クードクラース

イトウアユム

第3話「首吊り」(脚本)

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〇綺麗な部屋
黛ましろ(ん・・・ごはんの、匂い・・・?)
黛ましろ(それにここは・・・私の部屋?)
黛ましろ(じゃあ、あれは全部・・・!)

〇綺麗なダイニング
綾瀬静「――ああ、おはよう、ましろ。 ちょうど良いタイミングだったな。 朝食ができたところだ」
黛ましろ「静・・・夢じゃ、なかった」
黛ましろ「おはよう、静・・・あの」
黛ましろ「・・・お母さんは?」
黛ましろ「・・・確か、家を出た時にお母さんは そこの・・・階段の」
  吹き抜けからリビングを見下ろす形に
  なっている階段。
  その階段の手摺にロープを掛けて
  母はぶら下がって死んでいたのだ。
綾瀬静「アレは処分させた。俺もこれからここに 住むつもりだからいろいろと面倒だろ?」
黛ましろ「えっ! 静も一緒に住んでくれるのっ!」
黛ましろ「あ、でも・・・処分させたって・・・」
  一体どうやって?
  そう問おうとするましろの視界の隅に、
  黒い『カタマリ』が現れる。
黛ましろ「わわっ! びっくりした・・・ この子は・・・犬、かな?」
セルベール「ミーは犬じゃないわぅ~」
黛ましろ「え? ・・・喋った?」
セルベール「ボンジュール、マシロ~! はじめましてわぅ~」
  ひょっこりと現れたのは見た事も無い、
  ぬいぐるみのような生き物だった。
セルベール「ミーはこのゲームの総監督 ”牧羊犬(シープドッグ)”を務めさせて 頂くセルベールと申しますわぅ~」
セルベール「そしてそして、マシロママンの死体の処分を任されて感激の極みですわぅ~」
黛ましろ「あなたが・・・お母さんの死体を・・・」
セルベール「ウィッ! 実にトレヴィアーンなお味でしたわぅ~!」
黛ましろ「お味?」
セルベール「絶望と不安で満たされた死体ほど 美味しいものはないですわぅ~、ん?」
セルベール「もしや、何か不都合でも?」
黛ましろ「そっか・・・ううん、別に・・・」
黛ましろ(お母さん、食べられちゃったんだ。 ――でも、不思議)
黛ましろ(お母さんが・・・ 食べられたって聞いても何も感じないや)
黛ましろ(――それよりも、 隣に静がいてくれて・・・)
黛ましろ(これからも一緒にいてくれることの方が、ずっとずっと気になる)
黛ましろ(親不孝な娘でごめんね、でも・・・ これでおあいこでしょ、お母さん)
  このゲームで死体の処分は
  シープドッグの重要な仕事のひとつ。
  そう語るセルベールの言葉にましろは
  一輝と愛乃の亡骸を思い出した。
黛ましろ(・・・じゃあ、 あの人達も食べられちゃったのか)
セルベール「しっかし・・・はぁ~」
  セルベールは大げさにため息をつく。
セルベール「今回の家畜ドモは一筋縄でいかないヤツラばっかりで、説明やら対処やらが大変だったわぅ~」
黛ましろ「家畜ども?」
綾瀬静「俺たちストレイシープと スケープゴートのことだ」
綾瀬静「羊と山羊で、 悪魔の牧場に飼われてる家畜ってワケだ」
セルベール「んじゃ、せっかくなんでマシロに 改めて説明するわぅ~」
セルベール「このゲームは地獄を彷徨う12人の死霊を ゲームの参加者”迷える仔羊(ストレイ シープ)”に選び」
セルベール「トゥルータロットというカードを集めさせる、というのが基本のルールだわう~」
黛ましろ「22枚を全て揃えた、最後まで生き残った ストレイシープが優勝なんだよね」
セルベール「ウィッ! カードを『全て』揃えて終了となるわぅ~」
セルベール「そしてカードはオメーたち ”贖罪の山羊(スケープゴート)”の イノチに埋め込まれてるわぅ~」
セルベール「つ・ま・り、遅かれ早かれマシロは 死ぬ運命なのですうわ~ぅ!」
黛ましろ「うん、知ってる」
セルベール「わぅ? 怖くないのかわぅ・・・」
黛ましろ「怖い? なんで? それよりもゲームについてもっと教えて」
黛ましろ「カードを全部集めた時、生き残ってる ストレイシープがいる場合はどうなるの?」
セルベール「・・・他のストレイシープはカードが 集まった時点で、地獄に逆戻りの ジエンドわぅが・・・」
黛ましろ「そっか。 じゃあ面倒だから全員殺した方が良いね」
セルベール(おかしいわう。ゲームの説明で、恐怖に 慄き絶望するマシロの顔を楽しむはず だったんわぅが~・・・)
セルベール「ま、他に分からない事があったら シズカに聞くのが一番わう」
綾瀬静「おいおい、俺に振るのか?」
セルベール「こういうのはパートナーから聞くのが 一番わう! それに・・・」
セルベール「その方がシズカにとって 都合が良いんじゃないかわぅ?」
  『――コントロールしやすくて』
  そう言いたげな表情を浮かべ
  セルベールはゆっくりと消えて行った。

〇綺麗なダイニング
黛ましろ「・・・美味しい」
綾瀬静「良かった、久しぶりの料理だから 味付けが心配だったんだ」
黛ましろ「・・・静は死霊だって言ってたけど、 ごはんも食べるの?」
綾瀬静「ああ、一応生身の体だからな。飯を食わないと腹も減るし、寝ないと体調も崩す。 ケガもするし、死ぬことだってある」
綾瀬静「でも、安心しろ。ましろは俺が死なない 限り、絶対に死ぬことは無いから」

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