クードクラース

イトウアユム

第5話「天罰」(脚本)

クードクラース

イトウアユム

今すぐ読む

クードクラース
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒背景
黛ましろ「私ね、静のこと、 全部知りたかったから調べたんだ」
黛ましろ「――『アヤセシズカ』のこと」
  静が都市伝説の殺人ドクターだと
  僅か1日で突き止めたましろ。
  そんなましろの前に現れたのは・・・
レイナ「そのカード、あたしが貰ってあげる」
  『女教皇』のカードを持つ
  スケープゴートだった。

〇教室
黛ましろ「死神召喚!(サモン・デス)」
  襲い掛かる杭を、
  ましろはとっさに召喚した鎌で薙ぎ払う。
レイナ「さっすが、 一輝たちとやりあっただけあるわね」
レイナ「海崎蓮に会えなくて残念だったけど、 まさか噂の山羊ちゃんに会えるなんてね」
レイナ「やっぱりあたしは選ばれた者なのね」
  楽しげに話す少女とは対照的に
  ましろは黙ったまま。
  そんなましろに少女は唇を尖らせた。
レイナ「・・・っていうか。 あんたさぁ、あたしの話、聞いてる? さっきから突っ立ったまま黙っちゃって」
黛ましろ「・・・迷ってるの。 ・・・逃げるか、それとも殺すか」
レイナ「はぁ?」
黛ましろ「静に言われてるんだ。家畜に会ったら、 まずは様子を見て逃げろって」
黛ましろ「でも・・・実際、目の前にカードがあると 手に入れたいなぁって」
レイナ「なにそれ。 あんた、あたしを殺すつもりなの?」
黛ましろ「――殺すつもり、じゃなくて・・・ 殺すよ。静が望むから」
  きっぱりと言い切ったましろの虚ろな瞳が急に殺気のようなオーラを放ち始める。
  だが、少女はひるむどころかせせら笑う。
レイナ「面白いわね、あんた。このあたしが誰だか分からないのに勝つつもりでいるのね」
レイナ「良いわ、その挑発、ノってあげる。 あたしの名前はレイナ」
レイナ「この世界を変える絶対正義の女よ。 で、あんたは?」
黛ましろ「・・黛ましろ」
レイナ「ましろね、覚えてあげる。 じゃあ早速・・・」
レイナ「いざ勝負よ!」
黛ましろ(・・・襲われたら不可抗力だよね?)
黛ましろ(それにこの人を殺したら3枚もカードが 手に入る・・・うん、決めた)
黛ましろ(この人を殺そう。 その方が静は喜ぶだろうし)
黛ましろ「――吊るされた男召喚 (サモン・ハングドマン)」
  レイナの後押しに、
  ましろはカードを発動させた。
黛ましろ「――吊るされた男発動 (オープン・ハングドマン)」
  赤い縄は即座にレイナに襲い掛かり、
  しゅるしゅると体に巻き付く。
  レイナは自分を戒める縄を
  しげしげと眺める。
レイナ「へぇ~、これが噂の赤い縄ね。 でも・・・」
レイナ「――隠者発動(オープン・ハーミット)」
  瞬間、レイナを捕らえていた縄は
  弾けるように千切れた。
黛ましろ「そんな・・・!」
黛ましろ(すぐに発動したってことは 既に召喚してたんだ)
黛ましろ(でも・・・いつ? そしてどんなものを?)
レイナ「ざーんねん、どんなカードでもね、 あたしを捕らえることは出来ないのよ」
レイナ「・・・でも、あたしは捕らえる事が出来る」
レイナ「次はあたしの番ね――サモン・・・」
  笑みを浮かべたレイナは手を挙げ、
  詠唱を始める。
  ガタガタと教室全体が小さく揺らぐ。
黛ましろ(これ、地面じゃなくて部屋全体が 揺れてるんだ・・・)
黛ましろ(ここにいちゃだめだっ!)
  ましろが窓を蹴破って外に飛び出すのと、ましろの背後で何かが潰れたような大きな破壊音がしたのは同時だった。

〇教室の外
黛ましろ「ぁくッ!」
  落下の衝撃が全身に走る。
  いくら不死身といえども、
  三階から転落して無事なわけがない。
黛ましろ(早く・・・体制を整えなきゃ・・・)
  ましろは咄嗟に起き上がるが、両足に激痛が走りその場に倒れ込んでしまう。
  どうやら両足は骨折をしているようだ。
黛ましろ(早く回復しないと・・・)
レイナ「あんたねえ、 詠唱の途中に逃げるのは反則よ」
  見上げた教室の窓からのぞく、
  レイナの顔は傷一つついていない。
レイナ「・・・続きもしたいけど、 そろそろ生配信の時間なの。 戻らないとカネミツに怒られちゃう」
レイナ「だから今日はここでおしまい」
レイナ「ホント、あんたは運が良いわね」
  そう言い残して
  レイナは教室から消えていった。

〇綺麗なダイニング
綾瀬静「レイナは有名な配信者だ」
  契約の恩恵により、
  骨折はあの後すぐに完治した。
  ましろは今日の出来事を正直に伝えた。
  静に怒られる不安の方が大きかったが、
  「無事で良かった」の一言で、傷の痛みも消えていくようだった。
綾瀬静「元々、レイナは人気モデルだったが、 ある時期・・・」
綾瀬静「多分、ゲームに参加をしたのをきっかけに動画配信者に転向したんだ」
綾瀬静「――世直し系の動画配信者にな」
  静が見せるレイナの動画チャンネル。
  それはレイナが神に代わって、リスナー
  から情報提供された極悪人を裁くという
  内容だった。
綾瀬静「レイナが生放送中にその悪人を名指しすると相手が死ぬんだ」
黛ましろ「家畜以外の人を? それって・・・警察に捕まらないの?」
綾瀬静「罪状は予言殺人か? しかも死に場所がトイレや、 車の中や自室の完全な密室なのに?」
綾瀬静「それに死に方は全身を圧迫された状態だったり、全身に穴が開いていたりと普通の殺され方じゃなければ警察もお手上げだろ」
  ましろはレイナとの戦闘を振り返る。
  扉が閉まり密室になった途端、
  押し潰したような音がした教室。
  全身を貫こうと襲ってきた磔の杭。
綾瀬静「この天罰・・・十中八九カードの力だ。 しかも罠カードとみた」
綾瀬静「罠カードは武器のカードと違っていくつかの条件が重ならないと発動出来ない」
黛ましろ「でも・・・ その分、強力な効果が得られるんだよね」
綾瀬静「ああ、即死規模のな」
綾瀬静「おそらく、レイナのカードは密室でないと発動出来ない罠カードだな」
黛ましろ(・・・あの時私に止めを刺さなかったのは ・・・私が外に逃げたからだ)
黛ましろ(しなかったんじゃなくて、 出来なかったんだ)
黛ましろ「・・・でも、 ゲームに関係の無い人も殺して良いの?」
セルベール「家畜以外を殺してはいけないという ルールはないわぅ~!」
セルベール「ミー的には美味しい死体が増えるのは 大歓迎わぅ~!」
セルベール「でも、レイナは死体を食うなっていうんだわぅ。見せしめにするからって」

〇黒背景
レイナ「この力はゲームのためだけじゃないわ」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第6話「ショック死」

成分キーワード

ページTOPへ