とある王国の異世界冒険者問題

ぽんたろう

第4話『いろいろと残念な奴ら』(脚本)

とある王国の異世界冒険者問題

ぽんたろう

今すぐ読む

とある王国の異世界冒険者問題
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇魔界
エスティーナ「どうやら作戦は上手くいってるようね」
家来「ええ」
エスティーナ「女性経験のない男どもの扱いなんて簡単だわ」
エスティーナ「特に昨日のオタクどもの痛い行動は 共感性羞恥を覚えるぐらい 見てる方がきつかったけど」
家来「その通りです」
家来「次はオタクどもも我先にと キモい行動を積極的に取るはずです」
エスティーナ「やつら中途半端に プライドと自信があるはずだからね」
エスティーナ「仲間割れは見ものになるわね」

〇貴族の部屋
伊藤「あのこと言っていいのかな」
伊藤「誰に相談すればいいんだろ」

〇地下室
岩本「昨日は残念な結果となってしまった」
岩本「だが、まだこれからだ」
いのうえ「でも、まだチャンスは残されてる」
北川「つまり?」
「早い者勝ち!」

〇おしゃれな食堂
伊藤「・・・・・・」
シャルティア「イトーちゃん元気ないけど考え事?」
伊藤「あ、いえ」
シャルティア「何かあったらすぐに相談してね」
伊藤「はい」
シャルティア「今日のイトーちゃん、何か変だな」
シャルティア「・・・・・・」
シャルティア「もしかして?」

〇華やかな広場
伊藤「はあぁ」
伊藤「変わるって決めたはずだったんだけどな」
村田「あ、ここここんにちは」
伊藤「あ、、、こ、ん、に、ちは」
村田「ね、ねねねねえ、 すすすす好きなアアアにゅメってある?」
村田「なんで?」

〇大樹の下
伊藤「はあはあ」
伊藤「思わず逃げてきちゃった」
伊藤「せっかく話しかけてくれたのに」
伊藤「ボール?」
北川「やっべ!ボールがこっちまで」
北川「ごめんごめん!拾ってくれてありがとう!」
伊藤「ひいいい!」
北川「あれーー?」

〇建物の裏手
伊藤「はあはあ」
伊藤「やけに人に出くわす」
いのうえ「あ、伊藤さんじゃん 偶然だね」
伊藤(ホントに偶然?)
いのうえ「困ってることがあったら 何でも相談してね」
いのうえ「俺は伊藤さんの味方だからさ」
伊藤「おえっ!」
いのうえ「今、えずいた?」

〇草原の道
伊藤「村の入り口まで来てしまった」
伊藤「何でやけにみんな話しかけて来るの」
岩本「伊藤さん、大丈夫かい?」
伊藤「あ、いや、その」
岩本「こんなところ来たら危ないよ」
岩本「でも、良かった」
岩本「僕が部屋まで送っていってあげるよ」
伊藤「あ、いや、その」
岩本「逃げた」
岩本「じゃなくて、伊藤さん、そっちは!」

〇英国風の部屋
シャルティア「ねえ、ユーリお願いがあるの」
ユーリ「どうした?」
シャルティア「えっとね、真面目な話だからね」
ユーリ「あ、ああ」

〇市場
シャルティア「えっと、イトーちゃんどこだろ?」
「シャルさん大変です!」
シャルティア「どうかしたの?イワモト君」
岩本「伊藤さんが村の外へ行っちゃいました!」
シャルティア「それは不味い!」
シャルティア「この世界に来たばかりの 女の子1人でモンスターなんかに 遭遇したら大変!」
シャルティア「急いで行くわ!」
「俺も行くぞ!」
岩本「あっ!?ユーリさん?」

〇原っぱ
伊藤 「やばい、思わずこんなところまで 逃げてきちゃった」
伊藤 「みんな、私に話しかけてくれたのに」
伊藤 「せっかくのチャンスだったのに」
伊藤 「私が、、、」
モンスター「ぐぎゃああ」
伊藤 「あれってモンスター!?」
伊藤 「そうだ、私は異世界にいるんだった」
伊藤 「やばい、どうしよう」
伊藤 「逃げるしかないよね」
伊藤 「痛っ、、、足首痛めちゃったみたい」
伊藤 「それに怖くて動けない」
モンスター「ぐぎゃぁぁ」
「ちょっと、待った!」
伊藤 「だれ?」
ユーリ「伊藤さん、待たせたね!」
伊藤 「だ、だれ?」
ユーリ「ちょっと待っててくれ」
ユーリ「モンスターよ!成敗!」
モンスター「ぎゃあああ!」
ユーリ「楽勝だったぜ」
ユーリ「伊藤さん、怪我はない?」
伊藤 「は、はい、ちょっとしたかすり傷ぐらいです」
伊藤 「あ、ありがとうございます」
伊藤 (誰だろ?)
シャルティア「良かった!間に合って!」
シャルティア「さすが、ユーリ!」
伊藤 「えっ!?ユーリさん!?」
ユーリ「まあな」
シャルティア「それより、早く治療したいから村に戻ろう!」
伊藤 「はい」

