第5話(脚本)
〇道玄坂
ももちゃん「買い物、付き合ってくれてありがとう」
桜田林檎「どういたしまして」
ももちゃん「彼氏の好み分かんないから、 同世代の人のこと聞けて助かったよ」
桜田林檎「龍彦で参考になるー?」
ももちゃん「なるなる!!」
ももちゃん「アタシの周り男子はコドモなんだもん」
桜田林檎「高校生だ」
桜田林檎「修学旅行かな」
桜田林檎「こんなところに珍しいね」
ももちゃん「オープンキャンパスじゃない?」
桜田林檎「オープンキャンパス!?」
ももちゃん「うん」
「この先に芸術系の大学があるじゃん」
「夏だし、 そろそろみんな動き出してるんじゃないかな」
桜田林檎「もうそんな時期か・・・」
ももちゃん「アイス溶けちゃうよっ!」
〇実家の居間
桜田林檎「どうするかな・・・」
桜田林檎「・・・」
桜田林檎(龍彦に、 大衆文化大学を舞台にした小説を 書いてもらうとしても・・・)
桜田林檎(今からじゃ、間に合わないだろうな・・・)
桜田林檎(仮に間に合わせたとしても クォリティーが・・・)
〇廃墟の倉庫
ダイキ(龍彦の小説のキャラ)「何だあれ!!」
リサ(龍彦の小説のキャラ)「美少女モンスターね」
リサ(龍彦の小説のキャラ)「可愛いけど」
リサ(龍彦の小説のキャラ)「用はないわ!」
リサ(龍彦の小説のキャラ)「はぁっ!!」
リサ(龍彦の小説のキャラ)「これで大衆文化大に 敵はいなくなったわね」
ダイキ(龍彦の小説のキャラ)「味方もいないけどね」
リサ(龍彦の小説のキャラ)「あなたさえいればいいわ」
ダイキ(龍彦の小説のキャラ)「いやそういう訳にはいかないよ」
ダイキ(龍彦の小説のキャラ)「先生と付き合ってたんだ」
リサ(龍彦の小説のキャラ)「そんな冗談・・・」
ダイキ(龍彦の小説のキャラ)「冗談なんかじゃない」
ダイキ(龍彦の小説のキャラ)「君も好きだけど、 君に感じる好きとは違う」
ダイキ(龍彦の小説のキャラ)「僕たちは・・・ 卒業したら結婚するって約束を──」
リサ(龍彦の小説のキャラ)「い・・・」
「いや──!!」
〇実家の居間
桜田林檎「聖地に・・・なる・・・?」
桜田林檎「うーん・・・」
桜田林檎「話題にはならないよね・・・」
(夏休み中・・・)
(遅くとも、 一月の大学入試共通テストまでには 入りたい学校を決めるよね)
(龍彦は文才があるけど)
(今から 新たな小説を書き上げてもらって)
(売り込んでいる時間は・・・)
桜田林檎「厳しいなぁ・・・」
桜田林檎「来月がラストチャンスね・・・」
桜田林檎「来月のオープンキャンパス」
桜田林檎「絶対に、 高校生を呼び込まなくちゃ」
「高校生は受験の当事者」
「夏休みが終わったら」
「ゆるい文化部でも引退して、 受験勉強に身を入れ始める」
桜田林檎(例え国公立狙いだとしても、 滑り止めとして選択肢に入れたい)
桜田林檎(学費も安めだしね)
よし!!
