父と母(脚本)
〇森の中の小屋
アイン・イヨ・リトナ「──これをヴォルムに?」
おじいちゃん「そうじゃ、そこに婆さんがいる」
アイン・イヨ・リトナ「お、婆ちゃんが!? どうして・・・」
おじいちゃん「それを渡して・・・知りたいことは、進めば聞こえてくるさ・・・」
アイン・イヨ・リトナ「おじいちゃん・・・」
アイン・イヨ・リトナ「うん、そうする、冒険なんてそっちのほうがワクワクするから」
おじいちゃん「・・・リトナ」
〇西洋の市場
アイン・イヨ・リトナ(遂に来ましたよおじいちゃん)
アイン・イヨ・リトナ(おばあちゃんとはホント、だいぶ前に会って以来まさかヴォルムに住んでるなんて)
気持ちを落ち着かせ戸を開けた。
お婆ちゃん「今日はもう終わりですよ」
お婆ちゃん「リトナ!」
アイン・イヨ・リトナ「お久しぶり、お婆ちゃん!」
お婆ちゃん「ひーさーしーぶり〜」
そこにはエプロンをしたおばさんがいた。目は何となくリトナに似ているとシルビアは思いながら挨拶する。
シルビア・ヤン・オードリー「こんばんは」
お婆ちゃん「こんばんは〜」
お婆ちゃん「あら、お友だちかしら?」
アイン・イヨ・リトナ「はいっ!」
シルビア・ヤン・オードリー「ちょっ・・・ま、まあいいか」
お婆ちゃん「うふふ、いい仲のようね」
お婆ちゃん「それでどうしてここに・・・」
リトナが袋から出した赤い玉をお婆ちゃんは見て口を手で抑えるも声はなく、目を閉じる。
お婆ちゃん「・・・・・・」
お婆ちゃん「そう、もうそんな年になったのね・・・・・・」
〇可愛らしいホテルの一室
ウカ・デルマ・ネール「むにゃむにゃ・・・」
一日運転手だったウカは疲れを癒やすように熟睡していた。
ウカ・デルマ・ネール「シクッ、シクッ・・・さかな飽きた〜」
ウカ・デルマ・ネール「エヘヘへ〜、おどーさん・・・」
ウカ・デルマ・ネール「むにゃ、お肉だ~」
ウカ・デルマ・ネール「・・・・・・」
突然スッと起き出し部屋を出ていった。
〇海沿いの街
スーペル(そういえば)
スーペル(獣をを宿すものがこっちに向かっていたはず)
スーペル(見ておいても損はないな。連絡はその後でもいい)
ウカ・デルマ・ネール(・・・感じる)
そのとき偶然ウカとすれ違う・・・
ウカ・デルマ・ネール「・・・・・・」
ウカ・デルマ・ネール(あの店か)
〇大衆居酒屋(物無し)
お婆ちゃん「あらためて見ると、大きくなったわねリトナ」
アイン・イヨ・リトナ「おばあちゃんと、この前に出会ったのはいつだったかなあ」
お婆ちゃん「3年前くらいかしらね」
アイン・イヨ・リトナ(お婆ちゃん、悲しそうな目?)
お婆ちゃん「・・・お母さんに、そっくり」
アイン・イヨ・リトナ「おかあ、さん・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・・・・」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん・・・」
お婆ちゃん「気遣ってくれたのね」
アイン・イヨ・リトナ(ありがとうございます)
お婆ちゃん「気をきかす、優しいお友だちじゃない」
アイン・イヨ・リトナ「時に厳しくもあり、優しい、始めての友だちですから」
お婆ちゃん「そう!」
アイン・イヨ・リトナ「おばあちゃん、お母さんの、こと・・・」
お婆ちゃん「ええ」
お婆ちゃん「あなたはちゃんと、自分の力でここまで来る程に成長した」
お婆ちゃん「だから今こそ」
お婆ちゃん「話さなければならない事を伝える」
〇西洋の市場
シルビア・ヤン・オードリー(お母さん、か・・・)
シルビア・ヤン・オードリー(大丈夫よ・・・)
シルビア・ヤン・オードリー(もうちょっとだけ、待っててね)
シルビア・ヤン・オードリー「誰っ!」
シルビア・ヤン・オードリー(まさか街で魔物!?)
