とある王国の異世界冒険者問題

ぽんたろう

第2話『始まらないはじまりの村』(脚本)

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〇コミケの展示スペース
シャルティア「ここは即売会会場だよ」
伊藤「即売会会場!?」
伊藤「まるで日本じゃないですか!」
シャルティア「みんなが同人誌作って売りたいとかで 建てたんだよ」
伊藤「何者なの?」
ユーリ「シャル、おはよう!」
ユーリ「そっちの子が新しい異世界人か」
伊藤「お、男の人!?」
ユーリ「私の名前は”ユーリ” グレーシア王国で騎士をやっている」
ユーリ「よろしく頼む!」
伊藤「しかも、イケメン」
伊藤「あ、はい」
伊藤「あ、イトーっていいます」
伊藤「あ、よ、よろしくおねぎゃいします」
シャルティア(おねぎゃい?)
ユーリ「ここを案内していたのか」
シャルティア「町中、案内してるよ」
ユーリ「何もない村だけど、くつろいでくれ」
伊藤「あ、はい!」
ユーリ「あいつらに比べたら 翌日から外に出るなんて感心だ」
伊藤(どんな人たちなんだろ)
ユーリ「俺は執務室に戻るから ゆっくりしてくれ」
伊藤「あ、ありがとうございます」

〇英国風の部屋
ユーリ「さーて、他の都市から マンガの発注以来があったな」
ユーリ「増刷させるために あいつらを三日三晩睡眠なしで働かせよ」
ユーリ「どうぞ」
ユーリ「なんだ、お前らか」
ユーリ「用がないならさっさと帰れよ」
「お邪魔しました!」
「じゃなくて!」
北川「まだ何も話してませんよ!」
いのうえ「そうですよ! 芸人みたいな扱いやめてくださいよ」
ユーリ「お前らが俺の部屋に自ら来ると ろくなことがないって俺は決めてるんだよ」
いのうえ「何で勝手に決めてるんですか!」
ユーリ「俺は忙しいんだよ」
ユーリ「要件があるなら6文字で頼む」
北川「ひでえ」
ユーリ「あと3文字」
いのうえ「おんな」
ユーリ「”おんな”?」
ユーリ「何キモいことを言ってんだ?」
ユーリ「意味わかんない事言ってないで さっさと帰れよ」
北川「不条理すぎる」
いのうえ「話を聞いてくださいよ!」
ユーリ「どうせ、あれだろ?」
ユーリ「虫を拾い食いしてしまう癖を 直したいとかそんな相談だろ?」
いのうえ「そんな癖ありませんよ!」
ユーリ「もう直らねえよ」
北川「そんなことしませんよ!」
ユーリ「じゃあ、何だよ?」
「女の子と仲良くなりたい!」
ユーリ「やっぱり、ろくでもないことだった」

〇貴族の部屋
シャルティア「この村の人たちと親睦会を 開こうと思うんだけどどうかな?」
伊藤「し、親睦会!?」
シャルティア「せっかくだから、仲良くしたいって 村の人たちからの提案なんだよ」
シャルティア「最初にいた村ではこんなことなかったのに すごい進歩だよね」
伊藤「あ、はい」
伊藤「ご提案は凄く嬉しいんですけど 私、人見知りなんです」
シャルティア「そっか」
シャルティア「ごめんね、気が利かなくて」
伊藤「い、いえ」
シャルティア「どうしよっか」
伊藤「近い距離じゃなければいいんですけど」
シャルティア「近い距離か」

〇留置所
シャルティア「これならどう?」
伊藤「程よい距離感!」
伊藤「こ、これなら大丈夫かもしれません」
シャルティア「良かった!」

〇刑務所の牢屋
「・・・・・・」
岩本「なんで?」
「俺らは犯罪者かい!」

〇留置所
シャルティア「3人とも何か質問ある?」

〇刑務所の牢屋
岩本「なんで、監獄なんですか?」
いのうえ「これ、犯罪者用のやつですよね?」

〇留置所
シャルティア「いや、なんて言うか」
ユーリ「いきなり話すにはハードル高いだろうが!」
ユーリ「金網越しが丁度いいんだよ!」
伊藤(すごい、物怖じしてない)

〇刑務所の牢屋
いのうえ「せめて、場所を 変えてもらえないでしょうか?」

〇原っぱ
北川「確かに場所を変えろとは言ったけど・・・」
いのうえ「まさか、外とは」
北川「向こうと50メートルぐらい離れてますよ」

〇草原の道
伊藤(今度は遠くない?)
ユーリ「お前ら!久しぶりの外の空気はどうだ!?」

〇原っぱ
岩本「だから、僕らは犯罪者かい」
北川「村の敷地から出たのは久しぶりですけど」
いのうえ「塀の外の空気は美味しいです!」
岩本「いのうえ氏ノリノリだね」
いのうえ「なんか思わず」

〇草原の道
ユーリ「良かったな、空気が美味いってよ」
シャルティア「久しぶりに日光を 浴びれたみたいで良かった」
伊藤(元々ここに何しにきたんだっけ?)

