Xヒーロー

語り部

第28話 二者択一 (脚本)

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〇シックなバー
  2021年 大阪府 堺市 南区 とあるBAR
エンチャント魔導法士「鸞、急いで軽傷者の手当をしろ!ワシは重傷者を治す!」
斎王幽羅「どういう状況か教えて?」
鸞「ここにミンを含む20人近い中国人が来たが、全員怪我をしている」
鸞「しかもかなりの数の中国人達が追ってきている。数は恐らく50人近くだ、どうする?」
斎王幽羅「キング!横長のバリケードって出せるよね、出入口塞げる?」
キング「任せろ!『皇帝長城障壁(グレート・ゲートウェイ・ウォール)!!』」
  キングが自らの盾を地面に叩きつけ、盾が瞬時にバリケードへ変化する。
  高さこそないが万里の長城を思わせる横長のバリケードは、窓や扉などの開口部を封じる事に成功していた
  そして斎王達は負傷者を運びながら、ミンに安全な場所を教えてもらい
  全員でとある商店に入り、その商店の地下で負傷者の治療を始める

〇組織のアジト
  南区 とある商店 地下
エンチャント魔導法士「鸞、重傷者を寝かせろ。欠損ならワシで治せる、軽傷者は座らせてお前が治療しろ」
  中国人達を鸞とエンチャントが治療する中、フェードはミンに近づき泣きながら安堵の声を漏らす
  そしてミンは全員の治療が終わると近くの長椅子に座り話始める
ミン「まずはありがとう。ウィリアム達がいなければ、共産派閥の奴らに間違いなく殺されてただろう」
ミン「だが···それと同時になぜ大阪に来たのか説明してもらおうか?」
斎王幽羅「色々ありますが···まずは貴方の生存確認。それからお聞きしたいことを一つ一つ聞いていきます」
斎王幽羅「まず1つ目、『紅色派の行動目的』を教えてください」
ミン「フェードから聞かなかったのか?紅色派の行動目的は『異能力者の徹底排除』だ」
ミン「かつて雪月頼が目指した『異能力者と異種族の楽園』を非能力者バージョンで再現するつもりでいる」
斎王幽羅「それって···異能力者を殺して回ってるって事ですか···?」
ミン「少し違うな、昔大量の変化武器達を誘拐して『人格のみを消す』実験を繰り返していた」
ミン「なんでかわかるか?」
鸞「··· ··· ···異能力を『売る為』か?」
ミン「ご名答。変化武器でそれを試して安定化したら今度は能力者でやるつもりでいる」
  その言葉を聞き、キングはミンの胸ぐらを掴み殴ろうとする。しかしフェードは瞬時に環首刀を抜き、キングの首につきつける
フェード「やめろキング、その先をやればお前の首を『切り落とさなければならない』」
キング「やりたきゃやれ!俺達変化武器は迫害の対象でも文明発展の犠牲でもねぇ、俺達は立派な『生き物』なんだよ!」
キング「クロノスやコウメイ、他の変化武器達も皆『親父に会うのを夢見てた』ってのに···」
キング「人間共には俺ら変化武器は『畜生』かなんかに見えんのか···?あァ!!?」
  一触即発の空気に皆が息を飲む中、斎王はキングを制止する
斎王幽羅「キング、ミンさんに当たっても何も解決にならない。今は前を見ようよ」
キング「黙ってろ!じゃあこの怒りは誰にぶつければいいんだ、答えてみろ斎王!」
斎王幽羅「『俺でいいよ』。昔みたいにまた殴りあってみる?なんなら一方的に殴ってもいいよ?」
  キングを真っ直ぐ見つめ、迷いなく言葉を放つ斎王にキングは目線を逸らし、戸惑いを見せた
  昔とは逆になってしまった。俺は斎王に今『守られている』、そう感じたキングは
  ミンを突き放し、怒号と共に拳を壁に叩きつけた
  そんな中、エンチャントは意に介さずミンに問いかける
エンチャント魔導法士「ミン、それ変じゃないか?異能力者の徹底排除が目的でなぜ異能力を『残す』んだ···?」
ミン「総帥は『富国強兵』をするつもりなのだろう、中国を世界一の国にするため」
ミン「異能力売買という独占市場による経済安定化、そして強い異能力は自国で管理し」
ミン「それを複製することで作り上げた強兵、それが総帥の望みだろうな」
斎王幽羅「異能力を複製···?どうやってですか···?」
ミン「アメリカでのクローン喧嘩王に光の異能を付与するため『異能力の複製』が行われてるんだよ」
ミン「生まれたての赤ん坊に『異能力者の遺伝配列を組み込んで』培養、光の異能力を得たらクローン喧嘩王に」
ミン「光の異能力を得なかったら『クローン喧嘩王』として開発するって流れだ」
  その場にいた全員が驚愕していた。この言葉をどう受け取ればいいか困惑していたのである
  しかし斎王は思うところがあり、ミンに問いかける
斎王幽羅「フェードから聞いたんですけど『死んだ赤ん坊もアメリカに輸送してる』って···なんでなんですか?」
ミン「それは知らん、あれはロンがやってる事だから俺は把握していない」
エンチャント魔導法士「てことはアメリカでも『妊婦惨殺と赤ん坊誘拐』をやってるわけか、紅色派だけがやってるのか?」
ミン「紅色派、ロシア正教、地元ギャングそして···アメリカの研究機関と政府機関だ」
エンチャント魔導法士「アメリカ政府も敵か、やっかいだな···冷羅の奴よくイリノイ州を守ってるな」
ミン「冷羅ってあの···『氷帝』鬼月冷羅か···?!アメリカにいるのか···!?」
エンチャント魔導法士「雪月頼の遺言書に記されていた。孫である斎王が所持していたんだ、情報は確かだろう」
ミン「こりゃあ···戦況がガラッと変わるな。クローン喧嘩王の破壊も視野に入れてもいいかもな、どの州にいる?」
エンチャント魔導法士「イリノイ州だ、ワシらはひとまずそこへ向かいたいんだが協力してくれるか?」
ミン「行くとしたら『空』だけだな、イリノイ州は内陸だから港はない。船で沿岸部に着いても真反対だからかなり時間がかかる」
エンチャント魔導法士「ミン、何か手はないか?」
ミン「現状はないな···雷蔵か鳳凰ならどうにかできるんじゃないか?」
エンチャント魔導法士「確証がない以上は近づけんな···福岡から行くべきかもな。あそこは日本で唯一異能力者にとって『安全な場所』だからな」
  行き先が福岡に概ね決まりそうになった所で、凪園が割って入り話始める
凪園無頼「俺神奈川に戻りたい。会長に···会長にきっちりケジメつけてから日本出たいんだけど、斎王···お願い」
  あの自由奔放で沸点が低く、横暴な凪園が頭を深々と下げて斎王に頼んでいる。中国人達は何も感じていなかったが
  斎王達はそれに心底驚いていた。『あの凪園が頭下げるなんて』と目を丸くしていた
  そして驚くべきことが更に起こる。鸞が隣に立ち、同じように『神奈川に戻りたい』と言い頭を下げてきたのである
  危険を察知し、誰よりも早く手を打ち、行動する鸞が危険を承知で『神奈川に戻りたい』と申し出たのである
  斎王はキング、フェード、エンチャントの同意を求めるがフェードとエンチャントは反対した
エンチャント魔導法士「関東圏でも危険だと言うのによりよって神奈川だと!?あそこに何があるかわからんわけではないだろう!」
エンチャント魔導法士「神奈川には『Xヒーロー』がある!警視庁が戻ってくる事を想定しない訳ないだろう!」
エンチャント魔導法士「斎王、福岡に行ってサッサとアメリカに行くべきだ。神奈川に戻れば無事じゃすまん、最悪···『誰か死ぬぞ』」
フェード「私もエンチャントと同意見だ、神奈川に戻るのはリスクが高すぎる。それに···ミンさんを早く国外に向かわせたい」
フェード「頼む斎王、福岡に行くと言ってくれ···」
  しかし斎王は迷いなく神奈川に行くと言った。そしてそれに対しての理由を述べ始めた
斎王幽羅「エンチャントさん、フェード···悪いけど『誰も欠けずにアメリカに行きたいんだ』」
フェード「···?どういうことだ斎王?」
斎王幽羅「鸞は鳳凰さんの術で守られてるけど、条件として『日本から出れないんだ』」
斎王幽羅「無理に出ようとすると···どうなるんだっけ?鸞」
鸞「幼名時の姿で一生暮らす事になる。俺の場合雀だ、無論記憶も全て消える」
斎王幽羅「術を解けるのは鳳凰さんだけ、それを自力で解いた人はいない。あの鸞の『お父さん』ですらだよ?」
エンチャント魔導法士「ぐっ···だったら鳳凰を福岡に連れてくれば···!」
鸞「あんたはわかってるんだろ?鳳凰様は里がある関東圏から『出られない』」
鸞「大昔の大蛇の呪いで土地に縛りつけられている、だから空と大地と海を見るために」
鸞「『鳥組、蟲組、魚組』という忍者を組織して、統率をしてらっしゃるんだ」
斎王幽羅「だから少なくとも関東圏には行かなきゃならない、フェード、エンチャントさん理解して欲しい···」
  エンチャントが渋々同意をする中、フェードはそれでも反対していた。
フェード「斎王···私は嫌だ。ミンさんと会えたのにまた別れるなんて···今度また会えるか分からないのに···」
フェード「このままミンさんを置いて行きたくない、でも私達に同行させれば死ぬかもしれない···お願いだ斎王、考え直してくれ···」
  すると斎王は鸞にアイコンタクトをし、中国人達に外に出るように促す。鸞は外に行きすぐさま銃撃に合うが
  『契の血を流す』と言い自身の指を切って血を流すと銃弾が当たる前に蒸発してしまう
  そして鸞は空に向かって大声でこう言い放つ

