友だち(脚本)
〇海沿いの街
ウカ・デルマ・ネール「──シルビアさん、スーペルさんと何を話しているんですかねリトナさん」
アイン・イヨ・リトナ「さあ・・・」
塞がれた入口に出くわしたスーペル。彼と話すと言って二人は取り残されていた。
アイン・イヨ・リトナ「でも、心配ないですよ」
ウカ・デルマ・ネール(リトナさん、心配そうな顔してますよ)
ウカ・デルマ・ネール「うっ!」
〇ヨーロッパの街並み
スーペル「──キミも見ただろう、あれがこの世界の姿だ」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・姿」
スーペル「ヴォルムでは酪農、フレッシングは畜産、モイスは漁業、ツァールトでは農業」
スーペル「その全てが確実に衰退し枯渇の道を辿っている」
シルビア・ヤン・オードリー「どうしてよっ、ファンバオムは何をしているのよ」
スーペル「ファンバオムの上層部は様々な提案を出すも、どれも周りくどい政策ばかりで解決には至らず今日まで来たというわけだ」
シルビア・ヤン・オードリー「はぁ〜」
シルビア・ヤン・オードリー「もう、父は何をしているのよ」
シルビアが思っているよりも世界は深刻であったと痛感していた。
〇海沿いの街
アイン・イヨ・リトナ「ウカさん!」
ウカ・デルマ・ネール「ふう〜・・・」
アイン・イヨ・リトナ「あ、あなたが、ウカさんの言っていたもう一人の方、ですか?」
ウカ・デルマ・ネール「フフッ、そうよリトナ」
アイン・イヨ・リトナ「え、私の名前を!?」
ウカ・デルマ・ネール「驚かないで、私にも話しが聞こえているのよ。だからあなたの名前を知ってるの」
アイン・イヨ・リトナ「そうですか・・・」
アイン・イヨ・リトナ「ではっ!」
リトナは斧を持ち、戦闘態勢に入った。
ウカ・デルマ・ネール「私とやる気?」
アイン・イヨ・リトナ「ウカさんは貴女が今のように勝手に現れ意識を失うことに恐怖を覚えています」
ウカ・デルマ・ネール「助けてあげた事だってある私を、斬るの?」
アイン・イヨ・リトナ「え・・・」
アイン・イヨ・リトナ「あっ、あの凄い水魔法っ!」
ウカ・デルマ・ネール「そっ、私よ」
悪い人ではないようなと迷いが生じる。
アイン・イヨ・リトナ「どうして・・・私に?」
ウカ・デルマ・ネール「ちゃんと見て、話してみたかったのよ」
アイン・イヨ・リトナ(綺麗な眼、心を奪われそうです)
だがリトナを見て徐々に眉尻を下げまぶたを閉じた。
ウカ・デルマ・ネール「ふつう・・・」
アイン・イヨ・リトナ「私が、ふつう?」
ウカ・デルマ・ネール「もしかしたら『ふつう』を欲しがるかもしれない」
ウカ・デルマ・ネール「でも」
アイン・イヨ・リトナ「・・・」
ウカ・デルマ・ネール「考えて、あなた自身を」
アイン・イヨ・リトナ「なにを・・・」
ウカ・デルマ・ネール「じゃっ♡」
アイン・イヨ・リトナ「ちょっ、ちょっとっ!」
ウカ・デルマ・ネール「ふぁ?」
〇ヨーロッパの街並み
シルビア・ヤン・オードリー「・・・それで、あんたはどうしてここに?」
スーペル「父に言われて、倒された魔物の状態と」
シルビア・ヤン・オードリー(倒された魔物・・・ここら辺なら、デス・キラー?)
