第6話(脚本)
〇電車の中
桜田林檎(そろそろ、視聴者が倍増したかな)
桜田林檎(ふふふ・・・っ)
今回の配信動画の目的は、
目立たない少年少女たちの
『大学デビューしたい』心を動かすこと
あなたを受け入れてくれる人も
たくさんいるよって
気づいて欲しい
富士宮龍彦「この人に何か用か?」
桜田林檎「え?」
高校生「何でもないッスよ」
富士宮龍彦「写真撮っていただろう? いいから見せてみろ!」
高校生「あ、ちょっと!」
富士宮龍彦「な・・・なんだこれは」
高校生「僕が撮ったんじゃないです ネットで見たんです」
桜田林檎「ネットで・・・?」
高校生「そうですよ」
高校生「僕、お姉さんのこと応援してたんです」
桜田林檎「うそっ! ありがとう!!」
高校生「でも、裏切られました」
桜田林檎「え!?」
高校生「僕は・・・お姉さんみたいな 大学生になろうと思ってました」
高校生「僕でもなれると思いました」
高校生「でも!」
高校生「結局、選ばれるのは こういうイケメンじゃないですか!」
高校生「イチャイチャカップルは 演技じゃなかったんですね!」
高校生「しっ・・・失礼しました」
桜田林檎「・・・演技だし・・・」
富士宮龍彦「・・・」
富士宮龍彦「確かに、あいつの言う通り 林檎はリア充パリピキャラで通ってるな」
富士宮龍彦「子供の頃から、友達が多くて 活発な陽キャな人物だと・・・」
桜田林檎「えぇっ!?」
富士宮龍彦「おそらく、カースト底辺の高校生には 何を言っても響かなくなっている」
桜田林檎「全然そんなことないのに」
富士宮龍彦「そうだな」
富士宮龍彦「正社員じゃないしな」
桜田林檎「でも、そうだよね」
桜田林檎「『今』辛いんだもんね」
桜田林檎「不確定な希望を見せられてもね・・・」
〇店の休憩室
桜田林檎「うーん・・・」
桜田林檎「視聴者数」
桜田林檎「やっぱり少し下がってるか・・・」
目立つ人間と
目立たない人間
別世界で生きてるって
思ってしまうんだよね
隔たりなんてないのになぁ・・・
和田くん(アルバイト)「お疲れさまでーす」
和田くん(アルバイト)「お?」
和田くん(アルバイト)「林檎さんの彼氏ッスか?」
桜田林檎「うん」
和田くん(アルバイト)「いいッスね~! オレも彼女欲しい〜!」
桜田林檎「・・・」
桜田林檎「ごめん、友達☆」
和田くん(アルバイト)「どっちッスか!」
桜田林檎「・・・」
桜田林檎(本当に、付き合ってるように見えるんだ)
桜田林檎(カップル配信を 楽しみにしてくれてる人もいるから これで良かったはずなんだけど)
桜田林檎(これはこれで、困るな・・・)
あたしはずっと
モブ側の人間だったのに
和田くん(アルバイト)「彼女欲しい〜!」
和田くん(アルバイト)「彼女なんて、中学のときしか いないんですけどー」
桜田林檎「ファイト!」
桜田林檎「多分、髪切ればイケるよ!」
和田くん(アルバイト)「そう簡単にいくッスか〜?」
桜田林檎(いかないよね)
桜田林檎(知ってるよ)
〇オフィスビル前の道
(あたしも、 上手くはいかなかったから)
塾講師「点Pがここにあるとき──」
塾講師「聞いてますか?」
桜田林檎(高校生)「は、はい!」
塾講師「分からないところはありますか?」
桜田林檎(高校生)「えっ、えーっとですね・・・」
桜田林檎(高校生)(いい匂い)
桜田林檎(塾の先生が好きだった)
「桜田さん!」
塾講師「気をつけて帰ってくださいね」
桜田林檎(高校生)「・・・」
桜田林檎(高校生)「先生、あのっ!」
桜田林檎(高校生)「つ、付き合ってる人はいますか?」
