宝くじが当たって人助けした件

夏目心 KOKORONATSUME

3 二人の境遇(脚本)

宝くじが当たって人助けした件

夏目心 KOKORONATSUME

今すぐ読む

宝くじが当たって人助けした件
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇男の子の一人部屋
月影絢斗「・・・・・・」
月影絢斗「あ、あれ!?俺、何時の間に寝てたんだ!?」
  目が覚めたら翌日に成っていた。部屋に居ると言う事は俺は無事帰宅出来たと言う事だが、俺は確か女の子の借金の建替えを
  した筈だった。
月影絢斗「5億円・・・手放して良かったんだよな・・・あの子はちゃんと家に帰ったのかな・・・」
月影絢斗「ん?キッチンに誰か居るのか?」

〇おしゃれなリビングダイニング
月影絢斗「すみません、誰か居るんですか・・・って・・・」
木島明日香「あ!お兄さん!良かった!目が覚めたんですね!」
月影絢斗「え、えぇ!!?君、此処で何をしてるの!?」
木島明日香「覚えて無いんですか?昨日借金の建替えをしてくれた後、お兄さん突然倒れちゃったんですよ」
木島明日香「だからあたし、勝手に家に上がって部屋に運んだんです」
月影絢斗「そ、そうだったんだ・・・迷惑掛けたね」
木島明日香「め、迷惑だなんて・・・掛けたのはあたしの方ですよ。お兄さんのお金、あたしなんかの為に・・・」
月影絢斗「まぁ、あれは仕方無かったって割り切った方が良いよ。俺仕事してる訳だし、また稼ぎ直せば良いから・・・って・・・」
木島明日香「ん?どうしました?」
月影絢斗「ヤバい!俺今日も仕事で、大遅刻じゃん!早く行かないと!」
木島明日香「あ、心配無いですよ」
月影絢斗「え?」
木島明日香「さっきお兄さんの職場から強面そうな声の人が電話して来たんですけど、お兄さんは風邪引いてるって言って納得して貰いました」
月影絢斗「そ、そうなんだ・・・助けられたね・・・」
木島明日香「普段どれだけ仕事してるか知りませんが、たまには休んでも大丈夫ですよ。もう直ぐご飯出来ますから、もう少し待ってて下さい」
月影絢斗「あ、あぁ、何から何まで有難う・・・」
  その後、女の子は朝食を作ってくれて一緒に食べたが、味は美味しく、誰かが作ってくれた料理を食べるのは久し振りだった。
月影絢斗「ご馳走様!君料理上手いんだね!」
木島明日香「お粗末様でした!昔から、両親が頼りに成らなかったので、自力でやってたら自然と力付いたんです」
月影絢斗「いや、家事が出来る人真面目に尊敬するよ。俺も出来なく無いけど、中々時間作れなくて」
月影絢斗「えっと、君は・・・」
木島明日香「あ、そう言えばまだ名前言ってませんでしたね。あたし、木島明日香って言います」
月影絢斗「明日香ちゃんか。良い名前だね。俺は月影絢斗。見ての通り、しがないサラリーマンだよ」
木島明日香「絢斗さん・・・昨日は本当に有難う御座いました。貴方が居なかったら、あたしどう成ってたか・・・」
月影絢斗「もうその話は気にしなくて良いよ!全部たまたまだったから!」
木島明日香「絢斗さん、あたし、朝食作りながら考えてた事が有るんですが、聞いて貰えますか?」
月影絢斗「ん?何だい?」
木島明日香「・・・真剣な話なんです。あたし、絢斗さんに恩返しさせてくれませんか?」
月影絢斗「え?良いよ。君見た感じ学生でしょ?学業に専念した方が良いって!」
木島明日香「それじゃああたしの気が収まりません!あんな事出来る人、中々居ませんよ!」
木島明日香「絢斗さん、一人暮らしなんですよね?あたし、家事得意ですから、やらせてくれませんか?」