シルビア・ヤン・オードリー「ウカ!?」
ウカ・デルマ・ネール「シルビアさん・・・」
〇大衆居酒屋(物無し)
リトナは椅子に座った。
お婆ちゃん「私の娘でありリトナのお母さんはね」
お婆ちゃん「格闘家だった」
アイン・イヨ・リトナ「え、格闘家!?」
お婆ちゃん「よく、冒険に出たいと言ってて私が『凶悪な魔物がいるのよ!』と注意したら」
お婆ちゃん「『強くなればいいじゃん』って言って格闘術を学んだのよ」
〇山並み
元気でいつも前向きな、ポニーテールのユイル。
〇大衆居酒屋(物無し)
アイン・イヨ・リトナ「ユイル・・・」
アイン・イヨ・リトナ「それが、お母さんの名前・・・」
お婆ちゃん「ええ、そして18になって家を飛び出たわ」
お婆ちゃん「ユイルは世界中を5年かけ周った」
アイン・イヨ・リトナ「へぇ〜」
お婆ちゃん「その5年目に」
アイン・イヨ・リトナ「なになに!?」
お婆ちゃん「ふふ、落ち着いて」
初めての母の話に内心ウキウキして次の言葉が気になってしょうがなかった。
お婆ちゃん「とある戦いで、ユイルは運命の人に出会った」
アイン・イヨ・リトナ「えー・・・おとう、さんーっ!」
お婆ちゃん「しーっ、そうよ、でもその時は敵同士」
アイン・イヨ・リトナ「てき?」
〇裁きの門
アイン・イヨ・ユイル「はああぁぁぁっ!」
アイン・イヨ・ユイル「張り合いがないわよ!」
ユイルが魔物倒したが、
「キャァッ!」
〇炎
ユイルの戦っていた相手はのちの運命の相手。その時リトナの父はユイルを追い詰めた。
アイン・イヨ・ユイル(今のあたしじゃコイツには勝てない・・・)
アイン・イヨ・ユイル「フフ・・・たまらないわ」
リトナのイメージ「!?」
アイン・イヨ・ユイル「また、あたしは挑戦するっ!」
〇大衆居酒屋(物無し)
お婆ちゃん「でも、ユイルは『また挑戦する』と言ってあなたのお父さんに何度も挑んだ」
アイン・イヨ・リトナ(はぁ〜、お父さん・・・きっと筋肉がムキムキで大きかったんでしょうね〜)
お婆ちゃん「そして遂にお父さんを倒したユイルを認めて、彼女に興味を持った」
お婆ちゃん「リトナ?」
アイン・イヨ・リトナ「はぁ〜、お父さん〜」
お婆ちゃん(どんな妄想してるのかしらこの子)
アイン・イヨ・リトナ「それでお父さんと、お母さんは・・・結ばれた・・・」
お婆ちゃん「うんっ、そうよ」
初めて聞いた父と母の馴れ初めに、自分の事のように少し恥ずかしくも嬉しかった。
アイン・イヨ・リトナ「お父さん、ユイルお母さん・・・」
アイン・イヨ・リトナ「あれ、そうだおばあちゃん、お父さんの名前は?」
お婆ちゃん「ごめんなさい、おばあちゃんが言えるのはここまで」
そう言ったあと引き出しから小さな金庫を出し、その中の物をリトナに手渡した。
お婆ちゃん「はい」
アイン・イヨ・リトナ「これって、カギ・・・」
お婆ちゃん「リトナ、今度はファンバオムに向かって」
アイン・イヨ・リトナ(シルビアさんの故郷)
お婆ちゃん「そこに二人のお墓があるの」
アイン・イヨ・リトナ「お墓・・・」
お婆ちゃん「ごめんね、回りくどい様な事をして、でもこれはあなたの・・・」
お婆ちゃん「リトナ」
眉尻が下がっていた。
アイン・イヨ・リトナ「やっぱり、お父さんお母さんは亡くなってるんですね」
