#9 聖夜に奇跡は起きるのか(脚本)
〇田舎の教会
音夢(ネタム)「まずはビルを呼び出して、 決着をつけるッ・・・!」
音夢(ネタム)「って」
音夢(ネタム)「前に呼んでも出て来なかったんだっけ」
音夢(ネタム)「──そう簡単には行かないか」
緋色(ヒイロ)「今までは、どうやってビルに会っていたの?」
音夢(ネタム)「それが神出鬼没で、一方的に現れたんだよな・・・」
音夢(ネタム)「でも間違いなく、アッチは俺たちのことを把握しているハズだ!」
緋色(ヒイロ)「時間が無い。 とりあえず、作戦を練ろう」
緋色(ヒイロ)「どんなに小さなコトでもいい」
緋色(ヒイロ)「初めてビルに会った日のコトを、細かく教えてくれ!」
音夢(ネタム)「・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・」
緋色(ヒイロ)「ん!」
緋色(ヒイロ)「『コンビニのおばちゃんが、ビルのことを「常連客」と呼んでいた』?」
緋色(ヒイロ)「ということは」
緋色(ヒイロ)「ビルはまた、コンビニに現れる可能性が高いんじゃないか?」
音夢(ネタム)「オオッ! お前アタマいいな♥」
緋色(ヒイロ)(優海の顔で褒められると、 ちょこっと嬉しいな)
音夢!
音夢(ネタム)「え? 今、俺のこと呼んだ?」
緋色(ヒイロ)「呼んでいないよ」
聞いて。
優海を助ける方法がある。
音夢(ネタム)「ウッ・・・また頭の中で、誰かが・・・」
緋色にこの声は聞こえない。
音夢にしか聞こえないから、しっかり聞いて欲しい!
音夢(ネタム)「最初に悪魔カードを見つけた時に、『拾うな』と言った声?」
音夢(ネタム)「一体、誰なんだ・・・!?」
音夢(ネタム)「ま、まさか・・・!!!!」
〇コンビニ
〇コンビニのレジ
コンビニのおばちゃん「いらっしゃいませぇ♥」
コンビニのおばちゃん「クリスマスの準備はお済みですか?」
コンビニのおばちゃん「本日はワインとフライドチキンがオススメです!」
デ・ビル「ド〜モデス」
コンビニのおばちゃん「アララ、お久しぶりっ子! 外人さんじゃないの〜」
コンビニのおばちゃん「あの時以来だね! 今日はお財布持ってきたのかい?」
コンビニのおばちゃん「エクスキューズミー? ガマグチ!ユキチ!カモン!?」
デ・ビル「ノープロブレム」
コンビニのおばちゃん「ウワッ、すごい札束!」
コンビニのおばちゃん「結構毛だらけ、 ユキチ、万だらけ!」
デ・ビル「ハハ。 あの時はお世話になりまシタ」
コンビニのおばちゃん「外人さん、金持ちだったんだね」
コンビニのおばちゃん「あたしゃてっきり、訳アリの路上生活者かと・・・!」
デ・ビル「大手との取り引きが上手く行きそうなので、報奨金が出たのデス」
デ・ビル「今日は沢山買わせてくだサイ」
コンビニのおばちゃん「ワオ!」
コンビニのおばちゃん「ワインの箱買いですね♪ ありがとうございます!」
コンビニのおばちゃん「じゃ、お会計を・・・ ヨッコイショイチ!」
コンビニのおばちゃん「アイタタタ!」
デ・ビル「大丈夫デスか?」
コンビニのおばちゃん「ゴ、ゴメン」
コンビニのおばちゃん「前にも話したけど、 相変わらず腰が悪くてね〜」
コンビニのおばちゃん「医者にも痩せたらマシになると言われてるんだけど、なかなかね」
コンビニのおばちゃん「この店にも、あと何年立てるかねえ」
デ・ビル「それがおばちゃんの願いデスね」
デ・ビル「では、私からプレゼントを差し上げマス!」
コンビニのおばちゃん「エッ?」
コンビニのおばちゃん「スゴく・・・キレイなカード・・・」
デ・ビル「コレは、どんな願いも叶えるカードデス」
デ・ビル「欲しいデスよね?」
コンビニのおばちゃん「欲しい・・・かも」
デ・ビル「どうぞ欲望のままに、有効利用してくだサイね♪」
コンビニのおばちゃん「あはは! イイ男は懐も深いのね!」
コンビニのおばちゃん「お礼におばちゃんが嫁に行くっていうのはどうさ?」
デ・ビル「嫁!?」
コンビニのおばちゃん「ウェディング、シンデレラハネムーン、愛しのエリー、チュッパチャプス」
コンビニのおばちゃん「カモン!!」
デ・ビル「・・・お会計してくだサイ」
〇コンビニ
音夢(ネタム)「やはり現れたな、ビル! 待っていたぜ!!」
