見えない王様の頼み事

山縣将棋

王様と弟 前編(脚本)

見えない王様の頼み事

山縣将棋

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〇華やかな裏庭
  私は誰より優れていた──

〇華やかな裏庭
ログレー「そろそろ兄上と剣の稽古がある」
リザエル「怪我しないようにして下さいね貴方」
ウェスター「パパ今度、僕も一緒に稽古させてよ!」
ログレー「もう少し成長したらな!」
ウェスター「は〜い!」
ウェスター「そういえば、パパ、地下に開かずの扉があるんだけど、何が入っているの?」
ログレー「あそこには絶対に近づくな!」
ウェスター「ご、ごめんなさい!」
ログレー「分かればいいんだ。怒鳴ってすまない」
ログレー「では、稽古に行ってくる」

〇大広間
ガノス王「・・・ルグレーよなんだその格好は」
ルグレー(青年期)「東洋の国の浴衣という物です、父上」
ガノス王「これから、剣の稽古だというのに、お前というヤツはそんな格好で、困ったもんじゃ」
ログレー「はやく始めましょう!」
ガノス王「そうじゃな・・・」
ルグレー(青年期)「負けぬぞ、ログレー!」
ログレー「全力で来て下さい兄上!」
ルグレー(青年期)「ひっ!」
ルグレー(青年期)「ひぇ!」
ルグレー(青年期)「あわわわっ!」
ガノス王「そこまで!」
ルグレー(青年期)「ログレー手加減してくれ!」
ログレー「これでは稽古になりませんし、部下に示しがつきませんぞ兄上!」
ルグレー(青年期)「その点は大丈夫!」
ガノス王「何故、大丈夫なのじゃ?」
ルグレー(青年期)「皆んなが助けてくれるからです父上!」
ガノス王「それでは、お主が下に見られるじゃろう?」
ルグレー(青年期)「心配ないです!私は彼らには家族同様、愛を持って接していますので」
ガノス王「バカモノ!そんな甘い考えでは、いつか足をすくわれるぞ!」
ルグレー(青年期)「彼らには居場所が必要です」
ガノス王「どういう事じゃ?」
ルグレー(青年期)「父上、彼ら傭兵は孤児だった者や親から売られた者たちの集団でもあり、一人の人間として愛を知らずに育った集団でもあります」
ガノス王「それがどうしたのじゃ!」
ルグレー(青年期)「愛が無いのに国の為に命がけで働いてくれると思いますか?」
ガノス王「うっ、ぐぬぬっ」
ルグレー(青年期)「雑な態度ではいけません!心が愛で満たされたら、それは信頼という絆になります」
ガノス王「ルグレーお主の考えには呆れたぞ、お主はワシの後継者には向かんのう・・・」
ガノス王「もうよい、稽古は終了じゃ」
ルグレー(青年期)「お待ち下さい父上!」
ログレー((後継者は私こそふさわしい))

〇宮殿の部屋
教官「敵に囲まれた際の行動で重要なのは──」
教官「んっ?」
ログレー「起きて下さい兄上」
ルグレー(青年期)「・・・・・」
教官「寝るな!ルグレー」
ルグレー(青年期)「はいっ!」
教官「少しは勤勉なログレーを見習え!」
教官「罰として、ルグレーには課題を増やす!」
ルグレー(青年期)「・・・嫌です」
教官「なら、今日の講義は終了だ!」
ルグレー(青年期)「待って下さい!教官!」
ログレー「・・・・・・」

〇牢獄
捕虜「なんと!講義で居眠りとは!」
パウロ「堂々と寝るなんて、寝る事に対して強い意志を感じますね」
ルグレー(青年期)「パウロよ、それは、褒めておるのか?」
パウロ「もちろんです!」
捕虜「ルグレー殿は楽しいな!」

〇城の廊下
ログレー「兄上!捕虜と一緒に食事をするなんて、何を考えているのですか!普通じゃありません!」
ルグレー(青年期)「彼等はいずれここの傭兵として働いてもらうのだから、そんな事を気にするな」
ログレー「だからといって、親しくする必要は無いです」
ルグレー(青年期)「お主も、父上も真面目すぎるぞ!」
ログレー「兄上、私は心配で──」
ルグレー(青年期)「大丈夫!私は部屋に戻る、ログレーも早く戻るとよい。妻と子が待っておるぞ!」
ログレー「・・・・・・」