お婆ちゃん「・・・ええ」
アイン・イヨ・リトナ「それは、そうですよねハハハッ・・・」
お婆ちゃん(ごめんね、リトナ)
話を聞いているうちに生きているようだと勝手に期待してしまった事で、少し落ち込んでしまった。
〇西洋の市場
──外のシルビアを呼びに行こうとドアを開く。
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん」
シルビア・ヤン・オードリー「終わったのね」
アイン・イヨ・リトナ「聞こえてましたか?」
シルビア・ヤン・オードリー「・・・ちょっとだけ」
シルビア・ヤン・オードリー「この子と一緒にね」
ウカ・デルマ・ネール「あ、ははっ」
アイン・イヨ・リトナ「ウカさん、疲れは大丈夫なんですか?」
シルビア・ヤン・オードリー「気がついたらここに居たんだって」
アイン・イヨ・リトナ「そうなんですか?」
ウカ・デルマ・ネール「はい〜・・・はぁ〜」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさんあの・・・」
シルビア・ヤン・オードリー「今日は、あたしとウカは宿に戻るからあんたはお婆さん所で一泊しなさい」
アイン・イヨ・リトナ「え?」
シルビア・ヤン・オードリー「じゃあ、行くわよウカ」
ウカ・デルマ・ネール「え・・・はい!」
アイン・イヨ・リトナ(何度も気遣いありがとうございます、シルビアさん)
シルビアの後ろ姿にお辞儀をしてお婆さんの家に一泊したリトナだった・・・。
〇可愛らしいホテルの一室
──翌朝。
シルビア・ヤン・オードリー「来たか」
アイン・イヨ・リトナ「おはようございます、シルビアさん、ウカさん」
ウカ・デルマ・ネール「おはようございます」
シルビア・ヤン・オードリー「ちゃんとお別れはしたの?」
アイン・イヨ・リトナ「はい、また泊まりに来てねと」
シルビア・ヤン・オードリー「そっ」
ウカ・デルマ・ネール「よかったですねリトナさん」
アイン・イヨ・リトナ「はい」
シルビア・ヤン・オードリー「今日の目的だけど」
シルビア・ヤン・オードリー「ヴォルムを出てまずモフ村でイザークが居ないか確認、その後はここから北にまっすぐ行ってツァールトに向かう、わかった?」
「はい!」
〇海沿いの街
目的も決めて足早にヴォルムを去ろうとしたら野次馬が。
シルビア・ヤン・オードリー「なによこれ」
ウカ・デルマ・ネール「野次馬で入口が塞がれましたが」
人々「餌の高騰化をやめさせろぉーっ、餌の高騰化をやめさせろぉぉーっ!」
ウカ・デルマ・ネール「これって・・・」
アイン・イヨ・リトナ「どうやらモイスと同じような悩みのようですね」
シルビア・ヤン・オードリー「ちょっと、そこ通りたいからどいてよ!」
人々「なんだ、お前までファンバオムの味方をするのかっ!」
シルビア・ヤン・オードリー「はっ?」
シルビア・ヤン・オードリー「痛っ!」
アイン・イヨ・リトナ「シルビアさん」
シルビア・ヤン・オードリー「この!」
???「やめたまえ」
シルビア・ヤン・オードリー「ん・・・この声」
スーペル「久しぶりだなシルビア」
シルビア・ヤン・オードリー「あんたは・・・スーペル」
デモにより塞がれ困ったなか出会ったのは青髪の青年スーペルだった・・・。