ロボットは星空なんか見上げない

アボカド

第六話 若旦那(脚本)

ロボットは星空なんか見上げない

アボカド

今すぐ読む

ロボットは星空なんか見上げない
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒背景
デルフ「・・・・・・」
  停止したエールを担ぎ、
  雨の中を緩歩するデルフ。
  雨脚は激しくなる一方だが
  悠然として、
  急ぎ足にならずにいた。
筋骨隆々な男「・・・・・・」
デルフ「よう」
筋骨隆々な男「・・・・・・」
  男は間髪を入れず
  エールに手を伸ばす。
デルフ「おいおい──」
筋骨隆々な男「・・・・・・」
  腰帯を持ち手に
  男はエールを片手でぶら下げて──
  扉を開けて
  視線を中へと向ける。
デルフ「・・・・・・」
デルフ「中に居るのか?」
筋骨隆々な男「・・・・・・」
デルフ「・・・・・・」

〇トラックのシート
デルフ「ハーッ・・・」
  帽子に張り付いた雨粒を掃うデルフ。
デルフ「・・・まずったか? 何か」
「警戒や後始末、断りもなしに 発砲したこと以外 特にありませんよ」
デルフ「・・・悪かった」
  隠そうともしない高圧的な態度に
  思わず眉をひそめるデルフ。
デルフ「追跡は続けているんだろ? 呼び戻した俺の代わりに・・・」
「当然です」
「根城となる場所に 向かっているかどうかはともかく あのカリンです」
「職務放棄の流れ者たちだけではなく 前署長を誘き出す 助けぐらいにはなるでしょう」
デルフ「カリンが連れていたヤツ──」
デルフ「見立てでは マスコットロボのようだが・・・」
デルフ「そっちはどうするんだ、 エールのような ボロくなったやつらを狙った ウイルスの可能性もあり得るぞ」
「現時点では、コロニーから 有害と判断されたマルウェアが 外まで伝播したという報告は 受けていません」
「感染させることで権威を奪うことが 目的だとすれば──」
「”リコール”を狙ったトラップとして 何者かが手あたり次第 放置されていたガラクタに ウイルスを忍ばせていた」
デルフ「・・・・・・」
「あくまで推測です」
「除去はサイバー課に一任して 押収品も全て検査に回しています」
デルフ「オズナ署長は手が早いな 親父さん、さすがだよ」
アザミ「私の指示です」
デルフ「おう・・・・・・」
アザミ「ご報告して頂いた カリンの態度からして こちら側に付くとは 到底思えません」
アザミ「デルフさん」
アザミ「一対一の状況に持ち込んだにも 拘わらず、前署長の居場所を 聞き出せなかったのは何故ですか?」
デルフ「・・・・・・」
アザミ「まさか──」
アザミ「停止状態にした”ミリオン”を 一体持ち帰れば帳消しなどと 慢心されているわけでは ありませんよね?」
デルフ「て・・・店主のリーシュに 尋問を聞かれるわけには いかないだろ?」
デルフ「俺たちの捜査を以ってしても ひとりの人間を 探し出せていないなんて・・・」
デルフ「ただでさえ あの海岸線は 閑散としているのに──」
デルフ「押収と言い切らなければ 俺の管轄に 誰も寄り付かなくなっちまう・・・」
アザミ「なるほど」
アザミ「我々の統制よりも 成果が戻らなくなることを 危惧した」
アザミ「今回の失態について 申し開きは未だありますか?」
デルフ「・・・・・・」
デルフ「し・・・」
デルフ「仕事に戻ってもいいか・・・?」
アザミ「前署長の捜索に 当たってください 区割りは既に実施されています」
デルフ「あの店の用心は誰が──」
アザミ「信頼を取り戻したいのなら 走り回って 民警の威厳を示してもらおう」
デルフ「・・・ッ  てめぇ・・・!」
アザミ「オズナ署長からのご指示です」
デルフ「・・・・・・!!」
デルフ「若造が・・・!!」
アザミ「「若旦那」とは 呼んで頂けないのですね」
アザミ「結構」
アザミ「媚びを売るために用意した あだ名など耳障りでしか ありませんから」
  デルフに一瞥もせず
  アザミは拳銃の手入れを始める。
デルフ「・・・・・・!!」

〇キャンプ地
デルフ「うっ・・・・・・」
  デルフに向けられる
  憐れみと憤慨が込められた視線。
デルフ「・・・・・・」
  それを遮りように
  デルフは深く帽子を被り、
  足早で歩き始める。
ギクマ「やっぱ怒られるよな デルフのおっちゃんでも」
ススキ「・・・・・・」
ギクマ「・・・ねーちゃん?」

〇トラックのシート
「失礼します」
アザミ「カリンはどうしてますか?」
ススキ「こちらの接近に気づいた模様ですが 追跡班は距離を 一定に保ち続けています」
アザミ「そうですか」
アザミ「逃げ足の速さは 父親に似なかったらしい」
アザミ「さてと・・・」
アザミ「ススキ 予測される進路の先に見張りを配備」
アザミ「方法は問いません。 明け方まで走り続けさせなさい、 消耗したところを捕えます」
ススキ「了解」
アザミ「・・・・・・」

〇キャンプ地
ススキ「行くぞ」
ギクマ「え~・・・」
ギクマ「ねえちゃん オレらの夕飯 これからだって知っているだろ・・・」
ススキ「お前も使い走りになりたいんだな デルフみたいに」
ギクマ「わ、分かったよぉ~」
ギクマ「車、使っていいんだよね・・・?」
ススキ「お前、もう帰れ」
ギクマ「冗談冗談冗談!! ゴメンゴメンゴメン・・・!」
ススキ「・・・バカじゃねーの」
ギクマ「な~んだ 一番良い奴ジャン アザミさんの・・・」
ススキ「運転しろ」
ギクマ「ういうい」

次のエピソード:第七話 僕をここで…

ページTOPへ