エピソード5(脚本)
〇階段の踊り場
──患者の一人らしい少女が、潜めた足音と共に去って行く。
唐突に部屋から出て来て、病院内を徘徊し始めたから何事かとつい追いかけてしまったが・・・
憂月(ただ目が冴えただけっぽかったな)
小雨になったとはいえ屋上へ出ようものなら掟に抵触しても話しかけることも考えたが──
少女はただ、階段に腰をおろして休んだだけだ。
──その傍らに、怪異のものらしき“影”を引っ付けて。
憂月(・・・よく、あれで“誘われ”なかったな)
怪異本体ではないにしろ、あれだけがっつりと印のように“影”を引っ付けていれば、多少なりとも影響を受けるだろう。
異界か、──死に誘われていても不思議ではない。
寝起きだったなら、夢心地のまま──なんてこともありふれているのだが。
憂月(・・・見ていた限り、ことごとく回避してるようだな)
憂月(破滅的に鈍いのか、どこぞの神仏の加護でも受けてんのか)
もしくは──馬鹿みたいに意志が強いのか。
憂月(・・・何はともあれ、)
あの──医師たちが「ソラ」と呼んでいた少女を中心に見ていれば、いずれは怪異本体が出るだろうことは確信できた。
あとは──
憂月「・・・めんどくせェ・・・」
〇フェンスに囲われた屋上
???「・・・」