#8 音夢の決意(脚本)
〇黒
何日経っても優海は目覚めなかった。
〇田舎の病院の病室
千代(チヨ)「優海ちゃん」
千代(チヨ)「毎日音夢に会いに来てくれて、ありがとね」
千代(チヨ)「でも」
千代(チヨ)「音夢は、もう・・・。 クリスマスまでは保たないだろうって・・・」
音夢(ネタム)「・・・」
音夢(ネタム)「嘘」
音夢(ネタム)「あと1週間・・・!?」
音夢(ネタム)(優海が俺の代わりに死ぬなんて、そんな・・・)
音夢(ネタム)「こんな世界、あり得ない!」
音夢(ネタム)「──ッ!」
デ・ビル「フフ・・・ついに音夢さんも悪魔カードを使う時が来ましたネ」
デ・ビル「少し早いけど、プレゼントの用意でもしておきマスか」
デ・ビル「結局人間は、欲望に身を任せ堕落していくのデス」
デ・ビル「メリー 苦しみますデス♥」
〇東京全景
「ウワアアアアアアアアアアアアアアアア」
〇部屋の扉
「優海、今日もご飯食べないの?」
音夢「ゴメン・・・」
「優海、あのね・・・」
「音夢クンのこと、ショックなのは分かるけど、」
「優海まで倒れたら・・・お母さん悲しいわ」
音夢「ゴメン」
音夢(優海じゃなくて、本当にゴメンなさい)
〇女の子の部屋
音夢(ネタム)「優海の居ないこの世界で」
音夢(ネタム)「優海の皮を被って過ごして」
音夢(ネタム)「俺に何ができるんだ!?」
音夢(ネタム)「ヤベ・・・写真立てが落ちた」
音夢(ネタム)「これ、小学生のクラブチームの時の写真だ」
音夢クン、諦めたらゲームセットだよ!
そうだ。
初めてピッチャーに抜擢されたあの日。
緊張してボール球しか投げられなくて、
どうしようもなかったあの試合。
どんなに不利な状況だろうと
優海だけは、俺を信じてくれていた。
〇野球のグラウンド
「ボール! フォアボール!!」
バッター「ラッキー♪」
チームメイト「あーあ」
チームメイト「万年ベンチくんにピッチャーなんかやらせるから・・・」
チームメイト「監督、早く緋色と交代させろよ!」
ネタム(クソ・・・もう嫌だ)
ユウミ「ピッチャー、良い球だったよー!!」
ユウミ「その調子その調子!」
ネタム(良い球投げてるわけないじゃん! なんだ、アイツ・・・!!)
ユウミ「リセットしてこー! 丁寧に丁寧に!!」
ユウミ「諦めたら、ゲームセットだよ!」
ネタム(この状況で諦めないで・・・だと!?)
ネタム(むしろ野次ってくれれば、 頑張らなくて良いのに!)
ユウミ「ガンバレー!」
ネタム(こんな俺に、声援を送ってくれるヤツが居る・・・)
ネタム「ヘヘッ、世の中捨てたモンじゃねえな」
ネタム「よし、どうせなら緋色と練習した あの球を投げてみよう!」
ネタム「緋色!」
ヒイロ「あのサインは・・・!」
ヒイロ「ネタム、練習中のスライダーを投げるつもりか!?」
ヒイロ「不完全だから、ストライクゾーンに入るか分からないのに・・・」
ヒイロ「ヤケにでもなったのか!?」
ネタム「ヤケじゃないわい!」
ネタム「諦めたくないから、だよ!!」
ネタム「頼む。俺を信じてミットを構えてくれ!」
ヒイロ「・・・」
ヒイロ「──好きにしろ!」
ネタム「ウォオオ!!」
バッター「グッ!球が消えた!?」
「ストラァイク!!」
ユウミ「バッター、ナイスボール!」
その後はボールが安定しなくて、やっぱりフォアボールで送り出し。
1点押し出しのコールド負けだった。
ネタム「最悪だ・・・!」
結局、俺は泣きながらマウンドを降りた。
チームメイト「あ〜あ」
チームメイト「音夢にピッチャーやらせなきゃ、勝てたのにな~」
チームメイト「ま、6年は今年で卒団だからじゃね? 監督からの思いやりだよ」
ネタム「ゴメン」
ネタム「最初から、ピッチャーを断っていればこんなことには・・・」