〇荒廃した市街地
鸞「今この場より鳳凰護衛隊隊員鳥組筆頭忍者 鸞は『抜け忍』となる!契の代償として」
鸞「ここにいる20数名の中国人達を保護し、守り通せ!いざ集結し終わりの試練の準備をせよ!」
  すると無数の多種多様な『鳥』と『虫』が集まり中国人達を『運び始める』
  当然共産派閥の中国人達はそうはさせないと銃を向けるが全員がいつの間にかいた『忍者達』に殺されていった
  そしてミンは鸞に紙を投げ渡し、そのまま見えなくなって行った。鸞が戻ろうとした際、目の前に1人の忍者が現れる
虻「私は鳳凰親衛隊隊員蟲組頭領 虻(あぶ)です。彼らの保護、護衛は蟲組で行いますので···」
虻「しかし···クヒヒ···祖父も父も子である貴方でさえ『抜け忍』になるんですね、不吉な一家ですねぇ···」
鸞「さっさと行け、こっちはやる事がある」
虻「キヒヒ···今のうちに『人の言葉』を沢山使っておいた方がいいですよ、終わりの試練がどんな物かわからないのに···」
  そう言い残し目の前の忍者は虻に姿を変え、その場を去る。そして鸞は直ぐさま戻り、斎王達と今後をどうするか話し合った
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第29話 約束された命

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