指先に魔法はいらない

星月 光

chapter06 浦風の憧憬(脚本)

指先に魔法はいらない

星月 光

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〇田舎の病院の病室
???「おはよう、サフィ よく眠れたか?」
???「・・・先生?」
???「おいおい、寝ぼけてるのか?」
???「・・・夢を見たの」
???「浜辺を歩く夢」
???「青い空、キラキラ光る海」
???「すっごくキレイだった」
???「今度連れてってやるさ」
???「ほんと!?」
???「体調がよくなったらな」
???「さ、検査をしよう」
???「うん!」

〇海辺

〇おしゃれな居間
ピオノノ・ダイン「おはようございます!」
ピオノノ・ダイン「師匠、朝食ができてます!」
アストリッド「なに、その師匠ってのは」
ピオノノ・ダイン「魔術を教えてくださるのだから 相応の呼び方をするべきかと」
ピオノノ・ダイン「ダメでしょうか?」
アストリッド「ま、好きに呼べば」
アストリッド「それより」
アストリッド「なんなの、これ」
ピオノノ・ダイン「・・・朝食です」
アストリッド「これを朝食と言い張る度胸は買うよ」
ピオノノ・ダイン「少し目を離したらこうなってて」
アストリッド「食事の担当はサフィにしろ」
ピオノノ・ダイン「でも、それだとサフィに負担が」
アストリッド「こっちの胃に負担なんだけど?」
アストリッド「自分がやるべきこと、わかってるよね?」
ピオノノ・ダイン「もちろん!」
ピオノノ・ダイン「魔術の習得と、濡れ衣を晴らすことです!」
アストリッド「じゃ、家事負担の不均衡 多少は仕方ないよね?」
サフィ「・・・あっ」
サフィ「はい! まかせてください」
ピオノノ・ダイン「どうかしたのか?」
サフィ「えっと・・・」
サフィ「変な夢、見たんですけど」
ピオノノ・ダイン「どんな?」
サフィ「うーんと」
サフィ「忘れちゃいました」
アストリッド「さっさと食べて始めるよ」
サフィ「お昼ご飯作って待ってます!」

〇立派な洋館

〇華やかな裏庭
ジュリアン・ダイン(念のため、今日も父上のところへ行こう)
ジュリアン・ダイン(フランクも片付けてしまえば・・・)
ナタリア・オブ・ワーズワース「ジュリアン」
ジュリアン・ダイン「・・・ナタリア様」
ナタリア・オブ・ワーズワース「ピオノノのこと、残念でしたね」
ナタリア・オブ・ワーズワース「彼と話したことはありませんが 仕えるべき王女に懸想するなんて」
ナタリア・オブ・ワーズワース「そんな兄君がいて、貴方も大変ですね」
ジュリアン・ダイン「誤解です!」
ジュリアン・ダイン「兄上をご存じないくせに 兄上を悪く言わないでください!」
ジュリアン・ダイン「・・・あっ」
ジュリアン・ダイン「ごめんなさい、大声を出して」
ジュリアン・ダイン「驚かせてしまいましたよね」
ナタリア・オブ・ワーズワース「いいえ」
ナタリア・オブ・ワーズワース「兄君のこと、よほど好きなのですね」
ジュリアン・ダイン「・・・家族ですから、当然です」
ナタリア・オブ・ワーズワース「わたしよりも?」
ナタリア・オブ・ワーズワース「冗談です」
ナタリア・オブ・ワーズワース「それよりジュリアン」
ナタリア・オブ・ワーズワース「一昨日の夜、姉上がいらしたでしょう」
ジュリアン・ダイン「・・・ええ」
ナタリア・オブ・ワーズワース「なにか言っていましたか?」
ジュリアン・ダイン「いえ・・・ただ」
ジュリアン・ダイン「兄のことでわたしに詫びたいと」
ナタリア・オブ・ワーズワース「そうでしたか」
ナタリア・オブ・ワーズワース「ご自身の身勝手な行動で 1人の臣下を殺めたこと」
ナタリア・オブ・ワーズワース「心に刻んでいただかなくては」
ジュリアン・ダイン「・・・兄は生きています」
ジュリアン・ダイン「生きて帰って、きっと冤罪を晴らします」
ナタリア・オブ・ワーズワース「なぜ言い切れるのですか?」
ナタリア・オブ・ワーズワース「沈没、転覆、漂流、壊血病」
ナタリア・オブ・ワーズワース「たとえ辿り着いたとしても サントエレンは魔物と犯罪者の巣窟」
ナタリア・オブ・ワーズワース「無事でいるとは思えません」
ナタリア・オブ・ワーズワース「貴方はダイン家の後継者」
ナタリア・オブ・ワーズワース「現実を見て、やるべきことをなさい」
ジュリアン・ダイン「・・・ふん」
ジュリアン・ダイン(ぼくのやるべきことだと?)
ジュリアン・ダイン(そんなの、1つしかない)