桜田林檎(高校生)「あたし・・・あの・・・」
桜田林檎(高校生)「先生のことが好きなんです!」
塾講師「────」
塾講師「ありがとう」
塾講師「君はとっても勇気があるね」
〇店の休憩室
和田くん(アルバイト)「休憩終わりッスね」
和田くん(アルバイト)「行きますか」
(リア充じゃなかったよ)
(あたしも、君と同じだったよ)
〇ドラッグストア
和田くん(アルバイト)「ツーブロックにした方がいいッスか?」
桜田林檎「好きにすれば?」
和田くん(アルバイト)「もー」
和田くん(アルバイト)「真剣に考えてます?」
和田くん(アルバイト)「オレはモテたいんですから!」
桜田林檎「・・・」
和田くん(アルバイト)「いいですか?」
和田くん(アルバイト)「このお店にイケメンがいるって 街中に広まれば・・・」
和田くん(アルバイト)「売り上げアップ!!」
和田くん(アルバイト)「時給アップ!!」
和田くん(アルバイト)「キレイなお姉さんに 声かけられる率アーップ!!」
和田くん(アルバイト)「良いことづくしなんですから!!」
桜田林檎「そ・・・そうだね」
桜田林檎「いらっしゃいませ~!」
桜田林檎(待てよ・・・)
桜田林檎「あの写真を撮ったのって・・・」
〇渋谷の雑踏
桜田「この街の誰かだよね・・・!」
桜田林檎(何が目的か知らないけど)
桜田林檎(大衆文化大学の邪魔するヤツは許せない)
〇ドラッグストア
桜田林檎「捕まえるべし!!」
和田くん(アルバイト)「何のことッスか〜!?」
〇川沿いの原っぱ
桜田林檎「うーん?」
桜田林檎「どこから写真撮ったんだろ」
富士宮龍彦「隠し撮りした人を探してたのか」
富士宮龍彦「探偵ごっこじゃなかったんだな」
富士宮龍彦「俺はてっきり」
富士宮龍彦「流行りの裸探偵モノや 女探偵モノに触発されたのかと思ったよ」
桜田林檎「好きだけどさ」
桜田林檎「だからじゃない」
桜田林檎「これ以上、大学の立て直しの邪魔を しないで欲しいんだよね」
桜田林檎「あたしは遊んでるんじゃないって」
桜田林檎「直接言いに来た」
富士宮龍彦「そうだな」
〇川沿いの原っぱ
〇テーブル席
???「・・・」
???「なんなのよ、あいつ」
???「ウチを吊し上げて 馬鹿にしようって言うわけ?」
???「性格わっる・・・」
???「許せない・・・」
???「・・・」
???「しかも・・・」
???「隣のあの人!!」
???「よく見ればイケメンじゃない!!」
???「こうなったら・・・」
〇実家の居間
桜田林檎「ただいまー」
ももちゃん「林檎ちゃん! 大変だよ!」
ももちゃん「これ見た?」
ももちゃん「ヤバイよ 酷くなってる・・・」
桜田林檎「え・・・?」
〇綺麗なダイニング
暴露系☆配信チャンネル「大学のこと大事なのは 分かるんですよ」
暴露系☆配信チャンネル「でも、そうは言っても、 まぁ安くはないじゃないですか」
暴露系☆配信チャンネル「実はりんりんと地元一緒で」
暴露系☆配信チャンネル「だから、その・・・ 何してるか〜とかも、 耳に入って来ちゃうんですね」
暴露系☆配信チャンネル「ウチが言いたいのは」
暴露系☆配信チャンネル「高いお金出してもらって 大学入るなら」
暴露系☆配信チャンネル「せめて良いところに就職するのが 筋じゃないかって言うことです」
暴露系☆配信チャンネル「不景気とか、ナントカショックとか、 関係ないから」
暴露系☆配信チャンネル「何だかんだ言って、 みんな一般企業に就職できてるから」
暴露系☆配信チャンネル「使い物にならなきゃ、 金をドブに捨ててるのと一緒だから!」
〇実家の居間
桜田林檎「・・・」