デ・ビル「ココに来るコトを先読みされた、というコトデスか」
デ・ビル「2人とも、やりますね」
音夢(ネタム)「緋色と俺は仲直りした」
音夢(ネタム)「約束通り、俺と優海を元に戻してくれ!」
デ・ビル「予定通りではないけれど、話が早いデス」
デ・ビル「ではコレをどうぞ」
音夢(ネタム)「また悪魔カード・・・?」
デ・ビル「コレに願いを言えば、 音夢サンと優海サンは元に戻りますよ」
デ・ビル「ただし、入れ替わった瞬間」
デ・ビル「呪われるか、祝福されるかは音夢サン次第デス」
緋色(ヒイロ)「呪われる?」
緋色(ヒイロ)「話が違うじゃないか!」
音夢(ネタム)「相変わらず汚ねえな・・・」
緋色(ヒイロ)「ならば、このカードに悪魔を消すという願いを言えばどうかな?」
緋色(ヒイロ)「呪いを使う張本人が消えれば、能力も消えて入れ替わりが解けるのでは?」
デ・ビル「緋色サンは頭がキレるけど、欲張りデスねえ」
デ・ビル「1つのカードに願いはひとつだけデス」
緋色(ヒイロ)「クソッ・・・」
デ・ビル「悩んでいるようなら」
デ・ビル「決断しやすいようにしてあげマス!」
デ・ビル「これから、音夢サンの身体に負荷をかけマス」
デ・ビル「弱った身体をガン細胞が完全に蝕んだら、」
デ・ビル「音夢さんはどれくらい持ち堪えられるのデショウね」
「ハアっ!?」
音夢(ネタム)「ハッタリか・・・!?」
デ・ビル「ハッタリと思うなら、今すぐに病院に行かれてみては?」
〇総合病院
〇田舎の病院の病室
千代(チヨ)「2人とも、せっかくお見舞いに来てくれたのに、すまないけど」
千代(チヨ)「音夢の容態が急変して、今夜が峠だろうって言われてね・・・」
千代(チヨ)「悪いけど、肉親や親戚筋しか病室に入れないんだよ」
千代(チヨ)「かわいそうに・・・まだあのコ、若いのに・・・ウウッ」
千代(チヨ)「代われるものなら、代わりたいよ!」
千代(チヨ)「ウゥゥ・・・」
〇大きい病院の廊下
音夢(ネタム)「嘘だアッ!!」
音夢(ネタム)「優海・・・優海・・・!!」
音夢(ネタム)「こんなの・・・」
音夢(ネタム)「こんなの、嫌だあッ!!」
「さて、問題デス」
デ・ビル「悪魔カードは音夢サンのピンチを救うことが出来るでしょうか?」
デ・ビル「信じるも信じないも、アナタ次第デス」
音夢(ネタム)「何でも・・・します」
音夢(ネタム)「悪魔カードを俺に使わせて下さい!!」
緋色(ヒイロ)「音夢・・・!」
音夢(ネタム)「お願いします!!」
デ・ビル「フハハ! ゲームセットDETH!!!!」
デ・ビル「では、カードを手にして願いを言ってくだサイ」
デ・ビル「さあ、早く!」
音夢(ネタム)「デ・ビルよ」
音夢(ネタム)「よく聞け!」
音夢(ネタム)「俺の願いは、お前が消滅することだ!」
デ・ビル「ハッ・・・!?」
デ・ビル「ナッ・・・ナニィィー!?」
〇炎
デ・ビル「私を葬るのに貴重なカードを使うなんて!!」
デ・ビル「優海は!? 優海を見捨てたというのデスかッ!!」
音夢(ネタム)「俺たちは優海を見捨てていない!」
緋色(ヒイロ)「悪魔カードはもう1つあるんだよ!」
デ・ビル「バカな!! それはコンビニのおばちゃんに渡した悪魔カード」
デ・ビル「だ、誰だ!?」
デ・ビル「誰が音夢に入れ知恵をしたのデス!?」
デ・ビル「グフッ」
〇大きい病院の廊下
音夢(ネタム)「ビルを倒しても悪魔カードを使えることを教えてくれて、ありがとう!」
音夢(ネタム)「どうして気が付かなかったのかな」
音夢(ネタム)「父さん、母さん」
音夢(ネタム)「見えないけど、ココに居るんでしょ?」
音夢(ネタム)「俺を助けてくれて」
音夢(ネタム)「この世に生んでくれて、ありがとう」
〇田舎の教会
音夢(ネタム)「さあ、今度は緋色の番だ」
音夢(ネタム)「悪魔カードに俺たちが入れ替わるという願いを言ってくれ」
緋色(ヒイロ)「・・・」
音夢(ネタム)「緋色なら、必ず祝福されるよ」
緋色(ヒイロ)「元に戻ったら、お前はどうなるんだ?」
音夢(ネタム)「多分・・・膵臓がんは呪いじゃないから治らない」
緋色(ヒイロ)「お前、ヒドいよ」
緋色(ヒイロ)「最期まで、俺に嫌な役をやらせるなんてな・・・!」
音夢(ネタム)「あのさ」