ヒイロ「何言ってんだ」
ヒイロ「オマエ、良くやったよ」
ユウミ「音夢クン!」
ユウミ「スライダーの4奪三振、カッコ良かったよ!」
ユウミ「名ピッチャー!!」
2人とも、俺を責めたりしなかった。
そしてどんな時でも、優海は俺を信じてくれていた。
音夢(ネタム)「今度は俺が、優海を助ける番だ!」
〇黒
俺は決めた。
緋色と仲直りする。
ゼッタイに
〇大教室
「緋色クン!」
緋色(ヒイロ)「おはよう優海」
音夢(ネタム)「おはよう」
音夢(ネタム)「あのね、今夜話したいことがあるから協会の前で待ち合わせしない?」
〇田舎の教会
音夢(ネタム)「・・・」
音夢(ネタム)「あ」
音夢(ネタム)「来てくれてありがとう」
音夢(ネタム)「緋色にはちゃんと、言わなきゃならないと思って」
緋色(ヒイロ)「もしかして、告白の返事?」
音夢(ネタム)「残念ながらそうじゃない」
緋色(ヒイロ)「え・・・じゃあ何?」
音夢(ネタム)「俺、音夢なんだ」
音夢(ネタム)「1か月前に優海と身体が入れ替わって」
音夢(ネタム)「戻るために頑張ってきた」
音夢(ネタム)「そして、優海が死ぬのを防ぐために、オマエと仲直りしなきゃならない」
緋色(ヒイロ)「ええと・・・」
緋色(ヒイロ)「まさか、2人で俺をからかっている?」
音夢(ネタム)「頼む。優海を助けてくれ!」
緋色(ヒイロ)「・・・」
音夢(ネタム)「急に信じろって言っても、無茶なのは分かってる」
音夢(ネタム)「でも、時間が無い・・・このままじゃ、俺の代わりに、優海が死ぬかもしれないんだ!」
緋色(ヒイロ)「そんなこと、急に言われても・・・」
緋色(ヒイロ)「・・・」
緋色(ヒイロ)「あのさ」
緋色(ヒイロ)「小学生の最後の練習試合。 音夢が一度だけピッチャーに抜擢されたよね」
緋色(ヒイロ)「その時に2人で作ったサイン・・・覚えている?」
緋色(ヒイロ)「これ」
緋色(ヒイロ)「何のことだか、分かる?」
音夢(ネタム)「しんゆう──親友のサイン!!」
緋色(ヒイロ)「脳みそがバグるけど、俺は信じるぜ」
緋色(ヒイロ)「経緯を詳しく聞かせてくれ!」
緋色(ヒイロ)「悪魔カード!?」
緋色(ヒイロ)「それってまさか、コレじゃないよな・・・?」
音夢(ネタム)「絵柄は違うけど、多分コレもそうだ! どこで手に入れたんだ?」
緋色(ヒイロ)「あの時の記憶がボンヤリしているんだが、お前が貸してくれたSDカードと一緒にあったよ」
音夢(ネタム)「あのSDカードは、俺に化けたビルが渡したんだ!!」
緋色(ヒイロ)「なら、話は繋がったな!」
音夢(ネタム)「ああ。 ビルに一泡吹かせて、必ず優海を助けてみせる!」
音夢(ネタム)「待ってろ。 今度は俺たちが倍返ししてやるぜ!!」
サインで入れ替わりを受け入れる展開は良いですね👍
音夢と緋色の友情が固いことを感じました。
また、音夢が自分のためじゃなく優美の為に行動するのは好感が持てて、多分自分でもそうするなと考えてしまいます。
いよいよラストスパートが近づいてますね。バットエンド、グットエンド両方受け入れる準備はできてます!
いよいよ大詰めですね。
長編は中々大変ですけど
慣れてらっしゃるのか、安定した面白さですね!!
大人になる過程で妬み僻み憎しみが出るけど、子供時代の友情が実はあったのですね!! そんな3人が素敵な最後を迎えることを期待しております😄
とにかく胸を打つストーリーに、挿し込まれるスチルが絶妙で、もう目頭が…🥲
いや~幼馴染の友情ってイイですねぇ~😭
ストーリー内も現実も、もうクリスマス間近ですね😊 音夢クンたちは無事に幸せなクリスマスを迎えられるのか…ドキドキです😥
「メリー 苦しみますデス♥」……ビルさんの口調だと、お見事なくらいしっくりきていますね✨