ももちゃん「あっ!」
ももちゃん「ごめん、 見せない方が良かったかな・・・」
桜田林檎「いいよ、本当のことだし」
桜田林檎(あの人の言う通りだ)
桜田林檎(確かに・・・)
桜田林檎(低偏差値の大学しか出ていなくて、 ちゃんとした会社に 就職していないあたしじゃ 説得力がない・・・)
桜田林檎「・・・」
〇山の展望台(鍵無し)
桜田林檎「もしかして、 みんなそう思ってたのかな・・・」
桜田林檎「声に出さないだけで・・・」
桜田林檎「普通の20代のステージに上がれない あたしのこと」
桜田林檎「心の中では笑ってるのかな・・・」
桜田林檎「こんなんじゃ、大学に申し訳ない!」
桜田林檎「あたしだって、役に立ちたかった!!」
桜田林檎「堂々と胸を張っていられる、 すごい人になりたかったよ!!」
大学のこと愛してる
だけど・・・
それだけじゃ無理だ────
〇山の展望台(鍵無し)
「何してんだ?」
桜田林檎「龍彦・・・」
富士宮龍彦「こんなところにいたのか」
富士宮龍彦「ドライブシアター行こうって言ったの 林檎だろ」
富士宮龍彦「探したぞ」
桜田林檎「・・・どうやって・・・?」
富士宮龍彦「え?」
富士宮龍彦「じ・・・GPS・・・」
桜田林檎「プッ」
桜田林檎「あははは!」
桜田林檎「ストーカーか!」
富士宮龍彦「位置情報をオンにしとくから 拾ってって言ったのは そっちだろ!!」
富士宮龍彦「人を犯罪者扱いするな!!」
桜田林檎「ごめんごめん」
桜田林檎(やだな・・・)
桜田林檎(柄にもなく落ち込むところだった)
富士宮龍彦「?」
桜田林檎「なんでもない」
あたしには
あたしを大事に思ってくれている仲間がいる
みんなと出会えたことが
一番の成果なのにね
桜田林檎「よーし!」
桜田林檎「行こう、ドライブシアター」
桜田林檎「連れてって」
〇走行する車内
桜田林檎「こんばんは!」
桜田林檎「今日は車の中からお伝えします!」
桜田林檎「今、出先なんだけど、 これだけは聞いて欲しくて・・・」
桜田林檎「あたしは、他所で噂されている通り、 ちゃんとした仕事には就いていません」
桜田林檎「適当に数社受けて、落ちちゃって そのままだからなんだけど・・・」
桜田林檎「でも、全く後悔していません」
桜田林檎「大学での学びや出会いは あたしの価値観をガラッと変えてくれたの」
桜田林檎「それまでの作り笑いしてた日々より 何倍も幸せで」
桜田林檎「自分らしく過ごせるようになって」
桜田林檎「今の充実した生活の土台になっているんです」
桜田林檎「大学に何を求めるかは、人それぞれです」
桜田林檎「幸せの礎を築くため、でも、 いいと思いませんか?」
〇走行する車内
ずっと忘れないよ
あたしが過ごした、
キラキラな4年間────
to be continued・・・・・・
陽キャに見えたキャラが、実はそうではないという…
深い人物造形ですね‼
人間は多面的だから、とても文学的ですね!
閉塞感のある日本社会では、自分らしく生きるのは難しいのでしょう。そんな中で、大学が一つの希望だし、それを主人公を通してみんなに伝えていける素敵な作品だと思いました。まだまだ続きが楽しみですね‼😁 劇中劇も楽しいです。
今回は少しシリアス路線でしたが、やはり龍・林のほのぼのさが良いですね🥰
林檎は龍彦のこと友人止まり!?
今回も素敵なお話でしたね☺️
隠し撮り、塾での過去や、暴露系に指摘されたとか色々あり、現実と大学愛の間で苦悩しつつも、本来の自分を取り戻す林檎ちゃんが微笑ましいですね😭
困難にどのように立ち向かうのか、林檎ちゃんのこれからに期待です!