MY.MADE.SONG

宇野木真帆

人魚と渋谷と詩と(脚本)

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宇野木真帆

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〇水中
  泡の数だけ夢を目指す人がいて
  私の泡は海に溶けて空をめざし風となれるのだろうか
  辛くてもまた夢を見られるのは
  彼方から詩(うた)が届くから
  ほら、聴こえてこない?

〇黒

〇ライブハウスのステージ
  音の数だけ夢を目指す人がいるから
  オレの音は雑踏に溶けて夜をめざし闇の中へ消える
  辛くてもう夢を見てるのが..

〇黒

〇海辺の街
  きらめく海と雄大な山に囲まれた
  島
  憧れは
  都会

〇海辺
  海は意外と風が強い
  だからトンビは飛べるんだ
  羽のない私でも..
「おーい!」
まこと「あ!みよぽんー!」
みより「またここにいたの」
まこと「ごめん」
まこと「でもさ、こーやって目を閉じると」
まこと「風の音が大きく聞こえて」
まこと「飛べそうじゃない?」
みより「はいはい。 早く部活行くわよ」

〇音楽室
ふみこ「まっこ!次のコンクール東京だって!」
まこと「え!聞いてない!」
みより「駆け出したのはあんたよ」
まこと「そしたら絶対渋谷へ行きたい!」
ふみこ「その髪..」
まこと「え?」
ふみこ「見た目まんまヤンキーよ」
まこと「まっさかー!」
ふみこ「うーん..」
みより「今のこいつには何言っても通じないわよ」
みより「ほら、時間! 練習をはじめるわ」
「はーい!」

〇街の全景
  ついに夏休み!
  憧れの都会!

〇渋谷駅前
まこと「きたー!渋谷ー!」
みより「人がなんたらのようね」
ふみこ「くらくらする」
まこと「ねえ! ハチ公見たい!行こ!」
みより「そしたらお店でも入るか」

〇ハチ公前
みより「これが..」
ふみこ「みよちゃん!まっこが!」
バンド仲間「ねぇ君、高校生?」
バンド仲間「派手だねー」

〇ハチ公前
バンド仲間「──!」
バンド仲間「──!」
あつき「はーい!お兄さんたち!」
バンド仲間「お、あつきじゃん。そっちはどう?」
あつき「んーなんとも。 というかお前ら中学生囲っちゃだめだろ?」
まこと「高校生です!」
あつき「ご、ごめん..」
バンド仲間「はい、あつきやらかしー」
バンド仲間「じゃ、これ。 明日遊びに来て~♪」
まこと「え、はい..」

〇ハチ公前
ふみこ「まっこー!大丈夫!?」
みより「無事生還おめでとうww」
ふみこ「バンドのチケット?」
みより「みたいね」
まこと「みんなで行こう!」
「えっ!?」

〇黒
  翌日
  渋谷駅前

〇渋谷駅前
まこと「いよーし!渋谷めぐるぞー!」
まこと「まずはどこへ~♪」
まこと「あの!」
あつき「あ、あんた昨日の!」
まこと「どうもー!」
あつき「昨日はごめん。中学生って..」
まこと「大丈夫です!」
あつき「すごいはしゃいでたけど渋谷初めて?」
まこと「うん! パワー爆発してる!」
まこと「ここでなら何でも叶いそう!」
まこと「あつきもいつかデビューするんでしょ?」
まこと「今日はライブあるって」
あつき「いや。オレは..」
あつき「てか名前」
まこと「昨日呼ばれてたよ! 私はまこと!よろしくね!」
あつき「あー、じゃぁ、まこと。 オレがちょっと渋谷案内しようか?」
あつき「昨日の罪滅ぼしも兼ねて」
まこと「嬉しい!」
まこと「二人にフラれて独りだったの」
まこと「お願いします!」

〇黒

〇モヤイ像

〇SHIBUYA109

〇街中の交番

〇テーブル席

〇SHIBUYA SKY
あつき「どう、渋谷?」
まこと「すっごく楽しい!島と全然違う!」
まこと「私ね..」
まこと「いつか歌手になりたいの」
まこと「渋谷ならきっと叶えられる気がする!」
まこと「あつきは..」
まこと「そう思わないんだ?」
あつき「い、いや..」
まこと「うそ。顔見ればわかる」
あつき「あー..」
あつき「思ってないな」
あつき「渋谷は夢を見させるだけの箱だよ」
あつき「ライブハウスと同じだ」
あつき「渋谷にいくつあると思う?」
まこと「うーん、20くらい?」
あつき「100以上だ」
あつき「夢を見させるだけ見せて、ここでは何も叶わない」
まこと「そんなこと..」
あつき「なに?」
まこと「あつきはもったいないよ。 せっかく音楽が好きなんだから」
まこと「今日だってライブあるんでしょ?」
あつき「夢ばっか見てると、」
あつき「いや、オレは..」
あつき「今回でやめるよ音楽」
まこと「そんなのダメだよ!」
あつき「はぁ!? お前に何が分かんだよ!」
まこと「私だって!」
あつき「そんなに自信があるならな!」
あつき「ライブで歌えよ!」
あつき「オレは先に行ってる」
あつき「逃げんなよ、まこと」
まこと「あつきこそ..」

