クードクラース

イトウアユム

第7話「斬殺」(脚本)

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〇高級マンションの一室
  ましろと静は渋谷の高級タワーマンションにある、レイナの自宅にいた。
レイナ「――最初に連絡が来た時、 馬鹿なんじゃないかって思ったわ」
  リビングのソファに座る2人を
  呆れたように眺めるレイナ。
綾瀬静「まずは拳を交わすよりも言葉を交わす ・・・紳士的だろ?」
  ましろがレイナと対峙したその日の夜、
  静はレイナに連絡を取った。
  一度会って話がしたい、場所はそちらの
  指定で構わない・・・と。
レイナ「――で、さっきのあんたの共同戦線を 張らないかって提案は拒否よ」
レイナ「あたしは誰ともつるまない。命のやりとりをするなら正々堂々と戦いたいわ」
黛ましろ「じゃあなぜ・・・誰からも聞いていない、 知らないハズの情報を知っていたの?」
黛ましろ「・・・私の縄は赤いって」
来栖兼光「――それはアタシが綿密な計算と シミュレーションで予測したからよ」
  ティーセットを持って現れたのは
  レイナのストレイシープの来栖兼光だ。
来栖兼光「それってズバリ『赤縄を結ぶ』でしょ?」
綾瀬静「赤縄を結ぶ・・・?」
黛ましろ「・・・知ってるんだ」
来栖兼光「はぁ、やっぱり思った通り。これだから 色男は、また女の子を惑わして・・・」
黛ましろ(また・・・?)
綾瀬静「人聞きの悪い事を言うなよ。それよりも 赤い縄にどういう意味があるんだ?」
来栖兼光「赤縄で男女の足を繋ぐと、どんな間柄でも離れられない仲になるっていう言い伝えが中国にあるのよ」
来栖兼光「色男の綾瀬先生のスケープゴートが 女の子で『吊るされた男』のカード だったら・・・」
来栖兼光「縄の刑具をそういうイメージで具現するんじゃないかって、レイナと話してたの」
綾瀬静(どんな間柄でも離れられない仲・・・)
綾瀬静(あの廃屋で、 ましろはそこまで俺を慕ったのか・・・)
  まるで生まれたての雛が初めて見たモノを
  親と信じて思い込む様に。
  いやそれ以上に盲目的に。
  静はまた一つ、ましろの計り知れない闇を覗き込んでしまった気がした。
来栖兼光「アタシ、こういう考察って得意なの。 お茶を淹れるのと同じくらい」
来栖兼光「それを飲んだら、とっとと帰ってよね」
来栖兼光「今日はレイナと銀座で ランチとショッピングなんだから」
レイナ「えー、嫌よ銀座なんて。 あたし好みのショップが無いじゃない」
来栖兼光「黙らっしゃい。昔は清楚で可憐なキレイめセレブだったのに、今じゃそんなゴテゴテのギラギラアングラ娘になって・・・」
レイナ「――っていうわけだから、 そろそろお引き取り願える?」
綾瀬静「じゃあまた出直してくるさ」
レイナ「しつこいわね、 なんでそんなにあたしと組みたがるのよ」
綾瀬静「そうだなぁ――勘、かな。お前は自分の 正義を信じてるだろ、絶対だって」

〇東急百貨店
黛ましろ「――駄目だったね」
綾瀬静「まあ、想定内だがな・・・」
綾瀬静「なあ、ましろ。 せっかくだし、買い物でもするか?」
黛ましろ「買い物?」
綾瀬静「そうだ。おまえの服とかな」
  ましろと同居を始めて、静はましろの
  持ち物が異様に少ないことに驚いた。
綾瀬静(母親はましろに買い与えることはしなかったんだな、相応以上の小遣いを渡していたようだが・・・)
綾瀬静(金で解決ってやつか。・・・俺にとってはそれも羨ましいんだがな)
  食事に困る日の方が多かった幼い日々を思い出す静であったが、 それでもましろを少し哀れに思い始めていた。
綾瀬静(俺の自己満足だが、 このゲームの間だけは・・・)
綾瀬静(人並な女子高生として 過ごさせてやりたいんだよな)
綾瀬静(いずれ来る別れの日にましろが・・・ いや俺が後悔しないように)

