からすときつね

ぐらっぱ

第四話(脚本)

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〇数字
  ──座標軸X12579Y982地点
  ゲートを開きます
「おとうさま・・・」
「よく見て覚えるんだよ この先も必要になるからね」
「わかりました・・・」
「僕が居なくなった後も この世界を守っておくれ」
「・・・」
「僕にはカタチしか創れない だからここで──を見つけて」
「・・・アレがそうなのですか?」
「そう、契約し合意を得る必要があるんだ 何も難しい事じゃない できるね?」
「分かりました」
「慣れてきたら他のみんなにも教えるんだよ 大丈夫、君ならできるさ 僕の一番弟子だからね」

〇黒背景

〇水の中
  魂の輝きよ
  今再び光を
  新たな生を受け
  我らが同胞と共に
  この地に繁栄を

〇黒背景

〇実家の居間
世話役の女性「──というわけで私達はここに生まれ そしてその中で選ばれた者だけが天上に ・・・ここまで分かりましたか?」
黒虎「ガウゥ・・・ コトバ、ムズカシイ」
世話役の女性「焦らず少しずつ覚えていきましょう」
黒虎「ガウ!」
世話役の女性「返事は『はい』ですよ」
黒虎「ガゥ・・・ハ、イ」
世話役の女性「よくできました」
カラス「しっかしよぉ・・・」
カラス「なーんで俺まで勉強しなきゃいけないんだ!」
世話役の女性「カラス様は黒虎の教育係ですもの 一緒にいなければ困ります」
カラス「でもよぅ・・・ 勉強くらいこいつだけでいいじゃねぇか 俺は忙しいんだ」
世話役の女性「・・・わたくしに頼んだのは カラス様じゃないですか 黒虎の教育って何教えればいいんだって」
カラス「仕方ねぇだろ 四つ足どもの言葉はわからねえし」
世話役の女性「わたくしに丸投げはどうかと 仮にも神獣様なんですから しっかりしてください」
カラス「うーん それを言われると・・・」
世話役の女性「そう言えばこの前の試験は赤点でしたわね」
カラス「そ、それは腹の調子が悪く・・・」
カラス「だいたい今更なんで国語とか歴史とか 勉強する必要あるんだよぅ 俺らは強ければいいじゃねぇか」
世話役の女性「神獣は主上の牙、仇なすものを屠る存在 ・・・ですがおつむの足りない神獣では 主上の品格を問われますわ」
カラス「誰がおつむ足りないって!?」
世話役の女性「この前の試験は赤点 再試験も、再々試験も赤点 ・・・いい加減合格点を取ってください」
カラス「うぐぅ・・・」
黒虎「・・・」
黒虎「ハラ、ヘッタ・・・」
黒虎「ガルルルル・・・」
カラス「お、おい? なんで俺睨んでるんだ?」
黒虎「オマエ、クウ・・・!」
カラス「わぁ!! ま、まて! 鴉の肉は美味しくねえぞ!」
黒虎「ガウゥ・・・マ、テ!!」
カラス「ま、待て!! い、いたったたたあ!! 齧るな! 離れろおおお!」
世話役の女性「あらあら仲が良い事・・・」
世話役の女性「それではわたくしは戻りますわね」

〇黒背景

〇岩の洞窟
ガラの悪い男「──本当に約束守るんだろうなぁ?」
???「えぇ、約束しましょう その為に脱獄させてあげたのですから」
ガラの悪い男「で? 何をしたらいいって?」
???「簡単な事ですよ」
???「あなた方は以前のような行いをするだけです 少々派手に、ね」
ガラの悪い男「でもよぉ・・・ また天上のやつらが来るんじゃ?」
???「来てくれないと困るのですよ」
ガラの悪い男「は? ・・・どういう事だよ?」
???「その為に力を与えたでしょう? いいですか? 天上人が来たら・・・」
???「殺しなさい」
ガラの悪い男「・・・」
???「難しいのなら諦めてよいですよ ふふふ・・・」
ガラの悪い男「馬鹿にすんじゃねぇ!! やってやらぁ」
???「・・・期待はしていませんがね」
???「注意をあちらに向けてくれればよし 神獣も釣れたら御の字・・・」
???「さて、 その間に準備をしておきましょうか」
???「あの撒き餌が役に立つといいですがねぇ ふふ・・・」