〇ライブハウスの入口(看板の文字入り)
みより「めずらし。 怖気づいてんの?」
まこと「あ、みよぽん!」
まこと「てか私服!?」
みより「当り前じゃない。 こんな時間に制服なんて」
みより「補導されても知らない人のフリするから」
まこと「島じゃ普段着が制服なのにー!」

〇ライブハウスのステージ
  やっぱりあつき、楽しそうだよ
  ”音楽好きなんでしょ?”
あつき「今日は観に来てくれてありがとー!」
あつき「なんと今日は!ゲスト呼んでまーす!」
まこと「よし!」

〇ライブハウスのステージ
あつき「お前が知ってる曲、弾くから」
まこと「うん!」
みより「イイ感じじゃない」

〇黒

〇ライブハウスのステージ
まこと「みよぽん?」
まこと「先帰る!?」
まこと「がんばれ、ってそんなんじゃ..」
あつき「なんだ、まこと。 またフラれたのか?」
まこと「うん..」
あつき「しょうがねー。送ってやるよ」
あつき「電車?」

〇宮益坂
まこと「か、歌手とか言ったけど、こんなのいくらでもいるでしょ?」
まこと「わかってるの。 才能なんてないし、自信も..」
あつき「自信もないのに、どうして..」
あつき「なんで夢見られんだよ?」
まこと「ねぇ、あつき..」
まこと「夢は才能や自信がなくても見ていいんだよ」
まこと「好きなことに自分の命を使う。 それって当たり前のことじゃない?」

〇渋谷のスクランブル交差点
まこと「辛い時はね、こうやって目を閉じると」
まこと「詩が聴こえてくるの」
  ーどれほど紛れてしまってもー
  ー私はここに変わらず立っているー
  ー君がきっと見つけてくれるからー
まこと「これだけの人がいるんだよ?」
まこと「誰か一人はきっと見つけてくれる」
あつき「まことがオレを見つけたようにか?」
まこと「う、うん..」

〇電車の中
あつき「また始めるか」
まこと「え?」
あつき「二人にはバンドやめるって言った」
まこと「えぇー!?」
あつき「声が大きい!」
まこと「やっぱやめないって言いなよ」
あつき「それはダサすぎだろ」
あつき「才能や自信がなくたって、」
あつき「一人だって、夢見ていいだろ?」
まこと「そう言ったけど..」
まこと「見て見て!あつき!」
あつき「だから、声が..」
あつき「すげーじゃんこれ!」
まこと「車内ライブのオーディションだって!」
まこと「あ、帰る日だ!」
まこと「ねえねえ!一緒に出ようよ!」
あつき「はぁ!?」
まこと「せっかく組んだのにそれが解散ライブなんてヤダ!」
あつき「えー..」
まこと「二人に出たいって言ってもまたフラれる!」
まこと「お願いします!」
あつき「しゃーねーな..」
あつき「付き合いますか」
まこと「やったー!」
あつき「じゃぁ、まこと。目を閉じてみて」
まこと「う、うん..」
  辛くてもまた夢を見られたのは
  まことの詩がオレに届いたから
あつき「ほら、聴こえてこない?」
まこと「うん!私たちの!」
あつき「オレたちの!」
  だから君が辛くて夢を見られないならば

〇電車の中
  届けよう!オレたちの詩を!
  君が立つ場所へ!

コメント

  • 最初のシーンに出てくる 表現。
    面白いと感じました。

  • 「才能や自信がなくても夢はみていい」「好きなことに自分の命を使うのは、当たり前のこと」そんなまことの言葉が胸に響きました。
    私も高校生の頃バンドを組んでいた経験があり、手配りのチケット、観客の入らないもどかしさ、夢、そして諦め…様々な要素が過去の自分にリンクして、あの時まことのような存在に出会えていればなぁ、と思わずにはいられませんでした。
    あつきの夢が、まことと共に叶いますように(^^)

  • 序盤の詩的な表現好きです!

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