナ「誰?」
ユーリ「大丈夫か?」
エスティーナ(助けてほしいときに助けに来てくれた)

〇貴族の部屋
シャルティア「ほらほら、もう怖くないからねー」
エスティーナ「えっぐえっぐ」
エスティーナ(優しく抱きしめてくれた)

〇留置所
エスティーナ「あいつら、何やってるの?」
ユーリ「上杉さんの過去話を聞いて 自分たちがあまりにも情けなくなったらしい」
シャルティア「それと話を勝手に聞いたこともあって 自主的に反省してるみたい」
エスティーナ「・・・・・・」
エスティーナ「ハハハハ」
エスティーナ「なにそれ、バカみたい」
エスティーナ(こんなに大笑いしたのは いつぶりかな)

〇城の会議室
エスティーナ「何で付いてないの!?」
「えっ!?」
伊藤「何がです!?」
エスティーナ「決まってるでしょ!」
エスティーナ「お◯◯◯◯よ!」
伊藤「今なんて?」
エスティーナ「お◯◯◯◯!」

〇居酒屋の座敷席
ユーリ「上杉さんは何かしたいことはないのか?」
エスティーナ「もちろん、男の娘本を描きたいわね」
エスティーナ「そして、、、」
ユーリ「そして?」
伊藤 「そして?」

〇地球
  私は、お◯◯◯◯をもっと描きたい!
エスティーナ(はじめて言いたいことを大声で言えた)

〇華やかな広場
ユーリ「行く当てはあるのか?」
エスティーナ「ないけど」
シャルティア「ここにいるしかないじゃん」
エスティーナ「いいの?」
エスティーナ「本当に?」
ユーリ「もちろん」
シャルティア「ここにいてもいいんだよ」
エスティーナ「本当に2人揃って、お人よしなんだから」
エスティーナ「でも、ありがとう」
「どういたしまして」
エスティーナ(言って欲しい言葉を 初めて言ってもらえたんだ)

〇魔界
エスティーナ「・・・・・・」
魔女「ふふふ、どうやら効いてるようだね」
エスティーナ「・・・・・・お◯◯◯◯」
魔女「はっ?」
エスティーナ「お◯◯◯◯」
エスティーナ「お◯◯◯◯を私は描きたい!」
魔女「こんなときに何言ってんじゃ!」
魔女「いや、そこじゃない」
魔女「そんな馬鹿な!?」
エスティーナ「それで、私を攻撃したつもり?」
魔女「どういうことだ、精神攻撃が効かぬだと?」
エスティーナ「私のお◯◯◯◯を描きたいという気持ちが あんたに勝ったのよ」
エスティーナ「ここに来て、あの連中が役に立つとは 思わなかったわ」
エスティーナ「じゃあ、本気の勝負をしましょう」
エスティーナ「そして、私は私の居場所に戻る!」
魔女「それじゃあ、私も本来の姿を見せてやるかね」
エスティーナ「えっ!?」

〇山道
  一方、その頃、オタク達は・・・・・・
北川「車、誰か持ってきて」
村田「足の関節が痛いです」
佐々木「運動不足過ぎて、横っ腹が痛いです」
  途中離脱するための言い訳を考えていた

次のエピソード:第12話『急げ!オタクたち!』

コメント

  • 上杉さん……涙なしには見られない回想シーンの中に入り込むお〇〇〇〇発言🤣 しかも、その欲が精神攻撃を撥ね退けるなんて……😂 もう最低に最高ですッ✨(←最大級の賛辞)
    そして、へなちょこなオタクの皆様の描写との対比がまた良きです😊

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