月影絢斗「う〜ん・・・気持ちは有難いけど、お父さん達心配しない?」
木島明日香「・・・・・・」
木島明日香「・・・昨日の取り立て屋さんの話、絢斗さんも聞きましたよね?あたしの両親、勝手に居なく成ったんです」
月影絢斗「あ、そうだったよね?」
木島明日香「あたしの両親、あたしが産まれた時からお金を使った遊びに没頭してました。幼稚園の頃はちゃんとあたしを見てくれてましたが、」
木島明日香「小学生に成ってからまともに見てくれなくて、だから家事全般を子供の頃から鍛えてたんです」
月影絢斗「そうだったんだ・・・辛かったね・・・」
木島明日香「はい・・・高校生に成ってからバイトも始めたんですが、両親は借金を増やすばかりであたしも少しずつ返して行ったんですが、」
木島明日香「気付けばあんな額に成ってて、両親も居なく成って・・・」
月影絢斗「それで、俺がたまたま出会って今に至る訳か。本当ふざけた話だよ」
木島明日香「絢斗さん?」
月影絢斗「明日香ちゃん、君は本当頑張ったよ。俺も親が酷かったから気持ち凄く分かる」
木島明日香「え?絢斗さんも親に酷い事されてたんですか!?」
月影絢斗「そうなんだ。俺が小学校に上がる直前に、母さんが色んな人と浮気してるのが父さんにバレて大喧嘩に成っちゃってね」
月影絢斗「母さんは怒りに任せて家を出てって、父さんは裏切られたショックで酒に手を出す様に成ってね。俺は俺で頑張ってたけど、」
月影絢斗「父さんは酒が無いとやってられない程に成って、喧嘩した時は何言っても聞いて貰えなくてさ。段々嫌に成って高校生に成ったら」
月影絢斗「一人暮らししようなんて考えてたんだけど、受験当日に父さん、誤って川に転落しちゃってさ。俺も何かの間違いかと思ったけど、」
月影絢斗「俺が駆け付けた時には、もう居なく成ってた」
木島明日香「そ、そんな・・・」
月影絢斗「今は母さんが何処で何してるかは全く分からない。父さんからの遺産で何とか高校でも勉強して卒業して、今では割に合わない」
月影絢斗「状況下で社畜として頑張ってるよ」
木島明日香「絢斗さん・・・」
月影絢斗「お互い昔は大変だったけど、明日香ちゃんは借金に追われる事も無くなったし、やっと自分の道を行ける様に成ったから、」
月影絢斗「幸せに成る為に、これからは変えて行こう」
木島明日香「・・・・・・」
木島明日香「絢斗さん、あたし決めました!」
月影絢斗「え?何を?」
木島明日香「あたし、絢斗さんのお嫁さんに成ります!」
月影絢斗「え?えぇ!?お嫁さんって・・・君まだ学生でしょ!?」
木島明日香「そうですよ!でも、絢斗さんもあたしと似た境遇で、何時も一人で頑張ってた!あたしには貴方を放って置くなんて出来ません!」
月影絢斗「明日香ちゃん・・・」
木島明日香「あたし、今住んでる家を解約します。それで絢斗さんの家で一緒に暮らして大丈夫ですよね?」
木島明日香「絢斗さんには、返し切れない恩義が有ります!」
月影絢斗「・・・・・・」
月影絢斗「分かった。俺も手伝うよ。でも、終わった後が問題だから、俺の所に来ても、学校やバイトとかはちゃんと行くんだよ」
木島明日香「絢斗さん、それじゃあ!」
月影絢斗「うん、今日から宜しく。早速準備しようか!」
木島明日香「はい!」
  二人揃って同じ境遇だった俺達は、何だかんだで一緒に生活する事に成った。明日香ちゃんは家を解約して俺の家に引っ越して、
  市役所で諸々の手続きを済ませて、新しい生活を始めるのだった。

次のエピソード:4 自分達のこれから

ページTOPへ