第七話 僕をここで…(脚本)
〇山の中
ミリオン「カリン!」
カリン「・・・・・・」
ミリオン「カリン!?」
カリン「あぁ!?」
ミリオン「何で山道に入ってから アクセル踏み込んでいるの?」
カリン「・・・・・・!?」
カリン「アンタ、分かっていて言っているの!? そんなこと!」
カリン「振り切っているんだよ!!」
ミリオン「後ろに2台!」
ミリオン「どうしてそんなに逃げるの?」
カリン「・・・・・・!?」
ミリオン「やっぱりお父さんが 関係しているの?」
カリン「・・・黙ってて!! 後で答えるから!!」
カリン「──クソッ!!」
追跡してくる車のエンジン音が
大きくなる。
距離は徐々に縮められていた。
2台のうち先頭を走る車は
おおよそ20メートル後方にいると
推定した瞬間、
振り切れない原因として──
いつもとは違い、
大きく鈍重な”荷物”を
載せていることに
カリンは気がついた。
カリン「・・・・・・!!」
ミリオン「・・・・・・」
ミリオン「カリン」
ミリオン「僕をここで降ろして」
カリン「────は?」
ミリオン「”リコール”? それもあの人たちにとって 大切な目的なら──」
カリン「そんなのダメ!!」
ミリオン「カリン?」
カリン「これ以上 あいつらの懐が潤ったら、 今度こそやりたい放題にされる!!」
カリン「何が何でも」
カリン「一体でも多く”ミリオン”を」
カリン「あいつらの手の届かない場所に 移動させなきゃ──」
カリン「え──」
カリンが運転する車の側面、
リヤフェンダーの辺りから
銃弾が跳ねる衝撃音が発せられた。
追跡してくる
民警によるものではない。
衝撃が、銃声よりも先に来た──。
順序が逆になった奇妙とも思える現象と、
これまで聞いたことも感じたこともない
車体への強力な一撃。
カリンは思わず叫んだ。
カリン「スナイパー!!」
〇黒背景
「──そうだ」
「そのまま走れ・・・」