〇森の中
アストリッド「相変わらず、そよ風だけど」
アストリッド「風が止まなくなったのは悪くないね」
ピオノノ・ダイン「はい!」
アストリッド「次の課題は、もっと強い風を起こすこと」
アストリッド「他属性の魔術を行使できれば その必要もないんだけど」
アストリッド「それは現実的じゃないからね」
ピオノノ・ダイン「あの、師匠」
ピオノノ・ダイン「ボクの魔力量、少ないのでしょうか?」
アストリッド「そうだな」
アストリッド「今まで出会った魔術師の中では──」
アストリッド「――下の中ってところかな」
ピオノノ・ダイン「そんなに低いんですか!?」
アストリッド「忘れたのかな? 自分が特殊な製造過程で生まれたって」
アストリッド「魔力や魔晶石に異常があれば スペルロイドは製造工場に送り返され」
アストリッド「分解され、他の個体にパーツを流用される」
アストリッド「魔力の少ない魔術師に会う機会なんて そうそうないってことだよ」
ピオノノ・ダイン「頑張って魔力量を上げます!」
アストリッド「いや、魔術の技能はともかく 魔力の量は変えられな・・・」
ピオノノ・ダイン「さあ、再開しましょう!」
ピオノノ・ダイン「ご指導ご鞭撻、よろしくお願いします!」
アストリッド「フラフラしてるみたいだけど?」
ピオノノ・ダイン「それは、その」
ピオノノ・ダイン「立て続けに魔術を使って 呼吸が乱れているだけです!」

〇おしゃれな居間
アストリッド「ダイン家の長男とされていた人間が スペルロイドと知れたらどうなるか」
アストリッド「ちょっと考えればわかるだろうに」
アストリッド「貴族社会じゃやっていけないんじゃない?」

〇森の中
ピオノノ・ダイン(師匠の言うとおり)
ピオノノ・ダイン(ボクはあまりにも考えが足りてなかった)
ピオノノ・ダイン(・・・けど)
ピオノノ・ダイン「続きをお願いします!」
ピオノノ・ダイン(絶対に冤罪を晴らすんだ 落ち込んでる暇なんてない!)
アストリッド「・・・いや」
アストリッド「今日の実技はここまで 昼食のあとは座学だ」
ピオノノ・ダイン「えっ」
ピオノノ・ダイン「ボクはまだやれます!」
アストリッド「わたしはもうやれない」
アストリッド「朝食がひどすぎたからね」
ピオノノ・ダイン「けど、魔術を覚えるなら 座学よりも実践だって」
アストリッド「正しい知識を持ってればね」
アストリッド「おまえ、大貴族のお坊ちゃんだし 基礎知識は習得してるものと思ってたけど」
アストリッド「昨夜の話を聞く限り、疑わしいからね」
ピオノノ・ダイン「ダイン家に誤った知識を与えられた ・・・ということでしょうか」
アストリッド「都合のいいように改ざんされた知識 ・・・とでも言うべきかな」
アストリッド「誤った知識の訂正は早いほうがいい」
アストリッド「というわけで、午後は座学」
アストリッド「理解できた?」
ピオノノ・ダイン「は、はい」
ピオノノ・ダイン「あっ、待ってください!」
アストリッド(もっと落ち込んでるかと思ったけど)
ピオノノ・ダイン「師匠!」
ピオノノ・ダイン「サフィの昼食、楽しみですね!」
アストリッド(ま、空元気だったとしても)
アストリッド(うっとうしく落ち込まれるよりマシか)

〇L字キッチン
サフィ(材料、別の鍋に分けといてよかった)
サフィ(ずっと同じもの食べると飽きちゃうし)
サフィ(前もこうやって・・・)
サフィ「・・・あれ?」
サフィ(なんだろ・・・ なんか、変な感じ)
サフィ「おかえりなさい!」
「ご飯できてますよ!」

〇貴族の応接間
執事長フランク・カッター「旦那様 お耳に入れておきたいことがございます」
執事長フランク・カッター「ジュリアン様が動き回っておられるご様子」
執事長フランク・カッター「くれぐれもご留意くださいませ」
執事長フランク・カッター「それとナタリア姫がいらして・・・」
クレメント・ダイン「・・・・・・」
執事長フランク・カッター「旦那様?」
クレメント・ダイン「うむ・・・ 今朝からどうもめまいが」
執事長フランク・カッター「お風邪を召されたのでしょうか?」
クレメント・ダイン「姫の対応はジュリアンに任せよう」
執事長フランク・カッター「しかしジュリアン様は──」
ジュリアン・ダイン「父上、ナタリア様がいらしてます」
ジュリアン・ダイン「お出迎えしましょう!」
クレメント・ダイン「体調が優れぬので休ませてもらう」
クレメント・ダイン「フランク ジュリアンとともに姫をもてなせ」
執事長フランク・カッター「・・・承知いたしました」
ジュリアン・ダイン「父上、だいじょうぶですか?」
ジュリアン・ダイン「風邪によく効くお茶を 後ほどお持ちしますね」
執事長フランク・カッター「・・・・・・」