〇城の会議室
ユーリ「お前らの希望通り 屋内で距離も近い場所用意したぞ」
シャルティア「会議室がちょうどいいよね」
伊藤(ユーリさんって、もしかして天然?)

〇城の会議室
「・・・・・・」

〇城の会議室
ユーリ「なぜ、黙る」
伊藤「・・・・・・」
シャルティア「し、親睦会だよね?」
ユーリ「お前らが親睦会したいと言ったんだよな?」

〇城の会議室
「・・・・・・」
北川(実際セッティングを 頼んでみたものの何を話せばいいんだ)
いのうえ(シャルさん以外の女の子と 話しことなんてほとんどない)
岩本(コンビニの店員さん以外 ろくに話し方がないからどうすれば)

〇城の会議室
シャルティア「イトーちゃん?」
伊藤(親睦会なのに何を話せばいいんだろ)
伊藤(私、中高で女子校だったし)
シャルティア「この空気何なんだろ?」
ユーリ「お前ら、何か喋れよ」

〇城の会議室
「・・・・・・」

〇城の会議室
シャルティア「これはダメだね」

〇貴族の部屋
シャルティア「今日はごめんね」
シャルティア「みんな調子悪かったみたい」
伊藤「いえ、こちらこそ まったく会話出来なくてすみませんでした」
シャルティア「いつもはもっと話してくれるんだけどね」
伊藤「あ、はい」
伊藤「でも、あの人たちの気持ち分かります」
伊藤「私も人のことが 得意なタイプではないですからね」
伊藤「自発的になんて喋れません」
シャルティア「そっか、今度から少しずつ親交は深めようか」
伊藤「はい」
伊藤(シャルさんってホント素敵だな)
伊藤(私なんかに話しかけてくれた シャルさんみたいになりたいな)

〇地下室
岩本「我々は肝心なことを忘れていた」
北川「確かに」
いのうえ「重大なことでしたね」
「我々はコミュ障だった!」
いのうえ「シャルさん、ユーリさんと 普段から話せているので 勘違いしていました」
北川「俺たちはコミュ障でした」
岩本「ユーリさん、シャルさんから いつも話しかけてくれてたから どうにかなっていたんだ」
いのうえ「実際女の子を前にしたら 何も話せませんでした」
北川「俺も人が大勢だと あまり喋れませんでした」
岩本「でも、イトーさん可愛かった」
「はい」
(絶対彼女にしたいな)
(早い者勝ちだ)

〇魔界
家来「どうやら、策は上手くいってるみたいです」
エスティーナ「まさにサークルクラッシャー」
エスティーナ「ひと読んで”オタサーの姫作戦”」
家来「ええ、初めての女性に 奴らは動揺しています」
エスティーナ「シャルティアのように高嶺の女より 自分たちに親近感が湧く女の方が やる気は増すみたいね」
エスティーナ「ただあいつらのコミュ障ぶりには驚いたわ」
家来「ええ、確かに そこだけが予想外でした」
エスティーナ「あれだけ女の子と仲良くなりたいとか言って まったく喋らないとかヤバすぎよ」
家来「まさか、あそこまで 酷いとは思いませんでした」
エスティーナ「でも、このままいけば 女を巡って亀裂が入るはず」
家来「その通りです このままいけば、あの村は 内部より分裂し滅びます!」

次のエピソード:第3話『お前ら普通にしろよ』

コメント

  • オタサーの姫作戦……😂
    コミュ障の描写が本当に絶妙で…そこに金網越しなどの要素が加わり……おなかいたい🤣🤣
    『始まらないはじまりの村』というエピソードタイトルも絶妙ですね😊

  • サクサク読めて楽しいですね!!
    異世界転生してもオタクのマンガ村な感じでww
    どこに行ってもコミュ障の悩みは同じなのですかね・・・
    そして男の願望は同じなんだな~楽しかったです。また読みに来たいですね(^O^)

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