第9話 勇者の始まり③(脚本)
〇要塞の回廊
魔王城
イーノク「今思えば、刺客が一人だけというのは少なすぎたのだ」
イーノク「誰か別の刺客を・・・」
イーノク「そうだ、カミロはいるか!?」
イーノク「あいつならば、きっと成功させてくれる!」
イーノク「カミロ、カミロ!」
エブリー「カミロなら、出かけているよ」
ネイサン「イーノク様が進めている事業の関係で、聖都に行っているはずです」
エブリー「明日には戻るってさ」
ネイサン「では」
イーノク「仕方ない、明日まで待つか・・・」
イーノク「まさか、途中でヴィンセントと遭遇することもないだろうしな」
イーノク「待っていろ、ヴィンセント!」
イーノク「お前の最期も近いぞ!」
〇黒
〇市場
少し遡って、聖都
ライラ(この数は封印できない・・・!)
ライラ「ビンスくん」
ライラ「こっち向いて」
ビンス「ん? 何をするつもりだ、ライラ──」
ビンス「なっ」
???「封印が──」
ビンス「解けた・・・!」
〇市場
ビンス「全く、何て攻撃をするのだ・・・」
ビンス「我でなければ、死んでいたぞ」
ビンス「どれ、お主たちも炎の熱さを味わってみるか?」
魔導シスター「ひいっ」
ビンス「無事か、ライラ──」
ビンス「ライラ?」
ビンス「ライラ! ライラ!」
ビンス「しっかりせぬか!」
ビンス「ライ──」
ライラ「ん・・・」
ビンス「気づいたか!?」
ライラ「お・・・」
ビンス「お?」
ライラ「思い出したー!!」
ライラ「そうよ、どうりで見たことあると思った!」
ライラ「あれは、イーさんだったのよ!」
ビンス「お、おお・・・?」
ライラ「でも、何で勇者だなんて──」
ビンス「話の流れはよくわからぬが・・・」
ビンス「イーさんといえば、もと聖騎士だったそうだぞ」
ライラ「え・・・それ本当!?」
ビンス「ああ、カニーラが聞いたらしい」
ライラ「ということは、あのときって──」
ライラ「まだ聖騎士だったってこと?」
ライラ「なるほど、読めてきたわ・・・」
ライラ「聖教の企みが!」
ビンス「我には、さっぱりだが?」
ライラ「ちょうどいいから、行こうビンスくん」
ライラ「教皇へ会いに」
ビンス「は!? しかも、ちょうどいいって・・・」
ライラ「だって、今ならちゃんとした魔王様の姿でしょ?」
ライラ「聖教襲撃に相応しいじゃない!」
ビンス「はあ!?」
〇黒
〇謁見の間
教皇「全く・・・聖女を奪われるとは、失態だな」
司教「申し訳ございません」
アルマ「失礼いたします」
アルマ「教皇様、ご報告がございます」
アルマ「わたくし、一人旅へ出ることにいたしましたわ」
教皇「ほう?」
教皇「あれだけ頑なに教会本部から出なかったのに、どういう風の吹きまわしかな?」
アルマ「娘がいなくなったので、たまには羽を伸ばそうかと思いまして」
教皇「そうかそうか、羽を伸ばすのは大事だ」
教皇「でも、聖女捜索に加わってくれると助かるのだがね」
アルマ「ご冗談を」
アルマ「わたくしには、探知能力なんてありませんもの」
アルマ「では、失礼いたします」
教皇「待て」
教皇「もと聖女風情が聖教のトップを出し抜けると、本気で思ったのかい?」
教皇「何を隠している?」
アルマ「・・・・・・」
司教「何の音だ!?」
〇武骨な扉
ビンス「邪魔をするぞ」
〇謁見の間
司教「何やつだ!」
ビンス「我は、魔王だ」
「魔王!?」
司教「なぜ、こんなところに魔王が!?」
ビンス「聖教が面白いことをしていると聞いてな」
ビンス「計画を潰しにきた」
「なっ」
〇武骨な扉
ライラ「うーん、悪役みたいなセリフだねえ」
ウマ「ウマッウマッ」
カニーラ「ライラさん! 無事だったんすね!」
ライラ「カニーラ! うまく潜りこめたみたいね」
カニーラ「はい、アルマさんの服に紛れてここまで来たっす!」
カニーラ「でも、ビンスさんのあの姿は、もしかして・・・」
ライラ「うん、カニーラのおかげで助かったよ」
カニーラ「やっぱり、あたしが教えた方法っすか・・・」
ライラ「それより、もと聖女さんがここにいるってことは──」
カニーラ「はい、仲間になってくれるっす!」
アルマ「ロゼッタ!」
アルマ「無事でよかったわ!」
ロゼッタ「きゃっきゃっ」
ライラ「聖女ちゃん、ロゼッタっていうの?」
ライラ「じゃあ、ロゼたんだね」
ライラ「ね、アルママ」
アルママ「アルママ!?」
〇謁見の間
司教「くっ、やはりグルだったのだな、アルマ!」
ビンス「聖女をとり戻したくば、我の要求に従うがよい」
司教「はっ! ならば力づくで奪いかえすまで!」
司教「来なさい、聖騎士たち!」
司教「魔王を倒しなさい!」
ビンス「ふむ、交渉は決裂か」
ビンス「まあこの姿ならば、いくら敵がいても負けぬがな」
「うわあっ」
司教「くっ・・・」
司教「ならば、私が直々に──」
ウマ「ウマッ!」
司教「な、何だ、この魔物!」
司教「うわああ、助けてくれぇぇ!」
ウマ「ウマ〜♪」
ビンス「よくやったぞ、ウマちゃん!」
