第9話(脚本)
〇文化祭をしている学校
桜田林檎「今日は、オープンキャンパス特別編!」
桜田林檎「講義中の教室を覗いてみたいと思います!」
〇講義室
桜田林檎「龍彦さん!? こんなところで何やってるんですか!?」
桜田林檎「あなたの居場所はこっちでしょ」
富士宮龍彦「いや、こっちで合っている」
桜田林檎「何言ってるの 迷惑だから」
学生「林檎ちゃんだ〜!」
学生「配信見てます!」
学生「実物可愛いー!」
桜田林檎「ありがとう!」
学生「林檎さんは、当然知ってると思ってました」
桜田林檎「何がですか?」
学生「これですよ!!」
学生「龍彦さんは、大人気作家の ウィステリア藤子さんなんですよ!!」
富士宮龍彦「はい、静かに」
富士宮龍彦「続いては、『自分に合ったジャンルを選ぶ』 ということについて」
富士宮龍彦「少しだけ僕の意見を述べさせていただきますね」
〇風
富士宮龍彦「よく言いますよね」
富士宮龍彦「好きなものと得意なものが イコールではないと」
富士宮龍彦「これはその通りだと、僕は思います」
〇廃列車
富士宮龍彦「例えば、ミステリーやホラーだが」
富士宮龍彦「ミステリーやホラー好きには ニ種類の人間が存在する」
富士宮龍彦「犯人や犯行手口を予測しながら視聴する者と」
富士宮龍彦「キャラクターの感情を追って ストーリーを楽しむ者だ」
富士宮龍彦「『好きこそものの上手なれ』という言葉を聞いたことがあるかと思いますが」
富士宮龍彦「この理論で言えば」
富士宮龍彦「こちらの彼女もトリックを考えるのが得意ということになります」
富士宮龍彦「・・・どう思いますか?」
富士宮龍彦「物事を疑ってかかる」
富士宮龍彦「こっちの彼の方が得意そうですよね」
〇廃列車
富士宮龍彦「でも、劣っているわけではありません」
富士宮龍彦「タネや仕掛けがわからないからこそ、 どんなホラーでも恐怖を感じ」
富士宮龍彦「ミステリーの張り巡らせた伏線にも気づくことなく」
富士宮龍彦「最後までドキドキしたままでいられる」
富士宮龍彦「この層は僕たち書き手にとって 必要な人材です」
富士宮龍彦「どんな仕掛けにも驚いて、 反応をくれるのですから」
〇黒背景
富士宮龍彦「しかし、作家としてはどうでしょう」
富士宮龍彦「そんな彼らが作る推理小説は」
富士宮龍彦「自身が難題だと思っているとしても、 他者から見れば幼稚で簡単なトリックになってしまうのです」
富士宮龍彦「推理が得意な論理的思考の持ち主からしたら」
謎解きが得意な男「物足りなくて途中で投げてしまうかも しれません」
〇講義室
桜田林檎(すごい・・・)
桜田林檎(龍彦、めっちゃ喋ってる・・・)
そんなんで閉校回避できるわけなくね?
身内ノリ乙
せめてアニメ化作家じゃないと
桜田林檎「文句ばっかり・・・!!」
桜田林檎(負けてられない)
桜田林檎(気にしない、気にしない)
桜田林檎(大衆文化大学のこと、 一番好きなのはあたしなんだから!!)
〇並木道
あたしが、愛情で負けるなんてあり得ない!
