ジビエの姫

山本律磨

ザ・ビッグゲーム!(脚本)

ジビエの姫

山本律磨

今すぐ読む

ジビエの姫
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇山並み
  一月某日
  弓引山害獣駆除作戦決行日

〇原っぱ
鎌井「よーしよしよし!頑張ってくれよみんな!」
  『おーい始めるぞ。鎌井』
鎌井「あいよ!」
宍倉「いいか。今日は昼から晴れるらしい」
宍倉「よって面倒だが一旦尾根に上り下りながら害獣を追い込む」
姫子「どうしてだか分かる?」
綾「え?えっと、それはですね・・・」
綾「山肌が温められて上昇気流が起って、人の匂いを山の上に運ぶから」
綾「ですか?」
綿貫「ほ~」
隈川「勉強してるね~」
綾「きょ、恐縮です」
宍倉「今回の害獣駆除。勢子は俺と猟友会の面々、綾ちゃんが三組に分かれる」
宍倉「タツマは北の沢にあんた」
辻村「ツッジーでーす。バンバン駆除しちゃうぞ」
宍倉「野外音楽堂跡地に姫子」
姫子「・・・」
宍倉「双方人格的に未熟だが、今回は役場からの要請だ。事務作業と思って粛々と行う」
隈川「そうそう。ただのお役所仕事」
鎌井「どんなザマでも猟友会の名前に傷がつく訳じゃないしね~」
綿貫「スポーツ感覚の若いもんには丁度いいか」
辻村(絵に描いて額に入れたいくらい見事な負け犬の遠吠えだな)
辻村(ま。今回も楽しませてもらうよ)
姫子「ちょっと宜しいかしら?」
宍倉「なんだ?」
姫子「私、本日は勢子を務めますわ」
宍倉「・・・なに?」
姫子「代わりに弟子をタツマにして下さる?」
宍倉「弟子って。まさか・・・」
綾「えええええええええええええええええ!?」
綿貫「おい姫子!いくらゲームつっても遊びじゃねえんだぞ!」
隈川「数回勢子を務めただけの綾ちゃんにトドメを刺すタツマは荷が重すぎる」
鎌井「それに、今回相手にするのは害獣全般だ。鹿だけじゃない。猪だって。もしかしたら冬眠しそこねた熊も現れるかも」
宍倉「危険すぎる」
姫子「新入りには?女には?余所者には?」
宍倉「その全部だ」
姫子「全部?まだまだあるわ」
姫子「未熟だから。危険だから。荷が重いから」
姫子「俺達が守ってやる。俺達が支えてやる」
姫子「だから大人しく引っ込んでろ。だから黙って後ろに下がってろ」
姫子「そうしてアンタ達の大事な文化とやらは、みんなに見向きもされなくなって廃れていくのよ」
宍倉「姫子!」
姫子「うるせえんだよ!下手くそ!」
姫子「鹿も猪もメチャクチャ撃ってさんざん痛めつけやがって!」
姫子「飲んだくれてる暇があるんならもっと腕磨いて苦しまずに逝かせてやる努力でもしやがれ!」
宍倉「・・・!」
姫子「ウチらは人間なんだよ」
姫子「山に住んでるアイツらよりも、ずっと醜い人間だ」
姫子「頑固で」
宍倉「・・・」
姫子「欲望だらけで」
辻村「・・・」
姫子「弱くて、頭デッカチで、イモ姉ちゃんで」
綾(弟子には厳しいわね・・・)
姫子「でも『情け』とか『親切』ってヤツも持ってる」

〇中庭
姫子「見て来たよ。お爺ちゃんと私の畑」
大神「ははは。そうかい」
姫子「ボロボロだった」
大神「ははは。そうかい」
姫子「許さない」
姫子「仇は討ったげる」
姫子「今度は私が山に乗り込んでアイツらの全部を奪ってやる」
姫子「食べ物も、飲み物も、親も、子供も」
姫子「全部奪ってやる・・・」
大神「・・・そりゃあ、いかん」
姫子「・・・え?」
大神「いかんぞ。姫子」
姫子「・・・」

〇原っぱ
姫子「だから私の弟子が一発で仕留める」
姫子「弱くて、頭デッカチで、イモ姉ちゃんで」
姫子「この町で誰よりも腕を磨いた私の弟子が」
姫子「弓引町で一番真面目なハンターが」
綾「姫子さん」
姫子「そんな顔しない」
姫子「私の弟子ならもっと綺麗な顔しなさい」
綾「・・・はい」
綾「頑張ります」
綾「立派に仕留めてみせます!」
宍倉「・・・」
宍倉「・・・分かった」
宍倉「どうやらお前と綾ちゃんのおかげで絶滅は免れそうだな」
宍倉「俺達猟師の未来は」
隈川「おい。気合い入れて追い込めよ」
鎌井「誰に言ってんすか?」
綿貫「こちとら、小娘どもが生まれる前から銃握ってんだ」
辻村「さあ、ビッグゲームだ」
辻村「エンジョ~イ!」
綾「・・・」

〇山並み
綾「もう逃げない」
綾「もう怯まない」
綾「私も一緒・・・」
綾「強く美しい動物(アナタ)達と一緒だ!」
  Tobe・・・

次のエピソード:リアル・ミー!(前編)

ページTOPへ