〇市場
ユーリ「お前らな!相手の嫌がることはするなよ」
「すみません」
「反省してます」
ユーリ「ったく、しょうがねえ連中だな」

〇貴族の部屋
シャルティア「これで大丈夫」
伊藤「すごい、全然痛くない!」
シャルティア「へへへ、回復魔法得意なんだ」
伊藤「あ、ありがとうございます」
シャルティア「どういたしまして」
伊藤「あ、あの聞きたいんですけど」
伊藤「どうして、ユーリさんは あの格好をしていたんですか?」
シャルティア「だって、イトーちゃん 男子が苦手なんだよね?」
伊藤「気づいてたんですか?」
シャルティア「何となくね」
伊藤「すごい」
シャルティア「だから、あの格好なら 男子相手の練習になるかなって思ったの」
伊藤「そうだったんですか」
伊藤「あの」
シャルティア「なに?」
伊藤「ユーリさんに またお礼をさせてください」
シャルティア「うん」
伊藤「あとみなさんにも事情を話します」

〇市場
ユーリ「お前ら罰として三日三晩徹夜で 新作のマンガを作ること」
岩本「鬼すぎる」
北川「殺す気ですか?」
ユーリ「あとさ」
「??」
ユーリ「お前ら本当に 女子への接し方が下手だよな」
ユーリ「どうして、キモい行動を わざわざ選択できるんだよ」
「ひどい」
伊藤「あ、あの!」
ユーリ「伊藤さん、もう大丈夫なのか?」
伊藤「は、はい」
伊藤「おかげさまで」
伊藤「先ほどは助けていただき 本当にありがとうございました!」
ユーリ「元はと言えば、うちのクズどものせいだしな」

〇市場
  ↑ クズ     ↑クズ     ↑クズ
「・・・・・・」
(否定できない)

〇市場
伊藤「せっかくなので、伝えさせてください」
伊藤「私、男の人が苦手なんです」
ユーリ「やっぱり、そうだったのか」
伊藤「小学生の時に男子にからかわれたり いじめられたりして、苦手になったんです」
ユーリ「こいつらの行動も大変だったろ?」
伊藤「わざとらしくボールが飛んできた時は おぞけが全身に走りました」
北川「ひいい」
伊藤「相談乗るよとか言われた時には 気持ち悪くなって 朝食を戻しそうになりました」
いのうえ「ぐほ」
伊藤「まったく何言ってるのか分からなくて 怖かったです」
村田「うわ──」
伊藤「部屋まで送るって言われた時には 身の危険を感じました」
「そ、そんなぁ」
ユーリ「いやー、なかなかの完膚なきまでの ハードパンチ」
ユーリ「まあ、犯罪者予備軍には これぐらいじゃないとな」
ユーリ「悪かったね、伊藤さん」
ユーリ「こいつらも悪気があって やったわけじゃないんだ」
ユーリ「ただの恋愛音痴すぎて痛いだけなんだ」
ユーリ「許さなくて全然良いし 一生軽蔑してくれても全然構わないよ」
伊藤「わかりました」
伊藤「でも、みなさん、悪い人じゃないって 分かってます」
ユーリ「ありがとう、伊藤さんは優しいな」
伊藤「あ、いえ」
伊藤「で、でも、これからは 苦手を克服して皆さんと仲良くなるために 頑張っていきたいのは変わりませんから!」
ユーリ「その意気だよ!」
ユーリ「俺もこの格好で良ければ 全力で応援するからさ!」
伊藤「お、お姉様」
ユーリ「おねえさま!?」
伊藤「今日から『お姉様』と呼ばせてください」
ユーリ「何でだよ!俺、男だぞ?」
伊藤「構いません、素敵ですお姉様!」
伊藤「俺って言うあたりも 男らしくて好きです」
ユーリ「いや、男なんだけど」
シャルティア「凄い!ユーリは人気者だ!」
ユーリ「シャル!」

〇市場
岩本「良い話だなぁ」
いのうえ「ええ、さすがユーリちゃん」
北川「俺たちは本当に何て低レベルで 低俗なことをしていたんだろう」
岩本「これからは悔い改めよう」
「そして、新たなカップリングが誕生した」
岩本「これで一件落着」
北川「誰もこのカップリングを侵害してはいけない」
いのうえ「我々は暖かく2人を見守りましょう」

〇兵舎
山田「新たな百合カップルが誕生した予感が!」
山田「創作が捗る!」

〇魔界
「何でだよ!」

次のエピソード:第5話『誰だよ、お前』

コメント

  • みんな大好きユーリちゃん、さすがですね🥰
    そして、登場人物たちのコミュ力が底辺すぎて……涙と笑いと共感性羞恥でいっぱいになります😂 それにしても、このコミュ障さんたちの転移元のニホンって国の人間って、一体どんな生態をしているのか凄く気になります😊

成分キーワード

ページTOPへ