〇黒背景

〇雪山
  さむいよぅ
  さむいよぅ・・・
  おなかすいたよ・・・
  おかぁさんどこにいるの・・・
  おなか・・・すいた・・・
  ・・・

〇畳敷きの大広間
  ・・・
キツネ「・・・ふぅ」
キツネ「最近平和過ぎて腕が鈍ってるなぁ」
キツネ「もっと鍛錬しないと いつまた有事が起こるか分からないからな」
キツネ「昔はカラスもまだまともだったのになぁ ・・・どうしてあんな怠け者になったんだか」
キツネ「いかんいかん 鍛錬に集中しよう」
キツネ「・・・ん? 誰か来たのか」
カラス「キツネぇ! こいつなんとかしてくれよぅ」
キツネ「あっ」
カラス「うぉ!?」
カラス「あっぶねーな 刃物を振り回すなよ」
キツネ「鍛錬中なのに勝手に入って来るからだ まったく・・・」
カラス「おぅ・・・ 悪かったって だから刀を向けるのやめようぜ、な?」
キツネ「・・・で、何の用だ?」
黒虎「ガウゥ」
カラス「こいつをなんとかしてくれ 俺の頭に齧り付いたまま離れねぇ このままじゃ禿げちまう」
キツネ「・・・」
キツネ「黒虎は腹が減っているのだろう お前の肉の一つや二つ喰わせてやれ」
カラス「それなら仕方ないな 俺の肉をお食べ・・・」
黒虎「・・・」
カラス「っておいぃ!! なんで俺が喰われなきゃいけないんだ」
キツネ「冗談だ まぁ腹は減っているのだろうから ボクが何か食事を作って来るよ」
カラス「ん? あいつ料理なんてできたんだっけ?」

〇モヤモヤ
  できたぞ!
  ──怪しげな物体が異臭を放っている
カラス「・・・」
黒虎「・・・」
カラス「なにコレ・・・?」
キツネ「野菜炒めだ」
カラス(野菜炒め・・・だと!? 何をどうしたらあんな禍々しい塊が出来る?)
キツネ「盛り付けも頑張ったんだぞ 可愛くハート型にしてみたり」
カラス(そういう事じゃねえ!! なんであんな塊になってんだよおぉぉ)
黒虎「ウゥ・・・」
カラス(忘れてた・・・ キツネは料理が好きと思い込んでるが)
カラス(どうみても料理じゃない やべぇ物体を作っちまうんだった)
カラス(それを自覚していないっていうのも ある意味すげぇな・・・)
黒虎「グゥ・・・ ム、リ・・・」
カラス(いや、でもさすがにこんなものを 黒虎に喰わせるのは可哀想すぎる)
カラス(それにキツネがこんな無自覚で 暗黒物質を作ってしまうのは 俺にも少し責任があるわけで・・・)
キツネ「どうした? 料理が冷めてしまうぞ?」
カラス(俺がなんとかしなければ ええい、気合いだ!!)
カラス「うおおおおぉぉ」

〇カラフルな宇宙空間
カラス「ウワァ、オイシソウ!! オレガ、ゼンブ、タベルゼ!」
カラス(なんとかなるなんとかなる材料は普通の食材だったはずきっと大丈夫多分大丈夫これは見た目だけ目を瞑って食べれば普通の野菜炒め)
カラス「イッタダキマース!!」
キツネ「おい、それは黒虎の為に作ったんだぞ!?」
カラス(俺が漢気を見せるっきゃねぇ!)
  ガリッ!!
  ゴリゴリゴリ!!
カラス「・・・」
カラス(硬い・・・鉄の味しかしねぇ 耐えてくれ俺の歯と胃袋ぉ!)
  良い子の皆様は大変危険なので
  異物を食べてはいけませんよ

〇幻想空間
カラス「うめぇなぁうめぇなぁ」
カラス(飲み込めねぇ 口の中がコレを食べ物として認識しねぇ しかし喰うしか!!)
  ボリッバリバリッ・・・!!
カラス(くっそまずい・・・)
カラス「ははは・・・ 全部喰っちまった・・・ぜ」
キツネ「どうした!? 喉でも詰まったか? 今、水を持ってくる」
カラス「キツネェ・・・ 黒虎には果物でも持ってきてくれ ぜーったい料理しないでそのままの物をだぞ」
カラス「グフゥ・・・」
  ──こうして世界の平和は守られた
  カラスは星になったのだ
  ──完──
カラス「いや、まだ終わらねぇよ!?」
カラス(走馬灯が見えそうだぜ・・・)
カラス「ゴフッ」

〇黒背景

〇L字キッチン
キツネ「カラスも腹減ってたんだなぁ」
キツネ「今度作る時は二人分作ってやるか 仕方ないなぁ」

〇黒背景

〇山道
カラス「・・・」
カラス「悪りぃな わざわざ来てもらって」
カラス「・・・大丈夫 誰にも気付かれていない」
カラス「あの話だが──」

〇黒背景

〇雲の上
???「黒虎も馴染んできたかのぅ」
???「・・・」
???「そろそろあやつが・・・」

〇黒背景

〇モヤモヤ
  契約は成された
  ただしお前は我らの世界に来てもらう
  そしてそこで新たな肉体を授けよう
  元の世界にはもう二度と戻れないがな

〇幻想空間
  カラスの胃袋ははたして無事なのか
  第五話へ続く──

次のエピソード:第五話

コメント

  • 今から天上にバケツ(もちろんエチケットタイム用)を送っておきますね

  • 料理下手はできる女の必須スキルですな

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