ロボットは星空なんか見上げない

アボカド

第八話 そういう奴ら(脚本)

ロボットは星空なんか見上げない

アボカド

今すぐ読む

ロボットは星空なんか見上げない
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇草原
ミリオン「わっ・・・」
ミリオン「う、撃たれちゃってる・・・」
カリン「動くな!! 身体を横にして隠れていろ!!」
カリン「狙撃銃じゃない・・・!」
カリン(M4の射程は500メートル程度のはず──)
カリン「クッソ・・・!!」
カリン(何処から狙っている!?)
カリン(どうして 急に撃つ気になったんだ!?)

〇草原
ススキ「ここだよ、カリン・・・」

〇草原
カリン「タイヤが──」
カリン「・・・・・・!!」
カリン「走るよ!!」
ミリオン「えっ!?」
ミリオン「いや、僕をここに置いて行って! 林まで走って──」
カリン「いいから・・・!! こっちに来い!!」
ミリオン「カリン!?」

〇草原
ススキ「・・・抱えて走るつもりか!?」
ススキ「追跡班、撃て。 当てるんじゃないぞ」
  了解

〇草原
カリン「重・・・たいっんだよ あんた!」
ミリオン「カリン! なんか──」
ミリオン「なんか、おかしいよ?」
ミリオン「あの人たち、 カリンを狙わずに わざと外して──」
カリン「アンタに 当たらないようにしてんだよ!! 間違えて価値を下げないため!!」
カリン「ああ、クッソ・・・!」
カリン「早く・・・」
カリン「早く、茂みに隠れて・・・!」

〇草原
ススキ「そうだ、その先だ」
ススキ「お前はもう、 その先の森林に隠れるしかないだろ」
ススキ「隠れても 見つけ出して そして追いかけまわして──」
ススキ「いつしか俺たちが ”救い”に見えるほど 消耗すればいい」
ギクマ「・・・・・・」
ギクマ「これ、ねえちゃんが考えたの・・・?」
ススキ「フフッ・・・」
ススキ「ああ、そうだよ」
ススキ「報いを受ければいい、 ”移住くずれ”」
ススキ「食い物も車も投げ出して──」
ススキ「その”毛もくじゃら”も プライドも捨て置けばいい」
ギクマ「いや、報いって・・・」
ススキ「・・・・・・」
ギクマ「ご・・・ ゴメン・・・」
ススキ「カリンから目を離すな」
ギクマ「はいっ!!」
ススキ「ススキだ、もういい。 進行先に配備していた 見張りも集めて包囲を始めろ」
  了解!!
  おい、発砲止め!!

〇草原
カリン(止んだ──)
ミリオン「アレ? 撃ってこない・・・」
カリン「今の・・・うちに!!」
ミリオン「カリン」
ミリオン「どうしてそんなに僕を──」
ミリオン「僕一人をスクラップにしても 割に合わないよ!」
カリン「何を言って──」
ミリオン「もうはっきりしたよ!」
ミリオン「これから逃げたとしても あの人たちはカリンを撃たない。 無線でもそう命令していた!」
カリン「あんた、無線の傍受まで出来るの!? 何でそれを早く──」
ミリオン「カリンが今無事なのは 僕がそばにいることが理由だと 確かに考えられるけど・・・」
ミリオン「このままじゃ 森に追いつめられただけで、 何も変わらない」
ミリオン「カリン、よく聞いて」
カリン「・・・・・・」
ミリオン「あの人たちは、 カリンに投降して欲しいんだ。 あわよくば僕も回収したがっている」
カリン「・・・・・・!!」
ミリオン「・・・・・・」
ミリオン「・・・えっと」
ミリオン「もうネタ切れ・・・」
ミリオン「どうして今は 追いかけてくるだけなのか 分かんない・・・ けど女の人が向こうの茂みで──」
カリン「・・・・・・」
カリン「そういう奴ら・・・」
ミリオン「え?」
カリン「面子だとか・・・ 威厳を保つためだとか・・・」
カリン「それが未だ・・・」
カリン「未だこんな世の中で 通じると勘違いしている人たち」
ミリオン「・・・・・・」
カリン「もう、それしかないんだよ・・・」
カリン「私がこうするしかないみたいに・・・」
カリン「それでも あいつらは絶対に許せないから──」
カリン「大人しくなんてしてられない・・・!!」

〇草原
ススキ「・・・・・・?」
ススキ「奥に逃げない・・・ 何を話しているんだ?」
ススキ「・・・・・・」
ギクマ「あー、ねえちゃん・・・ もうすぐ見張りやってくれたみんなが 指定の待機場所に到着するって」
ギクマ「包囲網もそれっぽくなったことだし、 そろそも追跡を 初めても良いんじゃ──」
ススキ「・・・・・・」
ススキ「・・・そのまえに」
ギクマ「ね、ねえちゃん・・・?」
ススキ「あのままじゃ 簡単には投降してこない。 相変わらず反抗心に満ち満ちている」
ススキ「それをちょっと”間引く”・・・」
ギクマ「・・・・・・は?」
ススキ「・・・・・・」
ギクマ「ねえちゃん・・・!! それ、それマズいって!!」
ススキ「今は話しかけんな」
ススキ「価値をそれなりに下げれば カリンもあいつを諦めるだろ・・・?」
ギクマ「”ミリオン”狙っているのかよ!? ダメだってば!!」
ススキ「・・・・・・」
ススキ「濡れて綺麗な毛並み・・・」
ススキ「フフッ・・・」
ススキ「狩りに繰り出したみたいだ・・・」
ススキ「狙っているのはガラクタなのに・・・」
ギクマ「・・・・・・」
ギクマ「ねえちゃん・・・!!」

〇草原

〇草原
ススキ「・・・・・・」
ススキ「・・・・・・」
ススキ「・・・・・・?」
ススキ「おい・・・」
ギクマ「・・・・・・え」
ギクマ「ゴ、ゴメン・・・! なんかやっちゃった・・・!?」
ススキ「・・・・・・」
ススキ「・・・・・・!!」
ススキ「当たる!!」
ギクマ「へ──」
ススキ「伏せろ──」

〇草原
カリン「キャッ──!!」
カリン「な・・・」
カリン「なにこれ・・・」

〇草原
「うっ・・・・・・」
ギクマ「・・・・・・!?」
ギクマ「何だ、これ・・・」
ギクマ「一体何が起こって──」
「う・・・・・・」
ギクマ「・・・・・・ね」
ギクマ「ねえちゃん・・・!!」
ギクマ「ねえちゃん!!  大丈夫か!?」
ススキ「・・・・・・」
ギクマ「こちら、ギグマ!! ふ、負傷している!! ねえちゃんが──」
ギクマ「ああっ!!」
ギクマ「ね、ねえちゃん!! 移動するよ、ね!? 大丈夫だから!!」

〇草原
カリン「・・・・・・!!」
カリン(耳が・・・・・・!!)
カリン「い、いくよ!! 聴こえてる!? 逃げるよ!!」
ミリオン「・・・・・・」
カリン「ほ、本当に動けないの!? ねぇ、何か合図でもして!!」
ミリオン「・・・・・・」
ミリオン「同じだ」
ミリオン「これも──」
ミリオン「あれも──」
ミリオン「当てるつもりなんてないんだ」

〇黒背景

次のエピソード:第九話 一本取れよ

ページTOPへ