〇カジノ
桜田林檎「今日はね!」
桜田林檎「大衆文化大学の学費について!」
桜田林檎「特別に!」
桜田林檎「皆さんにお伝えしようと思います!」
桜田林檎「なんと! 諸々込みでこのお値段!」
桜田林檎「某大学薬学部と比べると1/3の価格!!」
桜田林檎「しかも!」
桜田林檎「今ならなんと!」
桜田林檎「創立記念日特別企画!!」
桜田林檎「改装中の校舎の 解体現場も見れちゃいまーす!!」
桜田林檎「興味を持ったら、 今すぐこちらの電話番号へ!!」
桜田林檎「オペレーターは増やさないけど」
桜田林檎「誠心誠意、 何の質問にもお答えしまーす!!」
〇実家の居間
T大のOBに変なヤツ見つけた
行くのやめとこうかな
桜田林檎「なんで!?」
富士宮龍彦「・・・・・・」
富士宮龍彦「そもそも、 何故今回は通販番組風なんだ」
富士宮龍彦「林檎は可愛いんだから 普通にしてればいいのに」
桜田林檎「分かってないわね」
桜田林檎「可愛いって、慣れるの」
桜田林檎「それだけじゃ飽きるのよ」
桜田林檎(変装)「こんなあたしでも好き?」
富士宮龍彦「は?」
富士宮龍彦「・・・ま、まぁ・・・好きだけど・・・」
桜田林檎「中身を知ってるからよね」
桜田林檎「ずっと通うとこだから、 中身をよく知って決めて欲しい」
桜田林檎「誰に何が刺さるか分からないじゃん」
桜田林檎「全ての情報を伝えた方がいいと思うの」
桜田林檎「コスパも含めてね!」
富士宮龍彦「・・・」
ももちゃん「龍彦さん、こんばんは」
富士宮龍彦「あぁ、お邪魔してます」
ももちゃん「林檎ちゃん、 飲み物くらい出しなよね」
ももちゃん「ここ、林檎ちゃんちなんだから」
富士宮龍彦「いいよ、気にしないで」
富士宮龍彦「こんな時間まで悪かったね」
ももちゃん「・・・」
富士宮龍彦「高校生だよね? 志望校はもう決めた?」
ももちゃん「はい」
ももちゃん「アタシはもう決まってます」
桜田林檎「え・・・うそ・・・ほんとに!?」
ももちゃん「うそじゃないよ」
ももちゃん「アタシは真面目なのでー、 将来進む道はもう決めてるんですー」
ももちゃん「アタシ助産師になりたくて」
ももちゃん「助産師免許の受験資格が得られる 福祉系大学に行く予定なんです」
桜田林檎「へ・・・へぇ・・・」
桜田林檎「すごいじゃん!」
桜田林檎「そんな先のことまで考えたことない」
桜田林檎(参ったな・・・)
桜田林檎(なんだかももちゃんがすごく 大人に見えるよ──)
〇神社の本殿
桜田林檎「・・・」
桜田林檎(一度に決めた志望校を変えるのは難しいよね)
桜田林檎(あたしは、なんで入りたいって 思ったんだっけ)
富士宮龍彦「林檎?」
桜田林檎「・・・」
富士宮龍彦「────」
〇神社の本殿
桜田林檎「はっ!」
桜田林檎「ごめん龍彦!!」
桜田林檎「考えてたらうっかり寝ちゃった」
桜田林檎「お邪魔しましたー!」
富士宮龍彦「気をつけて帰れよ」
桜田林檎(結局)
桜田林檎(なんでうちの大学に入りたいか 思い出せなかったな)
桜田林檎(あたしの中では 重大なことだったはずなのにな)
桜田林檎「わぁ!?」
桜田林檎「いたたた・・・ ちょっと何?鬼頭さん!?」
桜田林檎「資料読んだなら ちゃんと片付けて帰ってよね!!」
桜田林檎「これは・・・卒業アルバム!?」
桜田林檎「・・・」
桜田林檎(そういえば 龍彦はどんな生徒だったんだろう)
桜田林檎(なんでうちの大学に入ろうと思ったんだろ)
富士宮龍彦「林檎、大丈夫か!!?」
富士宮龍彦「大きな物音がしたみたいだが・・・」
富士宮龍彦「それは・・・っ!」
〇教室
〇神社の本殿
富士宮龍彦「み・・・見んなよ」
桜田林檎「・・・」
桜田林檎「おとなしそうで、可愛いね!!」
富士宮龍彦「見るなって言っただろ!」
桜田林檎「あたしも、そうだった」
富士宮龍彦「え?」
桜田林檎「あたしも学校が嫌いだったの」
桜田林檎「学校がっていうか、自分が」
桜田林檎(そうだった)
(10代の頃は 優しい世界じゃなかった)
(元気なのに毎日、息苦しかったんだ)
〇教室の外
中学の同級生「なにそれ・・・」
桜田林檎(中学生)「目玉型ピックだよ!」