〇森の中の小屋
サフィ「どうぞ、2人とも!」
ピオノノ・ダイン「あ、ありがとう」
アストリッド「おまえも聞くの?」
サフィ「あたし、なにも知らないから いろいろ覚えたいなって」
サフィ「ダメですか?」
アストリッド「邪魔しないならかまわないけどね」
サフィ「ありがとう!」
サフィ「はい、アストリッドの分」
アストリッド「・・・どうも」
アストリッド「――さて」
アストリッド「魔術の基礎知識、答えてもらおうか」
アストリッド「まず、魔術の6属性とその特徴について」
ピオノノ・ダイン「はい!」
ピオノノ・ダイン「魔術の6属性とは──」
ピオノノ・ダイン「世界を構成する4属性を原理とする 火、氷、風、土」
ピオノノ・ダイン「破滅を司る光明神の力を原理とする光 創造を司る暗黒神の力を原理とする闇」
アストリッド「そう」
アストリッド「火は膨張」
アストリッド「氷は収縮」
アストリッド「土は凝固」
アストリッド「風は流動」
アストリッド「属性によって魔力の使い方は変わる」
サフィ「光と闇は?」
アストリッド「ピオ」
ピオノノ・ダイン「はいっ」
ピオノノ・ダイン「光は膨張と流動 闇は収縮と凝固」
サフィ「2つですか?」
ピオノノ・ダイン「世界を創造したのは 光明神リーグと暗黒神ルーネ」
ピオノノ・ダイン「リーグからは火と風が生まれ ルーネは氷と土を生んだ」
ピオノノ・ダイン「だから特性を2つずつ備えている」
ピオノノ・ダイン「・・・ですよね?」
アストリッド「そのとおり」
サフィ「じゃあ、光と闇は難しいんですね?」
アストリッド「技量は必要だね」
アストリッド「魔術は神の御業なんて言われるけど」
アストリッド「光と闇は正真正銘、神の力だからね」
ピオノノ・ダイン「師匠はどちらも使えますよね」
サフィ「そうなのですか?」

〇島の家
ピオノノ・ダイン「あいつらを退けたのは光魔術で」

〇英国風の部屋
ピオノノ・ダイン「ボクを治してくれたのは闇魔術だ」

〇森の中の小屋
サフィ「アストリッド、すごい!」
アストリッド「まあね」
サフィ「ピオも使えるようになるといいですね!」
アストリッド「適性は先天的に決まる 後天的に・・・」
アストリッド「・・・無理ってことだよ」
サフィ「じゃあピオは、えっと」
サフィ「風魔術に適性があるんですね!」
アストリッド「というより、他の適正がなさすぎる」
アストリッド「一番マシなのが風ってだけ」
アストリッド「ほんとに」
アストリッド「一切」
アストリッド「まったく適性がないからね」
ピオノノ・ダイン「そ、そんなにですか」
アストリッド「後天的に適性を得られるとしても 光と闇はおすすめしないよ」
アストリッド「ま、風もよくはないんだけど」
アストリッド「仮に裁判を起こせたとして 冤罪の主張は通らないだろうし」
アストリッド「どうしたものかな」
ピオノノ・ダイン「そういえば、さっき・・・」

〇森の中
アストリッド「他属性の魔術を行使できれば その必要もないんだけど」

〇森の中の小屋
ピオノノ・ダイン「なぜ風魔術ではダメなのですか?」
サフィ「そうです!」
サフィ「ピオ、こんなに頑張ってるのに!」
アストリッド「報われるかどうかと努力の多寡は無関係」
アストリッド「努力が必ず実を結ぶなら」
アストリッド「この島に来ることもなかったんじゃない?」
サフィ「けど・・・ そんなの、悲しいです」
サフィ「だって、頑張れば夢は叶うって!」

〇田舎の病院の病室
  このまま死んじゃうのかな・・・
  海、行きたかったな・・・
???「諦めるな、サフィ!」
???「諦めなければ夢は叶う だから・・・!」

〇森の中の小屋
サフィ「・・・!?」
ピオノノ・ダイン「どうしたんだ?」
サフィ「ううん・・・なんでもないです」
アストリッド「感情論は感心しないよ」
アストリッド「しょうがない、教えてやるか」
アストリッド「風魔術で冤罪を証明できない 論理的な理由をね」

次のエピソード:chapter07 薄氷の平穏

コメント

  • メイン3人の心根の良さが、王宮・ダイン家とあまりにも対照的で、まさに光と闇という感じで😊 あっ、この作品世界の光が「破滅を司る光明神の力」、闇が「創造を司る暗黒神の力」と、とても興味をそそられる設定ですね✨
    サフィちゃんの夢の真相にも興味津々です🙌

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