桜田林檎「今日は、オープンキャンパスで 大学が一般開放されています!」
桜田林檎「つまり、大学の関係者じゃなくても」
桜田林檎「子供でもお年寄りでも誰でも、 この講義が聞けちゃうんです!」
桜田林檎「ウィステリア藤子ちゃんの講義を、 聞きに来ませんか!?」
桜田林檎「夕方までやっているので、今からでも間に合います!」
桜田林檎「しかも・・・・・・今なら!」
桜田林檎「藤子ちゃんのの編集さん、 出版社の現役編集者の鬼頭さんにも アドバイスが貰えちゃいます!」
鬼頭剛志(編集)「聞いてねぇんだけど」
桜田林檎「大衆文化大学は、◯◯野駅から徒歩3分!」
桜田林檎「これは行くしかないねー!!」
鬼頭剛志(編集)「勝手なこと言いやがって・・・」
桜田林檎「ごめんなさい」
桜田林檎「でも、最後のチャンスだから」
桜田林檎「使えるものは何でも使うの」
桜田林檎「そうでしょ?」
鬼頭剛志(編集)「・・・」
桜田林檎「鬼頭さんも、 そうやって生きてきたんじゃない?」
鬼頭剛志(編集)「ははっ」
鬼頭剛志(編集)「言うじゃん」
桜田林檎「なんでもするよ」
桜田林檎「大学を守れるなら────」
〇学食
学生「今、中央講堂に作家が来てるんだって!」
〇生徒会室
学生「誰?誰?」
〇女子トイレ
高校生「ウィステリア藤子っていう人!!」
高校生「知ってる?」
〇地下鉄のホーム
高校生「聞いたことあるな」
高校生「ラノベ、10巻くらい出てたよな?」
〇アパートの台所
学生「あたし今から行ってみようかな」
学生「定期の範囲内だから 金かかんないし」
〇渋谷の雑踏
ラノベ好き「行こう!!」
大学周辺住民「学校近い人集合だ!」
おじさん「おじさんだけど行っていい?」
卒業生「いいはず」
高校生「オレすでにいる」
中学生「結構面白いよ!」
中学生「早く物語が書きたくなってきた!」
〇綺麗なダイニング
リナ(中学の同級生)「悔しいー!!」
リナ(中学の同級生)「なんでアタシより目立ってるのよ!!」
リナの彼氏「うるせーぞ!」
リナの彼氏「おまえのせいで死んだじゃねーか!!」
〇講義室
桜田林檎「藤子先生! いっぱい来てくれたね!」
桜田林檎「こんなに大勢の前で話せるー?」
富士宮龍彦「善処する」
富士宮龍彦「得意分野だからな」
桜田林檎「お願いね!」
富士宮龍彦「続いて、 質問の多かった◯◯について───・・・」
桜田林檎(龍彦って、こんなに真剣に 小説について考えてたんだ)
桜田林檎(あたしが大学を想うみたいに、 物語が大好きなんだね)
〇空
〇研究施設の玄関前
大学関係者「よく来てくれたね」
大学関係者「これを見てくれ」
大学関係者「入学希望者が昨年度の3倍になった」
大学関係者「これなら入学定員の八割は埋まるだろう」
大学関係者「だが、債務が消えた訳ではない」
大学関係者「来年度の経営は黒字かも知れぬが、 負債が嵩めば、廃校の話は免れない」
大学関係者「しかし──」
大学関係者「しばらくの間は新規入学者を募る」
桜田林檎「つまり?」
大学関係者「閉校は一旦中止だ!」
大学関係者「若い人たちの期待に応えてこそ、 我が大衆文化大学だからな」
桜田林檎「先生ありがとー!!」
富士宮龍彦「やったな、林檎」
桜田林檎「ゔん」
桜田林檎「龍彦もありがとう〜!」
桜田林檎「大好きー!」
富士宮龍彦「・・・っ!」
桜田林檎(良かった・・・・・・)
桜田林檎「これであたしの大衆文化大学は永遠に続いていく・・・・・・」
大学事務員「でも、条件があります」
大学事務員「ウィステリア藤・・・いいえ、富士宮さん」
大学事務員「あなたが講師として働くことが必須です」
富士宮龍彦「・・・・・・」
大学事務員「うちの経営状態では、満足する賃金を お支払いすることができないと思います」
大学事務員「それでも、あなたに頼るしか 道は残されていないのです」
大学事務員「大学のために、身を捧げてくれますか?」
富士宮龍彦「・・・」
富士宮龍彦「もちろんです」
富士宮龍彦「ここで引き上げるなんて、 中途半端なことはしません」
富士宮龍彦「しばらくお世話になるつもりです」
大学関係者「しばらくとは、いつまでだい?」
富士宮龍彦「それは・・・」
富士宮龍彦「彼女が飽きるまで、ですかね」
富士宮龍彦「僕は彼女に誘われたのでここにいます」
富士宮龍彦「もういいって言うまで付き合うつもりです」
桜田林檎「龍彦ありがとうー!!」
富士宮龍彦「くっつくなって」
富士宮龍彦「彼女のおかげなんです」
〇空
富士宮龍彦「彼女がいなかったら、 僕も動いていませんでした」
富士宮龍彦「僕は想像の世界に浸ることができれば、 それで良かった」
富士宮龍彦「僕の世界も、広がりました」
富士宮龍彦「お礼なら、彼女に言って下さい」
富士宮龍彦「大衆文化大学のことを誰よりも愛している、」
富士宮龍彦「熱狂的な信者ですから」
to be continued・・・
ふぁー!最終回じゃなかった!✨
龍彦、大学講師と小説家の二足の草鞋をこなすことができるのか期待してます!✨
そういえば、リナさんの存在を忘れていました(笑
オープンキャンパスが大成功してよかったです☺️鬼頭さんまでダシにする林檎ちゃんの行動力はすごいです!
そして、閉校も一時中止になって良かったです!林檎ちゃんたちの努力が身を結びましたね!
そして、龍彦の教員になるという選択肢は、林檎ちゃんのためもあるけど漢気ですね!
読んでて癒されるし楽しくなるお話ですよね!☺️✨
龍彦の反応がいちいち可愛くて、キュンってしました💓🥰龍彦の想いがどうなるか!!気になって仕方がありません✨😆続きも読みまーす✨😆