ビンス「さて、教皇よ」
ビンス「これで、お主を守るものはいなくなったぞ」
教皇「私を甘く見ていないかい?」
教皇「これでも、教皇だよ」
〇武骨な扉
ビンス「我とて、魔王だ!」
アルママ「何で勇者パーティーと魔王が一緒にいるの?」
アルママ「どういう関係?」
ライラ「話すと長くなるんだけど──」
ライラ「私は勇者パーティーの一員じゃなくて、弟が無事に魔王を倒せるように手伝っているの」
アルママ「は?」
ライラ「まあとにかく、アルママには弟と一緒に旅をしてほしいんだけど──」
ライラ「その前に、この封印解ける?」
ウマ「ウマ〜」
アルママ「え、これ封印なの?」
教皇「魔王の攻撃とは、そんなものかい?」
ライラ「私の封印なんだけど、誰も解けなくて・・・」
ライラ「聖女さんなら、解けるかなって」
アルママ「まあ、やってみるけど・・・」
アルママ「『アルマの名において、封印を解き放て!』」
ウマ「ウマー!」
ライラ「すごい! 封印が解けた!」
アルママ「思ったより、すごいのが出てきたわね・・・」
ライラ「これなら、ビンスくんの封印も完全に解けるかも!」
アルママ「ビンス?」
ライラ「ああ、魔王のことだよ」
ライラ「今は一時的に封印が解けているけど、魔王の封印も解けなくて困っていたの」
アルママ「は⁇」
アルママ「魔王の封印が解けなくて困るって、どういう状況?」
教皇「ぐあっ」
ライラ「そんなことより、向こうも潮どきかな」
〇謁見の間
教皇「ハアハア・・・」
ビンス「そろそろ、終わりか?」
ライラ「その前に!」
ライラ「教えて、教皇さん」
ライラ「昔、私の村に聖騎士が来たんです」
ライラ「魔物から、私と弟を助けてくれました」
ライラ「でも、彼は勇者と名乗っていた」
ライラ「だから、弟は勇者に憧れるようになった」
教皇「・・・・・・」
ライラ「聖教は、単に勇者を量産するだけでなく──」
ライラ「勇者になるように仕向けているよね?」
ライラ「勇者への憧れを植えつけて・・・」
教皇「はは、そこまでバレていたか」
教皇「信者の少ない地域にね、聖騎士を派遣しているのだよ」
教皇「勇者を名乗らせてね」
教皇「そして、ちょうどタイミングよく、魔物が襲ってくる」
教皇「勇者はみごとに魔物を倒し、その地域の子どもたちの憧れの的になる」
教皇「こうして聖教の威光は増し、信者も増え、勇者志望の若者も増える」
教皇「いいことづくめだろう?」
ビンス「何ということを・・・!」
ビンス「わざと人間を魔物に襲わせるなど・・・」
ビンス「貴様、それでも人間か!」
教皇「何とでもいってくれ」
教皇「あーあ、これまで割とうまくいっていたのだがね・・・」
ライラ「じゃあ、嘘をつきとおして」
ビンス「ライラ!?」
ライラ「ルーくんを・・・弟を勇者として、正式に認めなさい」
教皇「君は、弟が勇者になってもいいのかい?」
ライラ「きっかけが何にせよ、勇者になるのがルーくんの夢だったことに変わりはないわ」
ライラ「私は、弟の夢を応援するだけよ」
ライラ「もちろん偽の勇者は解散してもらうし、もう勇者の量産なんて認めないけど」
教皇「私が素直に従うとでも?」
ライラ「そのときは、魔王様が徹底的に暴れるわよ」
ライラ「当然、あなたの命はない」
ビンス「それでは、我が悪役みたいではないか・・・」
教皇「・・・仕方ないね。私も命は惜しい」
教皇「従うとしよう」
ライラ「あと、ロゼたんとアルママの安全も保証してね」
教皇「尽力しよう」
ビンス「ふむ。とりあえず、落着したか」
ビンス「どうやら、ビンから解放されるのもここまでのようだ」
教皇「は? 今のは──」
教皇「うっ・・・」
ビンス「教皇にはしばしの間、気絶してもらおう」
ライラ「そうだね」
ビンス「誰だ!?」
〇武骨な扉
ルーク「会いたかったよ、姉ちゃん」
〇謁見の間
ライラ「ルーくん!?」
ライラ「どうして、ここに・・・」
ルーク「姉ちゃんの匂いがしたからね」
ルーク「それに、姉ちゃんがピンチな予感がしたんだ」
ライラ「もうピンチじゃないから、帰って大丈夫よ?」
ルーク「それに──」
ルーク「こいつ、魔物でしょ?」
ルーク「なら、さっさと倒さないと・・・!」
魔王様の封印を一時的に解放した時の圧倒的な強さ!それを封じるライラの封印の力は改めて凄いんですね。
また、本当に間の悪いことにルー君の登場😂しかも匂いを辿ってきたって愛が深すぎるー🤣
えー、キッスで復活とか、ライラ王子様じゃん!!😆
でも効果は一時的なんですね……
あと、ライラの力の消耗もあるのかな?
最初、時々挟まる教皇のセリフにあれれ?となりましたが、後から気づいて笑いましたwww
そしてついにルーくんと共演ですが、タイミング悪いですね😂
何てステキな封印解除スチル…🥰
ライラさんのネーミングセンスがまたもや発揮されてしまいましたね…そしてシレっと変わる、もと聖女さんのキャラ名表記が😂
魔王ビンスくんと教皇の戦闘のカット具合が……まるで蚊帳の外😲 シュールすぎる空気感が最高です🤣