音夢(ネタム)「ちゃんと言えてなかったから、 今言うぜ」
音夢(ネタム)「俺、お前に敵わないから卑屈になって、妬んだり羨んでばかりいた」
音夢(ネタム)「でも、小説読んで気づいたんだ」
音夢(ネタム)「お前はスゲーよ」
音夢(ネタム)「全世界に、こんなスゲー話がかけるのは、俺の親友だぜって言いたくなった!」
音夢(ネタム)「ありがとな!」
緋色(ヒイロ)「ウルせぇよ・・・!」
緋色(ヒイロ)「いつもみたいに、」
緋色(ヒイロ)「ムカつくこと言えよ!」
緋色(ヒイロ)「コレじゃまるで」
緋色(ヒイロ)「まるで・・・ お別れみたいじゃねえか・・・!!」
緋色(ヒイロ)「今さらなんだよ!」
緋色(ヒイロ)「今さら・・・勘弁してくれよ」
音夢(ネタム)「悪いな」
音夢(ネタム)「ついでにもう1つ」
音夢(ネタム)「お前に頼みたいことがある」
音夢(ネタム)「──」
緋色(ヒイロ)「・・・お前には負けたよ」
緋色(ヒイロ)「約束は、守る」
音夢(ネタム)「じゃ、願いを頼むぜ!」
緋色(ヒイロ)「カードよ、俺の願いは」
緋色(ヒイロ)「音夢と優海を元に戻すこと!」
〇田舎の病院の病室
優海(ゆうみ)(・・・)
優海(ゆうみ)(あれ・・・)
優海(ゆうみ)(カラダがフワフワする)
優海(ゆうみ)(もう、死んじゃったのかな)
優海(ゆうみ)(ん?)
優海(ゆうみ)(あれ、浮いてる?)
〇田舎の教会
音夢(ネタム)「この光は!?」
音夢(ネタム)「緋色?」
音夢(ネタム)「緋色!!」
エ・ンジェル「心配いらないよ」
エ・ンジェル「緋色の刻が止まってるだけだから」
音夢(ネタム)「誰だ、お前は!?」
エ・ンジェル「私はエ・ンジェル」
エ・ンジェル「ビルの散らかした現場を片付けに来たんだ」
音夢(ネタム)「悪魔の次は天使かよ!?」
エ・ンジェル「そう身構えないで」
エ・ンジェル「君は悪魔の試練に打ち克ったんだから」
エ・ンジェル「祝福しにきたのさ」
エ・ンジェル「優海との入れ替わりを戻してあげる」
音夢(ネタム)「そんなことが出来るなら、なぜもっと早く来てくれないんだ?」
エ・ンジェル「私はビルと表裏一体」
エ・ンジェル「ビルがいる間は地上には行けない」
エ・ンジェル「でも、君がビルを倒してくれたから」
エ・ンジェル「私が召喚されたのさ」
エ・ンジェル「刻は長く止められない」
エ・ンジェル「直ぐに器を交換しよう」
音夢(ネタム)「分かった」
エ・ンジェル「あと」
エ・ンジェル「交換すると、未来も変わるので」
エ・ンジェル「これから先のことはあまり保証出来ない」
エ・ンジェル「1番は記憶だ」
エ・ンジェル「人間は自分を守るために忘れる機能がある」
エ・ンジェル「今回の1か月の出来事を」
エ・ンジェル「君以外の人間は忘れてしまうと思う」
音夢(ネタム)「せっかく・・・緋色と仲直り出来たのに」
エ・ンジェル「あと、生命に関わる病気もリセットはされないよ」
音夢(ネタム)「・・・」
音夢(ネタム)「何度でも」
音夢(ネタム)「何度でも、仲直りは出来るよな」
音夢(ネタム)「緋色」
音夢(ネタム)「俺はもう、諦めないよ」
〇東京全景
〇白
俺と優海の中身は戻ったけど
天使が言ったとおりだった。
みんなは、この1か月に起きた出来事を忘れた。
そして、
俺はクリスマスの聖なる夜に
膵臓ガンで人生を終えた。
泣けた、
そして最後まで緋色と優海の為に頑張った音夢、お疲れ様
自分以外あった出来事が記憶から無くなるのは辛いですね😭
次回最終回、記憶がなくなっても再び仲直りできたのかな?
おお!!感動的なクライマックスと思ったら、まだ先があったのですね!!
この先どう展開するのか予測もつきませんが…
何か凄い隠し玉があるような。涙涙とは!!
ワクワク期待しながら楽しみにお待ちします、メリークリスマス🎄
やっぱり、音夢クンの病の結末は覆らなかったのですね……🥲
それでも、皆が納得のいく未来が訪れて、よかったのかも😭
涙の展開とともに、コンビニのおばちゃんのキャラの濃ゆさが😂最高です👍
さらに、音夢クンの両親やエ・ンジェルさまの登場などの怒涛の展開というべき今回でしたが、次回はどんなエンディングを迎えることになるのか、涙と鼻水を垂れ流す覚悟でお待ちしております😊