桜田林檎(中学生)「好きなバンドの ギターの人が持ってるのとおそろいなの!」
中学の同級生「気持ち悪ぅ・・・」
中学の同級生「いくら中二だからって」
中学の同級生「こんなお手本みたいな子いるー?」
桜田林檎(中学生)「・・・」
中学の同級生「コレはほっといて ウチと話しよ!」
中学の同級生「闇に染まる魔界の主になんか なりたくないもの」
中学の同級生「リナちゃんてばー」
桜田林檎(中学生)「・・・」
桜田林檎(中学生)「カッコイイんだよ! 一回見てみる?」
桜田林檎(中学生)「ほら!」
中学の同級生「いらないって言ってるから!!」
変な子だって言われてた
人と違うことは許されなかった
〇学校の廊下
だから、
高校では目立たないようにした
高校の同級生「何聴いてるの?」
高校の同級生「これ、 あのドラマの曲だね」
高校の同級生「あれに出てる俳優良くない!?」
桜田林檎(高校生)「わかる!」
桜田林檎(高校生)「カッコイイよねー!!」
居場所がないのは辛いから
自分を抑えて生きてきた
〇神社の本殿
富士宮龍彦「・・・・・・」
桜田林檎「でもね」
桜田林檎「たまたま行った うちの大学のオープンキャンパスが あたしの価値観を変えたの」
桜田林檎「想像してたのとは 全然違ってたんだ」
〇並木道
桜田林檎(高校生)(こんな生活があと四年も続くのか・・・)
桜田林檎(高校生)「!?」
着ぐるみ(大学生)「ようこそいらっしゃいました、お嬢様」
着ぐるみ(大学生)「説明会会場はこちらになります」
大学生「おまえ何やってんだよ」
大学生「ビビってんじゃねぇか」
大学生「やだなぁ、 あいさつじゃないですか」
大学生「ごあいさつ!」
桜田林檎(高校生)「・・・・・・」
〇装飾された生徒会室
大学生「見てー!」
大学生「やっとチケット取れたのー!」
大学生「ヤッタナ!!」
大学生「祝イメシ食オウゼ!!」
大学生「スシ食ベ放題ー!!」
大学生「またー?」
桜田林檎(高校生)「・・・・・・」
〇神社の本殿
桜田林檎「みんなが自分らしくイキイキしてたの」
桜田林檎「陰キャも陽キャも、みんな仲良しだったの」
桜田林檎「ここなら、 あたしも自分らしくいられるって 思ったんだ」
富士宮龍彦「林檎・・・」
桜田林檎「あ、そうだ」
桜田林檎「卒アル、勝手に見ちゃってごめんね」
桜田林檎「あたしのも見る?」
富士宮龍彦「うっ・・・」
桜田林檎「授業内容とか、 資格や就職率も大事だけど」
桜田林檎「大学のウリって、それだけかな?」
桜田林檎「少なくともあたしは、 そうじゃないと思ってる」
桜田林檎「あたしさ」
桜田林檎「大学で出会ったみんなが宝物なんだ!」
桜田林檎「みんな、それぞれ素敵な子なの!!」
桜田林檎「ひとことじゃ言い表せないけど」
桜田林檎「みんなにはすごく感謝してるんだ」
桜田林檎「もちろん、龍彦も含めてね!」
富士宮龍彦「心臓が痛い」
桜田林檎「じいじかよ」
富士宮龍彦「・・・」
桜田林檎「ねぇ、龍彦」
桜田林檎「お願いがあるの」
桜田林檎「今度の動画・・・」
桜田林檎「”非リア充”向けに編集してくれる?」
〇マンション群
「キャハハハ!!」
???「ウケる〜」
???「顔出し配信とか」
???「後先考えろって〜」
???「いいツマミになるわ」
???「桜田林檎────」
to be continued・・・
ズキューーん!!射抜かれてる!!✨✨
そのうち龍彦は「昔からずっと可愛い」って言い出しそう!むしろ言って!🤣
小説の内容も笑いました。まかさ先生と付き合ってるとは…ww
解体現場の見学少し見てみたいです😆
あの林檎ちゃんにも悲しい過去があったんですね、、、そのお陰で大事なことに気付くという展開が引き込まれます!
そして最後に現れた謎の人物、、、何か一波乱ありそうで先が気になります☺️
創業大感謝祭( ˙꒳˙ )!
言葉のセンスが抜群ですね! 笑いましたꉂ🤣𐤔
幼い林檎ちゃんもかわいいですよねぇ!
そりゃ、射抜かれますよねぇ💕
林檎ちゃんがなぜ、大学をそこまで愛してるかの背景がわかり、なお応援したくなりました。
が、最後の引き( ˊᵕˋ ;)
引きを作るのもまた上手いなぁと思いました。