スーペル「【獣を宿すもの】の様子を見にね」
シルビア・ヤン・オードリー「リトナ達って事?」
スーペル「そういう事になるかな」
スーペル「それでだがシルビア」
シルビア・ヤン・オードリー「なによ」
スーペル「分かってるとは思うが、獣を宿すものは4人だ」
スーペル「それぞれ火、風、水、土の獣を宿している」
シルビア・ヤン・オードリー「わ、わかってる、わよ」
スーペル「なら、いいが・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・」
そう言いながら街の方へと去っていったスーペル、それを見ずに地面を険しい眼で見つめていたシルビアだった・・・
〇けもの道
ウカ・デルマ・ネール「シルビアさん〜・・・リトナさん?」
「・・・」
ウカ・デルマ・ネール(一体二人に何があったの? 私わからないんだけど〜、重い空気です〜)
シルビア・ヤン・オードリー「・・・リトナ」
アイン・イヨ・リトナ「はい」
シルビア・ヤン・オードリー「ウカのもう一人が現れたって言ったけど、何があったのよ」
アイン・イヨ・リトナ「・・・いえ、ただ話しがしたいと言われただけです」
シルビア・ヤン・オードリー「そっ」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん、は?」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・別に」
軽く言い放ったつもりシルビアだが、リトナもウカも不機嫌な事に気がついてたいた。
〇西洋風の部屋
そのままの状態で着いたのはモフ村にある知り合い家をノックする。
「はーい」
フレイア・フェイン・アイン「あっ、あなたたちはっ!?」
シルビア・ヤン・オードリー「イザークの妹よね、イザークいる?」
イザークとフレイアの家だった・・・。
自分達が消えたあとの事をフレイアに聞いてみた。
フレイア・フェイン・アイン「・・・というわけで」
シルビア・ヤン・オードリー「やっぱり旅に出たか〜」
アイン・イヨ・リトナ「イザークさんがジッとしているはずないですよね」
フレイア・フェイン・アイン「はぁ〜、お兄ちゃんに教えてあげたい」
ウカ・デルマ・ネール「どこに行ったかわかりますか、えっとフレイアさん」
フレイア・フェイン・アイン「ウカさん、たぶん・・・」
シルビア「ああーんっ、もうぉっっっ!」
突然の大声に皆がビクる。
シルビア・ヤン・オードリー「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん、少し頭を冷やしてください」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・ごめん」
リトナには感じていた。シルビアが使命を背負い、また何かそれだけではないことに悩んでいると。
そして時折みせるウルッた瞳も。
アイン・イヨ・リトナ「二人ともごめんなさい、いまシルビアさんは・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「大丈夫」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「フレイア」
フレイア・フェイン・アイン「は、はいーっ」
シルビア・ヤン・オードリー「イザークが行きそうな場所は、どこ?」
フレイア・フェイン・アイン「ええーっ」
シルビア・ヤン・オードリー「恐がらせたのはホントごめん」
シルビア・ヤン・オードリー「でもあたしたちじゃ考えつかないの、感でいいから教えてほしいの」
シルビアの眼を見ることに怯えていたフレイアは落ち着いた彼女に向く。
フレイア・フェイン・アイン「お兄ちゃんには」
フレイア・フェイン・アイン「年に一度だけ出会う、大切な友だちがいるんです・・・」
〇大きな日本家屋
和風な家に一人の青年がいた。
〇広い和室
シェルシ・ルマン・フォーン「お皿が一つに箸ニつ〜おやつは三時椅子四つ〜」
「シェルシ、お客さんよ」
シェルシ・ルマン・フォーン「わかったよ母さん、今いく」
〇大きな日本家屋
お皿を洗い終わり玄関に急ぐと、
シェルシ・ルマン・フォーン「あっ!」
イザーク・フェイン・リッダ「よう、元気だったかシェルシッ」
シェルシ・ルマン・フォーン「イザークーッ!」
そこに立っていたのは長旅で汗をかいていたイザークだった・・・。
シェルシ・ルマン・フォーン「どうしたんだ、君から会いに来るなんて」
イザーク・フェイン・リッダ「話さなきゃならないことは沢山あるんだが」
イザーク・フェイン・リッダ「特にこの旅で起きたことを話すよ」
シェルシ・ルマン・フォーン「旅?」
イザーク・フェイン・リッダ「あーっ、重大なことなんだ」