〇街中の階段
  人気の無い道をましろと静は
  傘を差しながら並んで歩いていた。
黛ましろ「・・・いっぱい買ってもらっちゃったね」
綾瀬静「もっと買っても良かったんだぞ」
黛ましろ「ううん、これで十分。 それに買うなら今度は静の服を買いたいな」
  ましろはいくつものショッピングバックを
  嬉しそうに抱えている。
  しかし──
綾瀬静「・・・ましろ、家畜が近づいてくる」
  静の言葉にましろの顔付きが変わった
  その時だ。
吉野みくる「しずしず、おひさ~! っていうか、雨の日に出会っちゃうなんてマジ、アリエンティなんですけどっー!」
平山栞「みくるっ! 勝手に近寄っちゃ駄目よっ!」
吉野みくる「えー! どーせアプリで分かってるんしょ? 別に良いじゃーん!」
綾瀬静「――へぇ、随分と気軽に声を掛けるんだな」
吉野みくる「昨日の敵は今日のダチって言うじゃーん!」
吉野みくる「そっちの子はしずしずのスケープゴート なんしょ?」
黛ましろ「・・・うん」
吉野みくる「あーしも同じ羊ちゃんなんよ、 よろぴくねっ!」
吉野みくる「しっかしまた女子高生なんだ~! もしかしてしずしずってロリコン?」
黛ましろ「・・・また?」
黛ましろ(さっきから、またとか・・・ まるで、私よりも以前に・・・)
黛ましろ(ううん、それならきっと静が話してくれているはずだもの)
綾瀬静「人を勝手にロリコン扱いするな、 ましろが女子高生なのはたまたまだっての」
吉野みくる「へー、ましろっちっていうんだ。 あーしはね、吉野みくる」
吉野みくる「持ってる太陽のカードみたいに 熱いオンナだし~!」
吉野みくる「でもさ、このカードって空に太陽が出ててかつ日光が当たってる状態じゃないと使えないトラップカードってヤツでさ~」
吉野みくる「つまり、雨降ってる今はチョー使えないの。マジウケるっしょ?」
黛ましろ(良いのかな・・・ そう簡単にカードの力を話して・・・)
黛ましろ(あ、静と一回戦ってるから隠しても 無駄って事なのかな・・・)
吉野みくる「んで、こっちの大人しめの古風な美女は しおりん。あーしのストレイシープ」
平山栞「・・・みくる。 人に紹介する時はちゃんと紹介するものよ」
平山栞「私は平山栞。 よろしくね、ましろさん」
  気軽にぺらぺら喋るみくるとは正反対に、物静かで何処か近寄りがたい雰囲気の栞。
吉野みくる「でも良かったー、 すっごくしずしずに会いたかったんだよね」
吉野みくる「ほら、しずしず前にしおりんのこと 死神のカードで傷つけたじゃん? あの傷、なっかなか治んなくてさぁ~」
吉野みくる「セルベっちに聞いたらカードの特殊効果で傷は延々と壊死と再生を続けるらしいじゃん? そんなんチート過ぎるっしょ」
吉野みくる「んで、カードの持ち主にならないと 傷は治んないんだって」
吉野みくる「だから、チョーダイ」
吉野みくる「――あーしたちが殺した、しずしずの 前の契約者の死神ちゃんのカードをさ」
綾瀬静「そうだな・・・厚顔無恥って言葉の意味を調べてきたら考えてやってもいい」
平山栞「ふふ、綾瀬さんたら酷いわ。 私達は当然の権利を主張しただけなのに」
黛ましろ「え?」
黛ましろ(静と契約した死神ちゃん・・・って ・・・スケープゴート?)

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次のエピソード:第8話「焼殺」

コメント

  • 今回のストーリーも面白かった。
    二人の他愛無いやり取りが新鮮で面白い!
    設定もカードの種類や特性も色々あるんだ〜
    漫画・アニメ化してもおかしくない作品だと思います。

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