〇宮殿の部屋
ログレー「何だ?」

〇城の廊下
ログレー「誰だ!」
グレイシア「捕虜になったお父さんを返して!」
ログレー「貴様!こんな事をしてタダで済むと思うな!」
グレイシア「話を聞かない人ね!お父さんを返して!」
ログレー「無理だ!」
グレイシア「じゃあ力ずくで解放するわ!」
ログレー「やってみろ!」
グレイシア「そりゃ!」
ログレー「遅い!」
グレイシア「まだよ!」
ログレー「甘い!」
ログレー「これでどうだ!」
グレイシア「しまった!」
ログレー「観念しろ!」
ラッド「ログレー様!私にお任せ下さい!」
ログレー「頼んだぞ!」
グレイシア「隙あり!」
ログレー「なっ!」
ラッド「ログレー様!」
ログレー「許さんぞ!この女!」
ログレー「まだだ!」
ラッド「おやめ下さいログレー様!」
ルグレー(青年期)「どうした?」
ルグレー(青年期)「な、怪我をしてるではないか!」
ログレー「侵入者です、明日にでも処刑を──」
ルグレー(青年期)「ラッド!はやく治療室に連れていくぞ!」
ラッド「は、はい・・・」
ログレー(・・・クソッ!)

〇貴族の応接間
ログレー「話があります、父上!」
ガノス王「どうしたのじゃ?ログレーよ」
ログレー「兄上の事ですが、講義に居眠りしたり、捕虜と食事をしたり、昨日の夜に至っては侵入者を介抱するなど、跡を継ぐには向きません!」
ガノス王「──そうかもしれぬな」
ログレー「当たり前です!王たるもの「武」と「知」両方備えていなければ国家は崩れます!」
ガノス王「ログレーよ、お主は兄より優れている」
ログレー「その通りです父上!」
ガノス王「ワシももう歳じゃ次の王を任命せねばならぬな」
ガノス王「よし!2ヶ月後に正式に王位の継承を行う!」
ガノス王「どちらが王になっても恨むでないぞ!」
ログレー「分かりました父上!(俺が王に決まっている)」

〇華やかな裏庭
リザエル「どうしたの?嬉しそうね」
ウェスター「何かいい事があったのパパ?」
ログレー「2ヶ月後、正式に王位の継承が行われる」
リザエル「まぁ!なんて事!」
ログレー「兄上には悪いが、私が選ばれるのは確実だ!」
リザエル「なら、私は王妃になるのね!」
ログレー「そういう事だ!」
ウェスター「僕も王様になれるの?」
ログレー「パパの次にな!」
リザエル「それまでに、お勉強頑張りましょうね!」
ウェスター「え〜やだよー」
ログレー「ハハハッ」

〇城の救護室
ルグレー(青年期)「大丈夫?」
グレイシア「はっ!お父さん?」
ルグレー(青年期)「・・・ルグレーです」
グレイシア「見りゃ、分かるわよ!」
グレイシア「お父さんを返して!」
ルグレー(青年期)「落ち着いて、お嬢さん」
グレイシア「グレイシアよ!」
ルグレー(青年期)「そうか、グレイシアよお父さんは──」
グレイシア「何よ!馴れ馴れしい!」
ルグレー(青年期)「えっ、え〜!」
グレイシア「早く助けてあげないと、処刑されちゃう」
ルグレー(青年期)「処刑!?」
グレイシア「この国の捕虜になって1週間、いつ処刑されてもおかしくないわ」
ルグレー(青年期)「心配するな!ほとんどの捕虜はこの国の兵になるか解放しておる。処刑などしない!」
グレイシア「えっ!!そうなの!?」
ルグレー(青年期)「そうとも!処刑になったら私が全力で止める!」
グレイシア「止めるって、アンタどんな立場なのよ?」
ルグレー(青年期)「王の息子、王子です!」
グレイシア「それを、はやく言いなさいよ!」
ルグレー(青年期)「えっ!?えー」
グレイシア「よろしくね!ルグレー」
ルグレー(青年期)「呼び捨て!?」
グレイシア「私の事も呼び捨てでいいわよ!」
ルグレー(青年期)「え?あっ?うん」

〇牢獄
パウロ(・・・・・・)
パウロ「よし、このタイミングで──」
パウロ((鍵は盗らせてもらったぜ、王子様))
パウロ「あばよ!」

〇兵舎
ラッド「さてと──」
ラッド「夜の見回りに行くか」

〇城の廊下
ラッド「ふん♩ふん♩」
ラッド「んっ?」
ネズミ「チュー」
ラッド「ひっ!ネズミ!」
ラッド「あっ!ランタンが!」

〇城の廊下

次のエピソード:王様と弟 後編

コメント

  • 王様の若い頃とは意表をつかれました‼
    でも、ぴったりのキャラですねぇ。絵師様は同じ人ぽいですね?
    うまいこと合ってますww
    ダメ兄貴と出来のいい弟って、おとぎ話っぽくていいですね😆

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