白崎商店街孫ちゃん失踪事件

山本律磨

後編(脚本)

白崎商店街孫ちゃん失踪事件

山本律磨

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〇商店街
ホステス茉美「そっちはどう?見つかった?」
ホオムラン健「ああ、いや。全然」
ホステス茉美「もしかして誘拐とか?」
町内会長「この町内にそんな不届者などおらんわい」
ホオムラン健「やっぱり警察に届けた方がいいんじゃないですかね」
町内会長「う~ん。あの二人も商売やっとるけえの」
ホステス茉美「小さな町だしすぐにはオオゴトにできないか~」
町内会長「よし。もう一度よう探してみて、それでもダメなら届け出を出そう」
ホオムラン健「ところで二人は今どこに?」
ホステス茉美「え?健ちゃんと一緒に探してるんじゃないの?」
ホオムラン健「僕は町内会長の所に行ってるとばかり」
町内会長「いや、知らんぞ」

〇狭い裏通り
オウナ「この辺り、あまりガラが良くないのよね」
オキナ「まるで迷路みたいになっちょるけえの」
オキナ「やけど煉が迷いこんどるとしたらもうここしかない」
オキナ「行くぞ」

〇黒背景
オキナ「お~い、煉」
オウナ「煉ちゃ~ん」
オキナ「煉~どこだ~?」
オウナ「迎えにきたよ~煉~」
オキナ「この隙間にもいないな・・・」
オウナ「Wi-Fiも通ってなさそうだし・・・」
オキナ「え?」
オウナ「なにかいる・・・」
オキナ「煉か!」
オウナ「煉!」
オキナ「うわあああああああッ!」
オウナ「ひいいいいいいいいッ!」

〇黒
オキナ「ぎゃあああああああ!」
オウナ「ひゃあああああああ!」

〇商店街
オウナ「もう!ただの看板に何驚きよるん!」
オキナ「お、お前だって!」
花屋ちゃん「お~いたいた。お蕎麦屋ちゃん」
オウナ「お花屋ちゃん」
花屋ちゃん「もう探したいね~。煉ちゃんがいなくなったんやって~?」
花屋ちゃん「早く言ってくれりゃよかったそい。なんのためのお隣同志なんかね~」
「・・・へ?」

〇実家の居間
煉「花?」
オウナ「うん、花」
オウナ「お爺ちゃんね、喧嘩すると次の日はすぐにお花をくれるんよ」

〇川沿いの道
いつかオキナになる少年「ほ、ほらよ!」
いつかオウナになる少女「あ、ありがとう」

〇レトロ喫茶
やがてオキナになる男「ほ、ほらよ!」
やがてオウナになる女「・・・ありがとう」

〇立ち食い蕎麦屋の店内
オキナ「ほ、ほらよ!」
オウナ「はいはい。ありがとう」

〇実家の居間
オウナ「だからあの花瓶が空っぽになったら、離婚するかも知れんね~」
煉「ふ~ん」

〇実家の居間
煉「・・・」

〇商店街
花屋ちゃん「だから今頃はもう家に帰ってるはずよ」
花屋ちゃん「泣ける話じゃないの。だから私もサービスして沢山・・・」
花屋ちゃん(ご、号泣・・・)

〇実家の居間
煉「・・・」
オウナ「ほら、どんどん食べりや。煉」
オキナ「それとも一杯やるか~?煉」
オウナ「コラ!アンタはまたそういう事を!」
オキナ「一杯くらいええじゃろうがい!酒も飲めんような男は出世せんぞ!」
オウナ「アンタは飲んでも飲んでも出世せんかったやろう!」
オキナ「いらん世話じゃ!」
煉「・・・フン」
煉「うぜーんだよ」
  おしまい。

コメント

  • 感動的なお話ありがとうございました!!
    優しさが染み渡りますね。
    グレるどころか、とても優しい子に育って良かったですね。モノクロ写真が良い味出して、寂れた町のリアリティや情感がたっぷりあって渋いですね。

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